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【カヲシン】シンエヴァからカヲル君の幸せを調べた記録

大好きなキャラ、渚カヲル君の幸せについて考えていて、
いろいろな詳しい方々の解説を調べたり、自分でも気になって新劇旧劇、補足のゲームなどを見てセリフを書き出したりしていくうちに、もしかしたらカヲル君の幸せってこういうことなのかな?シンジ君はカヲル君を人生のパートナーに選んだの…?という解釈のひとつの可能性が出てきたので、自分用の覚書としてまとめました。

詳しい方々の解説や考察まとめと自分の二次創作的な感想(考察ではありません)です。


流れで見ていったときの仲良くなるおまじないの意味、
ゲンドウさんとカヲル君が第13号機とエヴァに乗った理由で結び付けられていたこと、第13号機と初号機の関係、加持さんのセリフ、
おそらくレイちゃんカヲル君アスカちゃんの3人がそれぞれシンジ君に愛の告白をしていって、シンジ君が第13号機から救出するときに告白のお返事を返しながら助けていった構成だったこと、
アスカちゃんとレイちゃんには新しい居場所があるといって送り出した中からカヲル君だけ除外されていたこと、
告白のお返事の際、3人の中カヲル君が一人だけ泣いた意味、
新劇場版での二人のアダム(アダムス)の存在の意味など、
詳しい方々の解説を参考にしながらまとめました。
正解や答えはないとは思いますが、ひとつの可能性としてカヲル君好き、カヲシン好きの方に読んで頂けたらうれしいです。

※個人の感想です。他CP等を否定する意図はございません。



カヲル君の考えるシンジ君を幸せにする方法

「碇ゲンドウ、彼が今回の補完の中心、円環の元だ。ここからは僕が引き継ぐよ、碇シンジ君。君は何を望むんだい?」

「僕はいいんだ。辛くても大丈夫だと思う。僕よりも、アスカやみんなを助けたい」
「そうだった、君はイマジナリーではなくリアリティーの中で、すでに立ち直っていたんだね」
「うん。父さんのやったことは、僕が落とし前をつける。アスカ――」

→最後のインパクトのトリガーはアダムベースの第13号機、カヲル君の機体。なのでアダム魂のカヲル君が君は何を望むんだい、と尋ねてくる。
(これまでのインパクトはリリスベースの初号機がトリガー、なのでリリス魂のレイちゃんが碇君は何を望むの、と聞いてくる)

このことからカヲル君が計画していたシンジ君を幸せにする手段は、第13号機とアダムスの力、人類補完計画を利用してシンジ君に臨む世界を与えることで彼を幸せにしたかったと考えられる。
シンジ君を幸せにするため、シンジ君にはエヴァが必要だと考えていた。

ループと旧劇からの流れ


「思い出したよ。何度もここに来て君と会ってる」
「生命の書に名を連ねているからね。何度でも会うさ。僕は君だ。僕も君と同じなんだ。だから君に惹かれた。幸せにしたかったんだ」
※「相補性のある世界を望む、変わらないな、シンジ君は」 
「だからこそあなたが彼を選び、生命の書に名を連ねた」


→旧劇からループしていること、カヲル君は肉体に関係なく記憶を持ち越せること、生命の書に名を連ねることで自らの意思でシンジ君と世界がリセットされても必ず会えるように仕向けたことががわかる




旧劇
「裏切ったな…僕の気持ちを裏切ったな…父さんと同じに裏切ったんだ!」
「カヲル君が好きだって言ってくれたんだ…僕のこと…初めて…初めて人から好きだっていわれたんだ…
僕に似てたんだ…綾波にも…好きだったんだ。生き残るならカヲル君のほうだったんだ… 」
「エヴァンゲリオン初号機…結局僕は、これに乗るしかないのか…好きな人を殺してまで。」

「ここにいたの? ……カヲルくん」補完される

シンジ君が自我境界線を越えてひとつになってもいいと思った人は両親ではなくカヲル君だったことがわかる

「希望なのよ。ヒトは互いに判りあえるかも知れない……ということの」
好きだ、という言葉とともにね」
「だけど、それは見せかけなんだ。自分勝手な思い込みなんだ。祈りみたいなものなんだ。ずっと続くはずないんだ。いつかは裏切られるんだ。
僕を……見捨てるんだ」
「でも……僕はもう一度会いたいと思った。その時の気持ちは本当だと思うから」


