母・94歳をスマイルちゃんに
「未来のため」となると、子供のために、これからの世代のために
と考えがちだが、今の私は、母・94歳を笑顔にすることが
私が未来のためにできることのひとつであると思っている。
94歳の母は大腿骨骨折・進行した認知症で介護が必要となり
施設に入居し約10年になる。母は明るい性格で、入居した施設でも
ニッコリ笑顔とともに「ありがとうー」を連発していたらしく
スタッフさんの間で「スマイルちゃん」とあだ名がつけられていた。
その話をスタッフさんから聞いた私は、嬉しく、スマイルちゃんと
呼ばれる母を自慢に思った。
認知症で色々な記憶や思い出を遠い駅に置いてきてしった母。
でも「有難う」と「スマイル」はどこにも置き忘れてない、
ずっと持っている母が自慢だった。
そのスマイルを奪ったのは、コロナ。
コロナ禍は施設も閉鎖され数年に渡り、母と面会できなかった。
施設のスタッフさんも母や入居者の命を守るだけで精一杯だった時期。
15分間だけの面会が再開された時、母の顔から笑顔が消えていた。
人と会話する時間を失った母は、どこか1点を見つめるだけで
笑顔を返してくれる事がなかった。
今、施設での面会は大幅に緩和され、月に数回30分の面会が許される。
「スマイルちゃん」と呼ばれた母の笑顔を取り戻したい。
そう思った私達兄弟は限られた面会時間に、懐かしい歌を唄って、踊って
近況報告をして、写真を見せて。段々と、孫たちも面会に加わり賑やかに。
気のせいかもしれないが、少しずつ母の口元が緩みうなずく事も増えてきたと思う。スマイルちゃんアゲインまでもう少し!
赤ちゃんは、成長までの時間が想像できるが、高齢者の命の時間は想像できない。だからこそ、今の高齢者、母の世代の方々を幸せに、皆と同じように楽しい時間を過ごしてもらう事は大切だと思う。私だって、孫だって年をとる。その時、次は未来の誰かが、私達を大切に思ってもらう為に、高齢者を想う輪を広げていきたい。
今の私は自分・地域・母・施設の方々・高齢者の方々のためにも
母の笑顔を取り戻し「スマイルちゃん」のあだ名を取り戻すべく活動中。
母だけでなく、多くの高齢者の方々が幸せな時間を過ごし
「スマイルちゃん」と呼ばれる未来が来ますように☺
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