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えんえんと考えられる「のうりょく」が楽しい『しょうもないのうりょく』 高野雀 竹書房

 人って、一番好きな◯◯はなんですか?って質問が好きで、でもそんなの答えらんないよってことが多い気がするが、私は自分にいつもいちばん好きな食べ物とか時間とか小説とか映画とか質問して、勝手に答えて悦に入っている。

好きな食べ物は、ねばねば系のうどん。

時間は、午後二時。

小説は、『ウエストウィング』 津村記久子

映画は、リンチの『マルホランド・ドライブ』

そして漫画は『しょうもないのうりょく』ですです。

この漫画の世界では、人類誰もが「しょうもないのうりょく」を有しているのです。超能力ものは数多あれど、主役ののうりょくが「書類を崩さず積み上げることができる」という、ほんとうにしょうもないのうりょくなところが面白。

他にも・・・

相手のお腹の好き具合がわかる
さっき居た場所がわかる
水をこぼさずにバケツを運べる

とかとか、もれなく欲しくなるのうりょくがいっぱい。

ちなみに、主人公にはもう一つの隠れたのうりょくがあるのだけれども、それは読んでから楽しんで欲しいのでひみつです。

高野雀さん、気になって全部読んでみた(ほかの作品も素敵です。とくに『世界は寒い』)。線がきれいで、人物の顔の感じも自然で好きになる。普通に電車とかで見かける人たちという感じだ。『しょうもないのうりょく』は、一応異能の話だけれども、主人公星野さんの働く会社の人たちが、みんないい感じで、それなりに仲良しなところもある意味、異世界で楽しい。

私はずっと働いていないのでわからんが、こんな楽しそうな会社もあるのかしらん。と、明治の文豪のような言葉の使い方をしてみる。

この漫画の楽しいところは、読み終わってしまっても、えんえんと新しいしょうもないのうりょくを考える楽しさがあるということで。
ことあるごとに、それは「しょうもないのうりょく」じゃない?と家人と認定し合っている。

ちなみに、私が持っているしょうもないのうりょくは、「うどん屋を一発で見つけられる」です。


追記。いま好きな漫画は『今日のさんぽんた』田岡りき


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