旧劇のラストで相補性のある世界を望んだシンジ君。
すべてのキャラとの再会を望んでいるものの、裏切ったな、好きだという言葉をこの時点でシンジ君が言ったのはカヲル君に対してのみだったため、
シンジ君が人々との再会を願った一番の原因はカヲル君だった可能性が出てくる。
※好きだ、という言葉とともにね。いつかは裏切られるんだ。
裏切ったな…僕の気持ちを裏切ったな…父さんと同じに裏切ったんだ!
好きだったんだ。好きな人を殺してまで。

シンジ君が好きだ、また会いたいと望んでくれた気持ちにこたえるため、
この後のタイミングでカヲル君が生命の書に名前を連ねて世界が再構築されても二人が必ず出会えるようにしたと考えられる。
(好き、というお互いの言葉に恋愛感情が含まれているのかは不明。)


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「だから同じエヴァに乗っていたんだね」


「そう、カヲル君は父さんと似てるんだ。だから同じエヴァに乗っていたんだね」
「何だかいつもと違うね、シンジ君。泣かないのかい?」
「うん。涙で救えるのは自分だけだ。僕が泣いても、他の誰も救えない。だから、もう泣かないよ」
「そうか、君はもう成長してたんだった。少し寂しいけど、それもいいね」

「カヲル君は父さんと似てるんだ、だから同じエヴァに乗っていたんだね」


このセリフで重要なのは【だから同じエヴァに乗っていたんだね】という部分と考えられる。

第13号機は絶望の機体、二人が絶望していた存在だという可能性

第13号機とそのエヴァに乗る理由で、ゲンドウさんとカヲル君が似ていると言って結び付けられている可能性
物語の構成で、エヴァに乗る理由はそれぞれのキャラの根本にかかわるように設定されている。
シンエヴァではそれぞれのエヴァに乗る理由に救いを与える形で終了していた。
この言葉から、ゲンドウさんのエヴァに乗った理由、心情の独白=カヲル君の心情、エヴァに乗った本当の理由の説明と近い可能性がある。

(このセリフ以外にも、シンではピアノや座り方、司令であったことなど意図的にゲンドウさんとカヲル君を結びつける描写が描かれている。 )


【もう一つはピアノだ。調律された音は、鍵盤の正しい音を返してくれる。そこに嘘はない。裏切りも失望もない。私を粛々と音の流れに変換してくれる。そのシステムが好きだった。独りが好きだった。私も他人も誰も傷つくことがない。独りが楽だった
だが、ユイと出会い、私は生きていることが楽しいと感じることを知った。ユイだけが、ありのままの私を受け入れてくれた
ユイを失った時、私は私一人で生きる自信がなくなっていた。初めて孤独の苦しさを知った。ユイを失うことに耐えることができなかった。ただ、ユイの胸で泣きたかった。ただ、ユイのそばにいることで自分を変えたかった。ただ、その願いを叶えたかった】


※劇中でカヲル君のことを使徒、人類の敵ではなく一人の友人、人間として一貫して見てくれていたのは加持さんとシンジ君だけだったと考えられる。

旧劇の補足のゲーム内セリフでは、IFルートも含むのでそのままをあてはめることはできないが、カヲル君の孤独な心の一端を垣間見ることができる。

僕は道具じゃないのに 僕の価値 はじめから決まっていたこと 
そのために僕は生まれた 
一人のヒトとしての僕は最初からいらなかったんだ 
僕のことを最初から相いれないものだとみんな思ってたんだ 
もともとひとりだった 一人は平気だったのに
今は誰かにやさしくしてほしい
誰かが僕を包んでくれるという望みを捨てられない

シンジ君に会って、嬉しかった、同時に悲しみもあった。
その時から安らぎを失った、君を知りすぎたせいかもしれない
好きだよ、シンジ君。君のことが。


【カヲル君は父さんと似てるんだ】2人の共通点



①ゲンドウさんは旧劇ではアダムの幼体、新劇ではネブカドネザルの鍵(アダムスの肉体)を体に取り入れた存在、
旧劇新劇でカヲル君は人間のクローン体にアダム、アダムスの魂を受胎させた、二人とも人間とアダムのハイブリッドという点で似た存在。

詳しい方々の解説によると、新劇ではネブカドネザルの鍵によってゲンドウさんが第一使徒アダムス(カヲル君)と同格の存在となり、アダム、アダムスという属性によって二人は結び付けられている。

