臨場感を演出するのが上手い人は、「グーチョキパーでなにつくろー?」ですら感情の込め方が尋常じゃないという話
ライブの魅力のひとつに、「臨場感」というものがある。
現場にいかなきゃわからない盛り上がり、実際に目にしないと伝わらない歌手の魅力、景色とかボリュームとか、今日はあの曲歌ってくれるかなというドキドキだとか。
実は営業やプレゼンの仕事も、この「臨場感」こそバリューだと思っている。
電話でいいじゃん、メールで送ってよの時代に、なぜわざわざ会いに行くのか。なぜ相手は会いたいと思うのか。
答えは臨場感だ。
その場の空気、テンション、対面ならではのボリューム、デスクから離れることによる非作業感の演出。これらはメールでは体感させられない。
すごい営業は得てして臨場感をつくるのがうまい。
そして生粋の営業は臨場感を具現化したような生き方をしている。
ある営業(フィールドセールス)の方と飲みにいったときのこと、なんの会話の流れかは忘れたが、グーチョキパーでなにつくろー?のあのくだりをやることになった。
なにつくろー?のあとに15点くらいのボケをぶちかまし、とりあえず笑って飲むというやつだ。
このグーチョキパーのくだり、並みの人間ならば、さら~とやってしまう。ここにそれほど意味はないからだ。
しかし、その方は違った。
「グー、チョキ、パーで、グー、チョキ、パーで、なにつくろぉ?????」
確かこんな感じだった。
聞いていたみんなが、その人がグーチョキパーでなにをつくろうとしているのか、フタが開けられる前の高級料理のように引き込まれていた。
繰り出したボケはお酒に紛れて次の日には全く思い出せないほどのものだったが、その瞬間は印象的だった。
「気にならせる空気づくり」という意味において、その方は天才だった。
あれはきっと漫才師がボケの前に間で惹き付けたり、歌手が歌の前のセリフで興奮を高めたりするのに似ている。
この臨場感を出す技術は、一朝一夕で身に付くものではなさそうだ。
久しぶりに、かの名作、英国王のスピーチでも見直すとしよう。