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秋葉原放浪記

 筆者は大学生であるので、当たり前だが大学へ行く。キャンパスが御茶ノ水にあるため、郊外から通うととても時間がかかる。そのため、朝早くの授業の場合は秋葉原の快活クラブに寝泊まりしながら通うようになった。その結果といってはなんだが、秋葉原周辺にすっかり詳しくなった。といっても、肝心の店の方はお財布の問題があるため、全ての店を体験したというわけではないのだが。今のところ行ったところは、メイド喫茶フィーユ、駿河屋秋葉原店、ゲームショップ、ゲームセンター、快活クラブ、アトレ秋葉原店、秋葉原夢見地下クラブ、マクドナルド、アニメイト秋葉原店、ボードゲームカフェである。まだまだお店はたくさんあるため、秋葉原の全貌は計り知れない。個人的に気になっているのは、男装喫茶である。
 秋葉原というとオタクカルチャーの聖地というイメージが強い。自分もそうだった。だが、実際のところ本当な意味でのアングラ的なオタクカルチャーというのは、文字通り足を使って店を探さない限りは見つからなかったし、珍品みたいなものは正直アマゾンで買った方が見つかるような気もする。なんでもあるってわけじゃあないのである。ネットで高値がついて売買されるlain(PS1のゲーム)を駿河屋で見つけたりもしたが、市場価格とほぼ同じという感じだった。
 だが、この前入った地下にあるレトロゲーム屋は良かった。1980-2000初期ぐらいのゲーム機やらソフトが置いてあるのだが、薄暗い店内も相まって「これだよ、これ!俺が秋葉原で見たかったのはこういんだよ!」という感じだった。なんだかぴこぴこと音がなっていたり、いにしえのオタクたち(中年のおっさん)が集まり、大変秋葉原らしかった。店の奥にはいにしえのギャルゲーやエロゲーが並んでおり、年を経て黄ばんだ攻略本の棚を見ると、なんだかオタクカルチャーの歴史のようなものを感じてしまった。
 あと、めちゃくちゃ外国人の数が多い。もうほとんど外国人。国籍は多様で聞いた限りでは英語、ロシア語、中国語、韓国語、インドネシア語等々があった。正に人種の坩堝。聞いた話によると、コロナ開けのインバウンドによるらしい。コロナ前でもここまでではなかったと聞くから、なかなかのものである。筆者は秋葉原駅のアトレの丸亀製麺で飯をよく食っているのだが、この前はフランス人の家族連れを見た。うどんの食い方が案外うまかった。ガキは食うのがへたくそで、汁を周りにぶち撒けていて面白かった。
 秋葉原といえばメイドであるが、これもまた凄かった。歩く道々にメイドさんたちがいるのである。コンセプトは様々で、和風、洋風、シック、可愛い系、フリフリ等々ある。そして当たり前だが、可愛い。「〜いかがですか〜」と若干の猫撫で声を出して、ビラを配っている。中には、アニメの世界からそのまま出てきたんじゃないかっていう、現実離れした容姿の人とかもいる。この「うはうはメイドロード(勝手に名付けた)」を見るだけでも秋葉原にくる価値はある。筆者は最初は「ビラ配りをしているのにもらってあげないのは、なんだか失礼な気もするなあ」と思いながら歩いていたが、今では余裕でスルーである。向こうもそう簡単に客が取れるとは思ってないとわかったからである。いちいちこんなことに気を揉んでいたら、都会では生きていけないというのも学びだった。
 それで実際に筆者はメイド喫茶に行ってみた。行ったのはメイド喫茶フィーユといビルの三階にあるメイド喫茶だ。ちなみに同じビルの五階にもメイド喫茶はある。まさにこの一体は激戦地だ。数えた限りでも何十店舗も周辺にはある。「いざ入店」とビルの前まで来たはいいものの「お前非モテだからってメイド喫茶にハマってるとかキモ〜」とか「頂き女子にやられちゃったね(脳内の被害妄想だから許して)」とか言われる被害妄想の幻聴が脳内で聞こえてしまい、店の前で二、三回往復して尻込みしたが、筆者の必殺意思決定ルーレットを回し、(筆者は意思決定をする時にルーレットを回すことにしている。奇数なら行く、偶数なら行かないみたいな)、不退転の決意を固めた。そこからはエイヤっとビルの中に入り、エスカレーターで3階までいく。店の前のガラス戸から中を覗くとまさかの0人。「マジかいな」と思い一瞬逃亡を考えたが、後ろのエスカレーターの扉は無情にも閉まる。「あーもーいくしかねぇ!っ」と店のドアを開けると、からんからんというベルの音ともに、「いらっしゃいませー」と可愛らしい声が。メイドさん降臨である。カウンター席に座るように言われ、座る。そこからは慣れないながらも90分色々話した。話したメイドさんがとても面白い人だったから、全く退屈したり気まずい雰囲気になることもなく、終始楽しく話した。中でも面白かったのは、そのメイドさんは櫻井孝宏のファンだったので「櫻井孝宏が不倫していたことをどう思うのか」と聞いたら「正直興奮した」と答えたことには爆笑した。


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