言い換えるとアダム魂がカヲル君で、アダム肉体がゲンドウさん、二人のアダム(アダムス)とも言える


②また精神的には、ゲンドウさんはユイさん、カヲル君はシンジ君という特定の他者の存在を強く求め、執着している点が共通している。

エヴァに乗った理由はゲンドウさんはユイさんに会うため。カヲル君はシンジ君を幸せにするため。二人は執着する特定の個人のために第13号機のエヴァに乗ったという動機が共通している


③シンジ君から見て、ゲンドウさんは実の父親、シンジ君が父親を重ねてみていた、おそらくは精神的な理想の父親という一面があったのがカヲル君。※「裏切ったな、父さんと同じで見捨てるんだ」「いつかは裏切られるんだ。僕を……見捨てるんだ」

※詳しい方々の解説によると、ゼーレによってゴルゴダオブジェクトに保管されているアダムス=旧作量産機のダミープラグに入れられていた9体のカヲルクローン。旧劇でアダムだったものが9体のアダムスへと名称を変えて新劇場版に登場。
第一使徒アダムス=渚カヲル。アダムスの肉体と魂を分け、魂はカヲルクローン体に入れて「渚カヲル」へ、余った肉体はネブカドネザルの鍵へと加工されたのではないかと言われている。新劇場版でゲンドウが体内に取り込んだのはアダムスの肉体。
ゲンドウは、ネブカドネザルの鍵(アダムスの肉体)によって「神」と人類を紡ぐ存在第1使徒である渚カヲルと同等の地位になった。
※カヲル君のクローン体のオリジナルがゲンドウさん、という説はセリフやシーンでそのような記述はなかったため、ここでは除外する。




ゲンドウさんはユイさんに会うため、「ユイのとなりにいて、ただ自分を変えたかった。ただユイの胸で泣きたかった」から、
ユイさんのそばにいて自分が幸せになりたくて(シンで)エヴァに乗った。

それをあてはめると、
カヲル君は本人の自覚する領域では、「シンジ君を幸せにするために」エヴァに乗った。
自覚できない領域では、カヲル君は、自分がシンジ君に会いたくて、生命の書に名を連ねた。
「シンジ君のとなりにいて、ただ自分を変えたかった。ただシンジ君の胸で泣きたかった」から、シンジくんのそばにいて自分が幸せになりたくてエヴァに乗ったという解釈の可能性がある。


ミドリさん(クルーの一人)はゲンドウさんの行動を評して
【アナザーインパクトまで無理やり起こして、あの男は何がしたいんですか?】馬鹿らしい、ただのエゴじゃん】と言った。
加持さんはカヲル君の行動を評して、
ええ、それはあなたの幸せだったんです。渚司令
あなたはシンジ君を幸せにしたいんじゃない。それにより、あなたが幸せになりたかったんです
】と言った。
ゲンドウさんとカヲル君がエヴァに乗った理由はそれぞれユイさん、
シンジ君に会うこと、一緒にいられること。
それが二人の願いであり、エゴであり、
二人とも自分が幸せになりたくて行動していた。



自分が気になっていたこと


自分が気になった点をまとめると、
①ゲンドウさんはユイさんなしで幸せを感じられない。
エヴァに乗った理由が重ねられているカヲル君もシンジ君なしで幸せになれない。
シンジ君と一緒にいて自分が幸せになりたくて、生命の書に名前を連ねて記憶を保ちながらループし続け、エヴァに乗った可能性がある。


②初号機以外のエヴァや使徒、戦艦や槍、裏死海文書等は、すべてカヲル君(アダム、アダムス)由来。
エヴァの物語、エヴァのある世界はカヲル君(アダム)の物語でもあり、カヲル君のいたせいではじまった世界。

本来カヲル君がシンジ君の前から消える、地球から離れれば戦う必要はなくなり、シンジ君は幸せになり、物語はハッピーエンドとなるはず。
またカヲル君自身もおそらく人類補完計画やループからも解放され、ゼーレに利用されることも毎回(クローン体の)命を落とす必要もなくなる。
(また、シンジ君というカヲル君にとっての唯一の弱点、好意を抱いた人物、人類の救世主碇シンジが存在しない、あるいは彼に好意を抱かなければ、
カヲル君は最初の段階でゼーレの計画通りにインパクトを起こすなり、人類を絶滅することもできたのかもしれない。)

