グーグルを使わないほうがいいわけ プライバシーを重視したパソコンの設定②
このブログを始めて3か月がたちました。この間にご紹介してきた書籍を通して、デジタル監視社会が強化されていることに気づかされ、いままで無防備だった自分のパソコンやスマホの設定が気になるようになり、3月の投稿でパソコンに加えた変更を綴らせていただきました。
今回は、前回ご紹介したDuckDuckGoという検索エンジンを使用し始めた理由を、最も多くの人が使っているグーグルを使わないほうがいいからという視点から記させていただきました。
あなたの検索履歴は永久に保存される
まず、グーグルについて最近読んだ本の中から、次の一節を取り上げさせていただきます。
この最後の一節にある、定期的に記録を消しているとグーグルが主張した点について、それを否定するような記述をDuckDuckGoのホームページで見つけたので、その部分を日本語にして引用します。
グーグルはあなたの名前とプロフィール、写真などとともに全検索履歴を、今のデジタル監視社会が続く限り、半永久的に持ち続けるということです。あなたがグーグルを通して検索したすべてを記録しているだけでなく、グーグルで検索しなくても、あなたが訪れたサイトの多くにはグーグルのトラッカーという追跡システムが埋め込まれていて、あなたの動きを追い続けています。1年前、いいえ1週間前であっても、自分がした検索ワードを覚えている人はあまり多くないのではないでしょうか。それをグーグルは知っているのです。あなたよりもあなたを知っていると言われる一つの所以です。
グーグルのアプリ内データも保存されている
ここまでの記述だけでも、グーグルをやめたほうがいいと思われた方はいらっしゃると思います。でもグーグルの気持ち悪さはここにとどまりません。YouTubeもグーグル傘下の企業ですから、グーグルはあなたがどんな動画を見ているかを知っています。Gメールを使っていれば、メールの内容もすべて保存されています。カレンダーにあるスケジュール、チャットでの会話、などなど、グーグルが提供するすべてのアプリであなたが入力した内容は、音声を含めほぼ永久に残ると考えたほうがよさそうです。
そして、パソコンだけでなく、スマホのアンドロイドという基本ソフトもグーグルが提供しているもので、グーグルの位置情報サービス経由で行うすべての場所や、アプリを使用する頻度、使用日時、使用場所、操作を共にしたユーザーなどが記録されています。そしてあなたの写真もです。さらには以下のような記述もあります。
これらの情報収集を通して、グーグルはより精度の高い広告の企画を提案でき、そこに顧客企業が集まり、それが広告業界における彼らの地位をさらに盤石なものにしていくという循環が生じていて、当面この流れは止まりそうにありません。
これらのデータは、あなたのフォルダがあって、そこにきれいに時系列に整理されて並んでいるというものではないようですが、やろうと思えば彼らにはその能力があるはずです。その裏付けとなるような個人データの取り扱いについても、DuckDuckGoが指摘していて、離婚などの民事訴訟で弁護士から情報提供を依頼されることがあるようですが、2022年だけで285,000件以上の請求にグーグルは回答していたとあります。何を回答しているかの記載はありませんが、意味のない回答でないから、これだけの依頼がきているのだと考えられます。そして弁護士に情報提供しているのであれば、警察など公的機関にも提供されているでしょう。
あなたの思考がグーグルによって誘導される
あなたが知らないうちにあなたの情報が利用されているという問題も深刻ですが、あなたの思考がグーグルによって誘導されている点が、この話の最も恐ろしいところだと思います。
フィルターバブルという問題が議論されてきたそうです。ユーザーが見たいだろうものだけを表示する泡のようなはかない世界といった意味のようで、手短にまとめると、個人データに基づいて検索結果を操作することです。言い換えると、ユーザーに関する個人情報(検索、閲覧、購入履歴など)に基づいて、グーグルのアルゴリズムがあなたの関心の度合いを判断して検索結果を表示してくるというものです。
フィルターバブルによって、差別や詐欺、個人情報の盗難といった問題も起きているようですが、その影響が最も懸念されているのが政治的な問題においてです。投票先を決めていない有権者が一方に偏った情報を得ているとしたら、それが大きな影響を選挙結果にもたらす可能性があるからです。
アメリカでは実際に、2012年の大統領選挙において、グーグルのフィルターバブルが、ロムニーよりもオバマへのリンクを何千万も増やし、その選挙に大きな影響を与えた可能性があることを示す調査結果をDuckDuckGoが公表しています。その調査結果を受けて、いろいろな機関でさらに調査が行われ、世論も喚起され、グーグルもフィルターバブルの問題を緩和するための措置を講じたと主張するようになったそうです。しかしDuckDuckGoが2018年に、同じ検索ワードで実験参加者に検索してもらうといった調査で、そんな緩和措置の兆候は見られないと、以下のように調査結果をまとめています。
プライベートブラウズとは、閲覧履歴やトラッキングを削減する機能だと言われていますが、それで検索したとしてもグーグルはあなたを追跡し続けているようです。ログアウトして使用してもその追跡から逃れることはできないようです。そうなると、グーグルのアプリ自体を使わないという選択肢しか残らないのですね。
さらには、エッジを提供しているマイクロソフトやヤフーなど、広告収入で事業を維持している企業は、程度の差はあっても、グーグルと同じようなことをしているでしょうし、グーグルに依存してそのビジネスが成り立っている側面もあるのです。
そうなると、DuckDuckGoといった選択肢しか残らないのです。そして、この検索エンジンを使いだして2月ほどとなりますが、特に大きな問題を感じることなく、たくさんのトラッキングが阻止されているのを日々目にしながら、多くの人がこの事実を知る必要があると感じるようになって、今回の記事を書かせていただきました。このnoteでもたぶん作動しているグーグルのトラッキングが、言論の自由を許してくださることを祈りつつ終わります。