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juxmux
【ショートショート】 真夏の買いものメモ
真夏のなかでも、一番暑い日のいちばん暑い時刻にする買いものメモを、ここに発表します。
ガムボールマシンのガム(ただし白だけ)
正方形がただしくない折り紙百枚
元・校長先生のサイン入り鉛筆
品物をカゴに入れたら、「練習中」とかかれたバッジを胸につけた、ポニーテールが大きすぎる女の子のレジに並びます。
ただしその列は人気だから、とんでもなく長いんですよね。もし、どうしても待てなかったら(見たいドラマがあるのに録画を忘れたとか、炊飯器の保温スイッチを切り忘れたとか)、黄色い色の果実をみっつかごに入れて並び直すとよいですよ。
黄色果実が強い香りを放ちます。
すると、ポニーテールがでかすぎる女の子の眼が大きく見開かれ、「練習中」とは思えないくらいすばやくバーコードをくぐらせるのです。列に並んでいた人たちは残念がるけれど、あなたの順番はあっという間にまわってきます。彼女はあなたの黄色い果実を、薄紙にくるんで紙袋に入れてくれます。
家に帰ったら、黄色い果物を素手で食べて、でろでろになります。手を丹念に洗ったら、できるだけ長い鉛筆キャップをはめて、果実の絵と日記を描きましょう。
あなたが不器用なのかどうなのか知りませんが、きちんとした正方形でない折り紙のほうが、いつもよりきれいに鶴を折ることができました。
これで真夏の買い物を終わります。