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【読書感想文】君にやったら騙されてもかまへん ⭐︎山崎豊子「不毛地帯(四)」を読んだ⑤

猛暑が続いております。
沢山の本の中でも、
やめられない止まらないおすすめ本を
ご紹介しております。
涼しい室内で読書をお考えの方
のお役に立てれば幸いです✨🕊️✨

ネタバレありです🙏が、
読んでみたくなった方の楽しみを奪わぬため、
工夫しました🙏が、またも長文となりましたっ🙏🙏

   🍋🍋🍋🍏🍋🍏🍋🍏🍋🍋🍋

四巻も絶好調に楽しかった!

はじめに、前回引っ張ってしまった
登場人物の一人、秋津千里について。

シベリア抑留中(一巻)に、
極東軍事裁判のソ連側の証人として
日本に連れてこられた三人のうち、
一人が壹岐(大本営作戦立案参謀)、
一人が秋津(大陸鉄道司令官)
だったわけだが、秋津の娘が秋津千里。

前回④にて少し言及し、
その時点ではもうちょい詳しくお伝えしようと引用も準備していたのだが、

この二人どうなっていくの?
という読者の想像力を奪ってはいけないなと思い直し、

ここまでとします!
是非読んでお楽しみください!


下記引用は、大門社長と二人の時の会話。

「壹岐君、君にやったら、騙されてもかまへんということや」
「私が社長を騙す?そんなことありようはずが・・・・・・」
壹岐が唖然とすると、(中略)
「ナンバー・3?私は今日、専務の未席につらなったばかりです」
「たしかに君の上には、里井、一丸副社長と、四人の先輩専務がおる、だが、(中略)実質的には里井君に次ぐナンバー・3、マスコミ辞令式に云うなら、君は次期社長有力候補の最右翼というわけや、わしとの距離が近くなればなるほど、今は考えてもいないことも考えるかもしれん、実力があればあるほど、男というものは、思わんことを考えるもんや」
「自分がやりたい仕事をするには、より大きな権限を必要とすることはよく解っていますが、社長というのは組織の統率者であり、象徴です、軍でいえば軍司令官です、私は軍にいる時から一貫して参謀畑に育ち、統率者の器でないことは私自身が一番熱知しております、どうか今まで通り、どこまでも社長の補佐という形でお使い下さい」
壹岐が真情を披瀝するように云うと、
「うむ、君はそういう男やったな」
大門は、信頼を新たにするように頷いた。君になら騙されても仕方がないと云いながら、大門は底知れぬ力量を持った壹岐を危惧し、改めて忠誠を誓わせたのだった。

「不毛地帯(四)」山崎豊子

社長というのは大変だ
色んな覚悟が必要になる。

騙されても構わない、
そう言えるほど信用できる人物に
自分も会いたい。

が、前から思っていた事だが、
だます、だまされる、
裏切る、裏切られる、
とは
主体、客体で変わる、場合もある。

三島由紀夫の「美神」において、
アフロディテ像は博士を「裏切った」のか。
博士が「裏切られた」と感じただけではないのか?
と感じた読者も多いのではないか
と思うが、本人が、「裏切られた」と思う事実がある
シンプルにそれだけだ。
詳しくは別の機会に述べたいが、

「君にやったら騙されてもかまへん」について
壹岐が「騙した」つもりじゃなくても、
大門が「騙された」と思う局面がくるかもしれない。。

ついでに、ここまでで言えば、
描かれた大門のキャラクターがとてもいい。
個人的に、
壹岐以外でお気に入りの登場人物は?
と聞かれたら、大門!笑

「底知れぬ力量」わかる!
更に「君はそういう男」もわかる!
どなたかも書いていらっしゃったが、
キャラクターの描き方が上手。非常に魅力的。

こんな「男」、女性はもちろん、
男性も憧れるんじゃないか、

前述④のように敵にはまわしたくないが。。


場面変わって、
下記引用文中、谷川というのは元大佐。
壹岐が元中佐なので
上官の位置にいた人物になる↓

「その点、私は勝手ばかりして、何もお手伝い致しませず…・・・・・」
「いや、いや、君は手伝うこと以上のことをしてくれている、せっかくの力量を持ちながら、ところを得ず、不運をかこち、ともすればシベリア長期抑留者は、所詮"遅過ぎた帰還者"で、社会人としてはもはや駄目なんだと希望を失いがちな会員たちに、大きな励みになっている、この上とも頑張ってくれ、わしらはわしらでシベリアで死んで、遺骨も還らぬ戦友たちのために、舞鶴に慰霊碑を建てる計画をはじめておるのだよ」
(中略) 戦後二十五年経った今も、互いに励まし、いたわり合って生きている湖風会の会員たちの世界と、現在、自分が働いている企業の世界とは、あまりにもかけ離れた世界であった。それだけに壹岐は、谷川と会い、朔風会の人たちの便りを聞き、久しぶりに心洗われる思いがした。

「不毛地帯(四)」山崎豊子

谷川元大佐は大変な人格者で。
登場する度に、壹岐の心洗われる!
ついでに
壹岐だけでなく私の心も!

今こうしている間にも、齢を重ね、或いはシベリア長期抑留の無理から、櫛の歯が欠けるように死んで行く仲間たちや、今なお遺骨が還って来ることを心待ちにしている遺族たちのことを思うと、一日も早くこの五老ヶ缶に慰霊陣を建てることは、戦友の霊を弔うと同時に、悲惨な犠牲の上に築き上げられた歴史の教訓を永遠に記録することになり、それが生きて祖国に還り着いた者の為すべきことだと思った。

「不毛地帯(四)」山崎豊子

著者の山崎豊子氏は
反戦社会派作家として稀有な存在、
とまで言われた方だった。

自分も、戦争反対で、それには、
人生経験上、
色々な思いがある。

詳しくはまた別の機会にお伝えしたいが、
山崎氏のように、
キッパリはっきり
自己の主義主張を持ちかつ行動出来る人物を、
尊敬する!とこの読書体験を通じて、
改めて強く感じた。

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現在は、第五巻の中盤まで読書中で、
この作品を読み終える事が寂しくている。

急にスピード落としてゆっくり味わいながら読むか、
ばっと読み終えて「白い巨塔」か「二つの祖国」か他の山崎作品を読み著者に対する理解を深める方へいくか、

迷っているのだが、

ここで一言、四巻良かった!
なんか平穏に読んでいられた。

って事は五巻は平穏ではないのか⁈
と思われた方もそうでない方も、
               →続きは⑥へ


最後まで読んで頂きありがとうございました❤️
ここまで読んでくださった皆様の幸せを
心よりお祈り申し上げます❤️❤️❤️

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