それらの選択を二人とも選ばなかったのは、
二人がお互いにともに生きたいと願っていたからという可能性が出てくる。

(※旧劇の補足のゲーム、エヴァ2よりシンジ君のセリフより
僕の希望でもあったんだ 君と一緒にいたいって思ってたんだ
僕は君が好きだったんだ 君を好きになるのは僕の自由だ
僕は君に出会えたことがうれしかったんだ。
僕が探していたのは君だったんだって嬉しかったんだ。
僕とやりなおせるよ、違う生き方があるよ、
僕も、君も 一緒にやりなおそうよ、カヲル君
カヲル君は僕にとって必要な人間なんだ 僕がいるよ、ずっとそばにいる! そしたら君も僕もひとりじゃなくなるんだ) 

③仮に二人がともに生きたいと願っていても、人類(リリン、リリスベース)とアダムベースの使徒は種が違うため同じ星に同時に存在してはならず、どちらかが滅びなけばいけないルール。
だからカヲル君はシンジ君(リリン)を生かし、未来を与え、自分は滅びる選択を常にしてきた。→今度こそ『君だけは』幸せにしてみせるよ、幸せにしたかったんだ



「カヲル君、第13号機、君のエヴァも処分しようと思う」
「うん。エヴァを捨てるか――。すまない。僕は君の幸せを誤解していた」
「ええ、それはあなたの幸せだったんです。渚司令」
「あなたはシンジ君を幸せにしたいんじゃない。それにより、あなたが幸せになりたかったんです」
「僕の存在を消せるのは真空崩壊だけだ。だから僕は、定められた円環の物語の中で、演じることを永遠に繰り返さなければならない」



カヲル君、第十三号機、君のエヴァも処分しようと思う。
→エヴァを処分することで、カヲル君を人間にする、二人の間ではネオンジェネシスに挑むこともこの一言で通じていると考えられる。
シンジ君の幸せにエヴァは必要ないこともこの言葉でカヲル君に伝えられた。

すまない、僕は君の幸せを誤解してきた。
→可能性①シンジ君が相補性の幸せを望むことは理解していた。だからシンジ君と、その相補性の幸せの源であるリリンたちを生かし、安らぎと彼の居場所へとシンジ君を送り出し、自分は消えることでシンジ君を幸せにできると信じて行動していた。(※シンジ君は安らぎと自分の場所を見つけるといい、縁が君を導くだろう。今度こそ『君だけは』幸せにしてみせるよ)

言い換えると、シンジ君の幸せに自分の存在は必要ないと考えていたとも言える。

でもシンジ君がエヴァを処分し、新しい人が生きていける世界を作り、カヲル君も人間にするということは=シンジ君の相補性の幸せにはカヲル君も必要な存在であったことをいうこと。
シンジ君の幸せに自分の存在が必要であることを知り、これまで自分を犠牲にシンジ君を救ったつもりになっていたことで、シンジ君を不幸にしたことを謝った。


可能性②第13号機とアダムの力、人類補完計画を利用してシンジ君に彼の望む世界を与えることがカヲル君の描いていた自分の手によってシンジ君を幸せにする方法。
自己肯定のできないシンジ君のアイデンティティはエヴァに乗っていること、エヴァのある世界でシンジ君が幸せになる道を探すのが最善だと考えていた。
でもシンジ君はイマジナリーではなくリアリティの中で成長しエヴァがなくても幸せだと気付けた。
時間も空間も戻さない、エヴァのない世界へ書き換えるという決意をした。

シンジ君はエヴァを必要としている、シンジ君を幸せにするためにはエヴァが必要だと考えていたことが誤解だったことを謝罪した。


カヲル君のエゴと幸せって何だったのか


そう、それはあなたの幸せだったんです、渚司令。あなたはシンジ君を幸せにしたいんじゃない。あなたが幸せになりたかったんです。

可能性① 
不思議に思っていたこと
Qの時にカヲル君は自分以外のほかの友達を心配するシンジ君に、ほとんどの人類は絶滅したかのように話し、第三村の存在を教えなかった。
もしシンジ君を少しでも楽な精神状態(幸せな状態)にしたいなら、第三村で友人たちが生きている可能性を教えるのが一番早いと考えられる。
シンジ君がトウジ君のことを心配している時、カヲル君の声や表情はとても暗く描写されている。



