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感情のラベリング支援

私の所属する学校に通う生徒の多くは、「愛着障害」という診断を受けています。
「愛着」とは英語では、Attachment「アタッチメント」と表記されていて、「くっつく」「接続する」という意味です。

愛着 イメージ図

この愛着障害は私たちにとっても身近なものです。
健常の人でも愛着の問題を抱えている人は多く存在します。愛着のタイプはさまざまですが、安定型、脱抑制型、抑制型、無秩序無方向型などがあります。
それに加えて、ASD(自閉スペクトラム症)が併せ有すると、さらに複雑な行動特徴が現れるのです。

特に、感情のムラ。これが愛着障害には顕著に見られる場合があります。
通常、私たちは何らかの行動を起こした結果、「心地よいなぁ」「不快だな」などの感情が生じます。

しかし愛着障害のある子どもの場合、行動と感情が結びつかず、その場の感情で行動が決まるという特徴があるのです。

ここ数年で、愛着障害についての理解を深めることができましたが、まだまだ勉強不足です。

宇佐川研(発達障害臨床研究会)では、ケース事例によって触覚防衛反応が背景にあることが考えられています。愛着障害のある子もよくよく見ると、背景には、触覚防衛反応があるのではないかと考えられるのです。
この触覚防衛反応の軽減と一口に言っても簡単ではありません。しかし、少なからず普段からの身体接触を適度に行うこと。心地よく触れ合うことこそが、実践なのではないかと感じています。

そして、不穏な状態のときにこそ、子どもをネガティブな感情から逸らし、心地よい関わりを支援者がすることで、「この人といると心地いいなぁ」「あったかい気持ちになるなぁ」と感じるのです。
現在、私は、愛着障害のある子どもが不穏な状態になった時の対応として、この「逸らす」という支援を行い、最終的に感情のラベリングをすることに取り組んでいます。
 参考にした本は、和歌山大学教授の米澤好史先生の書籍です。

参考にした米澤先生の書籍


感情のラベリングは「誰と何をしたことで、こんな気持ちになったね」と支援者側が気持ちを言い当てる。これが大切だと言われています。
 そこで、私は、ラベリングと言っても言葉かけで終わってしまうので、本人にとって、あの時はこんな気持ちだったなぁと振り返られる何かがあればと思い、「感情のラベリングシール」を作ろうと考えました。

 現在、校内の研究でも他の先生に協力してもらい、作成途中です。
 皆さんもぜひ、ご興味のある方は実践してみてください。