【SS】青空が待っている
「霧の朝ってそんなに悪くないよ。」
私の言葉に驚いたように和哉は私を見た。何言ってるんだろう。そう思っているに違いない。戸惑う彼に私はいたずらっぽく笑ってみせた。
この街は湖が近いせいか、秋になると時々霧がたつ。時には数メートル先が真っ白になるくらい視界不良になるくらい濃い霧だ。車を運転する時はライトを灯して自分の存在を知らせなくてはいけない。今朝も濃い霧がたち、真っ白な中を恐る恐る運転して何とか会社にたどり着いた。駐車場に停めて車を降りた時も辺りは真っ白なままだった。
「お