大企業に入れば一生働かなくていいと思っていた話
#企業の幻想と現実
というトピックでやっております。今週のダンキャリ。
今回は大企業の話について。
僕のファーストキャリアは東証一部上場のいわゆる大企業でした。
経営(利益)も比較的安定していて、業界でも上位。商材によってはトップシェアで、競争優位性もある。就職活動が終わった時、周りに内定を話したら、「よかったね~安定だね~」と言われました。
正直バリバリ働きたいというよりは、19時くらいまで残業して、そこそこ頑張ってゆったり過ごせそうだな、という印象で入社しました。
極端なことを言えば、最も働かずにお金をもらえそうなのが大企業だと思っていました。
きっと学生の方で、人気企業ランキングにとりあえず応募し、募集の多い金融やメガベンチャーもなんとなく受けておくか~というモチベーションの人たちは、同じようなことを考えていると思います。
だけど、これだけは覚えておいてほしいです。
幻想と現実①『企業の安定と、自分の人生の安定は全く別物であるということ』
学生の時、これを聞いても僕は理解しなかったと思いますが、それでも、これを知っている人がもう少し多ければ、就活のミスマッチやなんとなく大企業に入って苦い思いをする人が減るんじゃないかと思っています。
多くの大人はなぜか、安定した会社に勤める=安定した人生を送るということだと勘違いしているんですよね。
皆さんは、「安定した人生」ってどんなイメージを持ちますか?
・給料がずっともらえて長く勤めれば昇給する
・定時退社して地元の友達と飲みに行く
・たまに有給休暇で旅行にいく
・同じ場所に住んで子どもを転校させない
こんな感じをイメージされる方、多いと思うんですよね。でも、こういう人生になるかどうかは、会社の経営が安定していることとは全く無関係なんです。
まず、大企業に入ってどこでどんな仕事をするかは自分で決めることができません。その上、失礼な言い方になるかもしれませんが、正直大企業のほとんどの仕事は誰にでもできるアルバイトの延長線上のような仕事です。
例えば会社に入って10年間くらい、その時会社が注力していた部署に配属されたとします。最初の2~3年間くらいは資料作りやOJTで「他人が判断・決定した仕事」をこなします。そして4~7年目で後輩に同じ仕事のやり方を教えます。8~10年目でようやく自分が判断する立場に近づいてくるんです。
そしてこの頃、大企業がその分野・部署に注力するのをやめたとします。
するとどうなるか。会社から見れば、今後注力しない分野に、専門性とも言えない程度のスキルを持った年収600万円くらいの人間がポツンと置き去りになっているわけです。
しかもこれは本人の努力量とはあまり関係がなく、いかに知識経験を深堀りしていようと、こういった状況になることはよくあります。
そして、景気が悪くなったとき、最も金額的に大きな打撃を受けるのが大企業です。そうなった時、日本企業の場合どうなるかというと、クビにはならず、よくわからない場所や部署に異動になります。
しかも全く専門性がなく、10年間の経験を活かせないところに。
実際このタイミングで転職を考え始める方も多いのですが、現実問題、7年間程度は他人が決めた、誰にでもできる仕事をやっていたため、市場価値はものすごく低いんです。
つまり、選択肢が非常に少ない状態に追い込まれるのです。
また、別の観点で言えば、大企業で利益をかっちり出している会社は、無給の長時間労働が常態化していたり、子会社や協力会社にそれを押し付けているケースが多々あります。
労働時間が長く、ストレスが重なって、毎日淡々とした仕事。そんな環境下でメンタルが正常でなくなってしまった上司にあたり、理不尽さから自分自身も鬱になってしまうというケースもあります。
果たしてこれが、安定した人生と言えるのでしょうか。僕自身は、思い描いていた安定と、実際の生活や仕事の違いに驚きましたし、これは安定じゃないな、と思うに至りました。
幻想と現実②『そもそも大企業は経営が安定しているわけではないということ』
ここまでは大企業の経営が安定している(安定的に利益を伸ばしている)ことを前提に書きました。
しかし昨今は、東芝やシャープのように急に経営が傾くことや、銀行や電機メーカーのように具体的に人員削減をする大企業も増えてきています。
最近では富士通の配置転換も大きなニュースになりましたよね。
神戸製鋼や日産自動車、スルガ銀行の不正問題なども話題になっています。
大企業にいると、経営層と距離が遠いため、こういったことに気づきにくくなります。
だから、大企業に入れたぜやっほ~と思ってぼーっとしていると、いつの間にか赤字になっていて、昇格させられない、福利厚生を減らさざるを得ない、段々給料が減る、下手したらクビ、といったことにもなりかねません。
世知辛い話題ではありますが、私は入社して半年くらいでこのことに気づき、毎日帰ってから会社が潰れても役に立ちそうなスキルや知識を勉強するようになりました。
あれほど怠けるつもりで社会に出たのに、時代は超厳しい転換期を迎えていました。優秀で行動する人は社内外でどんどんチャンスを掴み、のんびりしている人は、そういう人がチャンスを掴んでいることすら知らずに過ごしています。
これがもう10年経った時、もはや大企業と呼べるような会社が残っているのかどうかすらわかりません。
安定を望んで大企業を目指す人が、少しでも考えるきっかけになれば幸いです。