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「空間と作品」アーティゾン美術館

日本橋と京橋の間らへんにある、アーティゾン美術館のコレクション展、「空間と作品」に行ってきました。

何気初めてアーティゾンに行った、学校に指定なく学生であれば無料!学生さんは皆行くべき。でもこの展覧会の開催は終わっちゃった!次に期待!



1.概要

リンク画像がポスター、結構シンプル。一見するとゴリゴリの現代美術の展覧会。


美術館の展示室に整然とならぶ美術品、それらは、今日誰もが鑑賞することのできる公共的なものとなっています。ですが、その美術品が生まれた時のことを振り返ると、それは邸宅の建具として作られたり、プライベートな部屋を飾るためにえがかれたりと、それを所有する人との関係によって生み出されたものであることが分かります。また、時を経る間に、何人もの手を渡り、受け継がれてきたものもあります。
この展覧会では(中略)、美術品がどのような状況で生まれ、どのように扱われ、受け継いでこられたのか、その時々の場を想像し体感してみます。

アーティゾン美術館公式ホームページ

実際のところは、作品の持つ物語や場所を体験してみようの展覧会。コレクション展ということで石橋財団が持つ古今東西の色んなものが見られます、やったね。




2.出展作品の幅が広い

 展覧会では本当に色んな場所や時代のものが展示されていました。
 序盤で展示されていたのは木彫の仏像。円空仏という、素朴な感じの仏像で江戸時代のもの。次のエリアには19世紀フランスの画家であるピサロの風景画。後は琳派の絵師、酒井抱一と鈴木其一による掛軸、アーティゾン初めてだったから常設なのか分からないけど、展示室と展示室のつなぎの部分にエジプト18王朝時代のセクメト神像。まじで色々、本当に色々あった。

 ↑色々持ってるね

好きな分野だけというのもいいけど、あれこれよりどりみどりというのも贅沢で嬉しい。


3.「周囲」を展示する

今回の展覧会は「空間と作品」なので空間も展示されています。

空間を展示というのは

「鉢と牛乳入れ」
ポール・セザンヌ(19c)
油彩キャンバス

こんな感じ。

普段の展示だったら、白い壁に絵がちょんとかかっているだけだろうけど、これは周辺に椅子、積まれた本、いい感じに合う壁紙。

絵だけだと分からなかった要素として、周辺の空間があると絵が小窓の向こうみたいな、奥行きがある感じに見えて、いいね。


SNSでよく流れてた、靴を脱いで畳にあがって見る応挙の襖絵も観ました。でも、この見方は今でもお寺の奥院とかを一般公開しているところだと同じ条件で観れたりするから、美術館でやったというのは凄いけど、まぁ、うん…そこまで惹かれなかったかな…

でも、良い展示でした。


あと、周辺を観てみるというのは、絵の本紙だけじゃなく、額や表具を観てみようというところも。

「夏図(十二ヶ月図の内)」部分
酒井抱一、鈴木其一(江戸時代)
絹本著色

描表装!!!!

描表装好き!平成時代の人間は周囲をデコりたい。

この絵の本紙は中央の薄茶けたところに描かれている藤の花。そして本来はただ軸装するのに必要な布が周囲に渡らせてあるけど、ここにも描いちゃえという、粋で好き。

あと、描表装って全体的に情報量が多くなるので可愛くて好き。


額のほうも観てみると、

「タンクの道」
牛島憲之(昭和時代)
油彩キャンバス

現代美術は額縁に入っていない絵も多いけど、大抵の絵は額に入っている。

でもこの絵は、絵と額が本当によく似合っていると思いました。

牛島憲之がどんな人なのか、「タンクの道」がどんな文脈で作られているのかは分からないし、キャプションにも書いてない。

いずれにせよこれが何なのかはわっかんねーけど、絵が静謐でちょっと絵の具の感じがもったりしていて、額縁がその延長でもったりしているなと思った。

たぶん、この絵の額縁がもうちょっと灰色が強かったりしたらまた違う印象になっていたと思う。今のこの絵で言うと、若干白っぽいからか絵全体に暗い印象はない。奥に行ったら薄暗くなるけど今は大丈夫というような。


というか、この展覧会のキャプションは周囲とか空間について触れたものが書かれており、画題については何も無かったり、QRから別途、というスタイル。

いいね、キャプションあるとそっちにある“正解”を先に読もうとしちゃうもんね。



そんなわけで良い展覧会でした。気づいたら期間ギリギリ滑り込みなのはいつもだけどなんでだろう…




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