根本的に、もし本当にシンジ君を幸せにしたいなら、初号機以外のエヴァ、使徒、物語の始まったすべての原因であるアダム、アダムスの魂であるカヲル君がシンジ君の前から消え、地球を離れればシンジ君は戦う必要がなく、平和な世界でシンジ君を生かし幸せにしてあげられるのでは、という疑問ががあった。(実際に旧劇の補足のゲームではそのエンドがある)

でもその選択をしない、できなかった原因は、
①シンジ君がエヴァを必要としている、シンジ君の幸せにはエヴァが必要と考えていた
②エヴァに乗る理由がゲンドウさんと似ているカヲル君は=実はカヲル君自身がシンジ君と会えないことが耐えられなかったからという答えが描写されていた可能性がある。

【シンジ君と出会い、僕は生きていることが楽しいと感じることを知った。シンジ君だけが、ありのままの僕を受け入れてくれた。
シンジ君を失った時、僕は僕一人で生きる自信がなくなっていた。
初めて孤独の苦しさを知った。シンジ君を失うことに耐えることができなかった。ただ、シンジ君の胸で泣きたかった。ただ、シンジ君のそばにいることで自分を変えたかった。ただ、その願いを叶えたかった】

※これは反転してシンジ君にも言えることで、リリスとアダムの二つの種が一つの星に着床してしまったことで起きる争いなのだから、
本来カヲル君を消してしまえば物語はハッピーエンドとなるしシンジ君は戦いから解放され幸せになれるはず。
劇中でカヲル君を失って絶望し、不幸になるのはシンジ君のみ。シンジ君以外の誰も、カヲル君が消えても泣かないし悲しまない。


可能性②
僕を消せるのは真空崩壊だけだ。だから僕は、定められた円環の物語の中で、演じることを永遠に繰り返さなければならないとのセリフから、
何らかのルールに縛られた存在であるため、カヲル君自身で選択できることは少ない。
自分は幸せを望めないしともに生きられないかわりに、
自分に似た存在である好きな子を幸せにするためにエヴァに乗り犠牲となり、自分の存在しない世界に彼を送り出し、幸せにしようとしてきた。
(君は僕だ、僕も君と同じなんだ 君に惹かれた、幸せにしたかったんだ。
好意に値するよ、好きってことさ。)
※カヲル君はシンジ君に自己投影していた、似た存在だと感じていた→ (君は僕だ、僕も君と同じなんだ)

けれどゲンドウさんがどこであれユイさんのとなりにいたいと望んだことを考えると、本当はシンジ君と一緒にいたい、シンジ君の隣にいて幸せになりたい、それがカヲル君の抑圧してきた本当の望み、
彼の願う幸せだった可能性がある。


そう、それはシンジ君と会いたいというあなたの幸せだったんです、渚司令。
あなたは自分を犠牲にして、シンジ君を幸せにしたいんじゃない。
シンジ君の隣にいて、あなたが幸せになりたかったんです。



僕の存在を消せるのは真空崩壊だけだ。だから僕は、定められた円環の物語の中で、演じることを永遠に繰り返さなければならない

今までなぜカヲル君が自分を犠牲にする行動を選んできたのか、彼がなぜ本当の望みと自分の幸せを認めることができなかったのか、幸せを望めなかったのかの原因の説明がされている可能性がある。カヲル君もまたなんらかのルールに縛られた存在であったこと、神のような存在ではあっても、ルールの変更はできないこと、カヲル君の望み通りに動かせる世界ではなかったことがわかる。


仲良くなるおまじない


「仲良くなるおまじないだよ」


シンジ君に対してレイちゃん、アスカちゃん、カヲル君がそれぞれの愛の告白をしていき、
シンジ君が第13号機からそれぞれの魂を救出する際に告白のお返事を返していくという構成になっている。


レイちゃん、アスカちゃん、カヲル君それぞれの愛の告白の流れ



仲良くなるおまじないを生み出したのはヒカリちゃん。
手をつなぐ親子を見てあれはなにと尋ねるレイちゃんに、 そうね、仲良くなるためのおまじない 、と言ってレイちゃんに手を差し伸べる。



①レイちゃんの告白   

「碇君が好きだから。これ、仲良くなるための、おまじない」
(右手を差し出す。)
「好きな人と、ずっと一緒にいたかった」

        
レイちゃんからシンジ君へ伝えられた時は、好きな人と仲良くしたいという気持ちの表現、好きだから、あなたと一緒にいたいという愛の告白と一緒にして伝えた。
シンジ君はレイちゃんから愛の告白の方法とおまじないを学ぶ。


