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木爾チレン『みんな蛍を殺したかった』

これはエンタメか?ライトノベルか?どういう立ち位置の小説なのかがふわっとしている印象。
どの立ち位置でもいいけれど、最後まで書き切ってほしかった。
ライトノベルといえば西尾維新が一番最初に思い浮かぶけど(西尾維新以外を読んだことがなくてすみません)、あれくらい、裏の裏まで設定が細かくされていたならよかったのに。

黒歴史

あるよね、みんな、黒歴史。
僕もたぶんある。
なんだろ、ぱっと思い出せないけど、たぶんある。
漫画家になりたくてアニメイトでGペンとかスクリーントーンとか買い漁ってたのは淡い夢。
自分には超能力があるかもしれないと思って右手のひらを天に向けていたのは男子ならきっとみんなが経験してること。

そういう、誰もがそういうの、やってるよね笑って雰囲気で終わらせるようなことじゃなくて、もっと、人間なんだから、気持ち悪いって批判されるくらいのこと、小説の中で書き切ってほしかった。
スクールカーストとか底辺とかオタクとか、そういうありきたりな言葉でしか紡げないのなら、自分も誰も救えない。
誰かを救たくて書いてるわけじゃないしっていうのなら、余計なお世話をごめんなさい。

知人の息子が、中学3年生。
母親が、いわゆる育児放棄をしている。
行政にも相談している。
離婚も視野にいれている。
中学3年生なのに、身長が130cmしかない。
朝食も、昼食も、(用意されてないから)食べないのが当たり前の生活をしている。
給食があるじゃんって思うかもしれないけど、小学校からずっと、登校拒否してるから、そういう話じゃない。

プライベートなことだから、専門知識のない僕がとやかく口を挟むことじゃない。
けど、唯一願っていることがある。
ご飯を、朝昼晩と、食べてほしい。

身体は資本だというけれど、身体がダメになったら、何もできない。
ご飯を、食べてほしい。
そして元気になったら、勉強をしてほしい。
学ぶことは、知識を身につけることは、素晴らしいことなのだと知ってほしい。

自分の家の当たり前が、他人の家からすると異常なこと、あったりする。
僕の家は、父親が自営業をやっていたから、平日も土日も関係なく仕事をしていた。
だから、夕飯の食卓に、父親の姿があるなんて、ありえなかった。

高校生のとき、友だちの家でご飯をご馳走になった。
そこに、友だちのお父さんもいた。
僕と、友だちと、友だちの両親で、食卓を囲って晩御飯を食べた。
すごく心配だったのを覚えている。
友だちのお父さん、もしかして仕事してないんじゃないかって。

家族の形なんて、ぜんぶ違って当たり前なのに、どうしてみんな、一緒にしたがるんだろう。
家族の形ほど、他人と比べても意味なんてないのに。

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