②アスカちゃんの告白  

いつか食べたあんたの弁当、おいしかった。
あのころはシンジのこと好きだったんだと思う。
→直後、シンジ君の脳裏にカヲル君の幻影
『シンジ君は安らぎと自分の場所を見つけるといい』
『そうだね、カヲル君。』            

シンジ君の中で好き、好意と安らぎと自分の場所という言葉が結び付けられる。


③アスカちゃんがシンジ君に今現在、固執しなくていい理由
アスカちゃん

【ガキに必要なのは恋人じゃない、母親よ。】

救済のシーンで彼女が子供の姿で登場し、ケンスケさんに頭をなでられていたこと、没になったラストシーンでは大人のケンスケさんと子供のアスカちゃんがいたことから、おそらくこれはアスカちゃん自身のことを言っている。
アスカちゃんは自分では
私のほうが先に大人になっちゃった、と言っていた。
でもシンでのケンスケさんやヒカリさん、トウジさんと比べて情緒面で成長していない(シンジ君への接し方など)ことが浮き彫りになっていると感じる。
今、本質的には小さな子供のアスカちゃんに必要なのは恋人(シンジ君)ではなく父親(ケンスケさん)という意味の可能性がある。
(ケンスケさんとアスカちゃんの精神年齢やエヴァのあった世界での肉体年齢の違いから、私は二人は恋愛関係ではなく、親子のようなものと考えています。
個人的にはアスカちゃんはシンジ君が助けてくれなかったことをずっと怒っていたり、見送りの際にシンジ君に好きだったよと言われ赤面していた反応などから、ずっとシンジ君のことを恋愛として愛していたんじゃないかな?と感じました)


④レイちゃんが新世界でシンジ君に固執しなくていい理由


あんたたち綾波シリーズは、第三の少年(シンジ君)に好意を持つように調整されてる。今の感情は、最初からネルフに仕組まれたものよ 

→レイちゃんのシンジ君への深い愛情は本物だとしても、好意(恋愛感情?)は仕組まれたものだった。だからレイちゃんは新しい世界では、幸せになるために恋の相手としてのシンジ君にとらわれる必要はない。


(過去のゲンドウさんとユイさん、妊娠しているユイさんに、おなかの中の赤ちゃんが【男だったらシンジ、女だったらレイと名付ける】)



    
        
⑤カヲル君の愛の告白  


 君は僕だ、僕も君と同じなんだ
 君に惹かれた、幸せにしたかったんだ
 旧劇【好意に価するよ、好きってことさ】


それぞれの愛の告白に対してのシンジ君の返事

⑥アスカちゃんには 

ありがとう。僕を好きだと言ってくれて。
僕も、アスカが好きだったよ
さよならアスカ、ケンスケによろしく       
 


⑦レイちゃんには 

もう一人の君は、ここじゃない居場所を見つけた。
アスカも戻ったら、新しい居場所に気づくと思う 
ここじゃない君の生き方もあるよ     

先にアスカちゃんとカヲル君を救出して見送ったにも関わらず、新しい居場所という言葉から、カヲル君だけ除外されている。

可能性 
レイちゃんは他に居場所を作ることができた。
アスカちゃんもシンジ君から見て、新しい居場所があると見えた。
旧劇で言葉にして描かれ、シンエヴァで救済が与えられたエヴァに乗る理由(魂の課題)が二人の場合は個人的な精神の問題のため、
二人が幸せになり、救われるためにシンジ君にこだわらなくてもいい。

カヲル君がエヴァに乗ったのはシンジ君を幸せにするため
(本人が自覚できる範囲では)。
ゲンドウさんの幸せにはユイさんが必要。
ゲンドウさんにエヴァに乗る理由が似ているカヲル君もエヴァに乗る(生きる)理由がシンジ君であり、彼の幸せにはシンジ君が必要。
彼を救済し、エヴァに乗る理由、絶望に救いを与えるためにはシンジ君の存在が必要なため、彼には自分以外の新しい居場所があるとは言えなかった可能性がある。


※アスカちゃん「いいんだ。アスカはアスカだ。それだけで十分さ
→旧劇のインタビューで、カヲル君は初めてシンジ君に『君はそのままでいいんじゃない』というありのままを受け入れる愛情を
言葉にして示した唯一の人であることが解説されていた。
アスカちゃんも同様に、エヴァに乗る理由への救済と、ありのままでいいというメッセージがケンスケさんから与えられた。


レイちゃん 好きってわかった、うれしい。ここが好き。
→自分がわからない、好きがわからない、みんなとの絆のためにエヴァに乗ったレイちゃん。
エヴァに乗らなくても絆と居場所を作ることができ、好きという気持ちを自分のものとして感じることができ、空白の心が満たされた。

※シンジ君は安らぎと自分の場所を見つければいい。縁が君を導くだろう。「あなたはこの村にいて、仕事をしないの?」
「あんたバカぁ? ここは私がいる所じゃない。守るところよ」



※シンの村パートではシンジ君がカヲル君とピアノを弾いていた場所を想起させるネルフ第2支部N109棟跡へ家出していたことから、
カヲル君との思い出がシンジ君の心の避難場所だったと推測できる。
シンジ君の相補性の幸せの源であるケンスケ君やトウジ君、アスカちゃんレイちゃん、すべてのキャラとの交流を拒絶している極限の精神状態で、彼が求めていた心の拠り所、居場所はカヲル君の存在だったという可能性が生まれる。
 →僕はもう、誰とも笑えません。▶Qの極限の精神状態でもカヲル君とは笑えるようになっていた 


    

⑧カヲル君には  

仲良くなるおまじないだよ

劇中で唯一シンジ君から手を差し出し、握手する。
他のキャラとの握手は相手から。
また、仲良くなるおまじないだよ、と言いながらおまじないとして手を差し伸べたのもカヲル君のみ。
→カヲル君、一瞬驚いたような表情をしたあと、笑顔で涙を流し、
手を握り返す。3人の中で泣いたのはカヲル君だけ。
         
  

レイちゃんからシンジ君へ伝えられた愛の告白と仲良くなるおまじない。
「碇君が好きだから。話してくれてありがとう。
これ、仲良くなるための、おまじない」
これをあてはめると、
「カヲル君が好きだから、話してくれてありがとう。
仲良くなるおまじないだよ」
旧劇【好きだったんだ、好きな人を殺してまで】

          

旧劇「幸せがどこにあるのか、まだ判らない。だけど、ここにいて……生まれてきてどうだったのかは、これからも考え続ける。だけど、それも当たり前のことに何度も気づくだけなんだ。自分が自分でいるために」

新劇 「相補性のある世界を望む。変わらないな、シンジ君は」

相補性のある世界がシンジ君の幸せ。
カヲル君はシンジ君の相補性のある幸せにとって必要な存在だった。

本来は相補性を必要としない、単独で完結した巨大生命体、エイリアンだったカヲル君はシンジ君への好意を通して相補性を必要とする存在、
自分の幸せを求める存在へと変化していった。

カヲル君の幸せはシンジ君の存在そのもの。

二人は互いの存在に、幸せと安らぎ、自分の居場所を見出し、大切な友人から人生のパートナーになったのではないかというひとつの解釈の可能性が生まれる。

人類にとっては敵の巨大生命体のラスボスカヲル君と、
人類を守るエヴァパイロットのシンジ君。
二人が仲良くなるおまじないによって結ばれたことで、
使徒と人類の戦いは平和と愛のうちに終わったことの象徴なのかなとも感じました。

※第13号機は絶望の機体、カヲル君とゲンドウさんは絶望が共通している。
二人に共通する絶望は、ゲンドウさんはユイさんに会えない、一緒にいられないこと、カヲル君はシンジ君と生きたいと望んでいても、異種ゆえに死別し、一緒にいられないという、愛する人と共にいられないという同じ種類の絶望を抱えていた可能性がある。
(対となる希望の機体に乗っているのは、その絶望に救いを与えることのできる唯一の希望の人物という関連づけがあるのかもしれない。)
ユイさんとともに消えることを望んだゲンドウさん。
カヲル君を絶望から救済するためには、どこであれシンジ君が共にいてあげることが唯一カヲル君を救える方法ということになる、という見方ができる。

※救済シーンでマリさんが除外されていた理由

マリさんはエヴァパイロットではあっても本当の意味では
エヴァチルドレンではない。
ゼーレやゲンドウさんに利用される形で運命を仕組まれた子どもではなく
唯一自分の意志でシンジ君や子どもたち(人類)を救うためにエヴァに乗った本当の大人。(精神がこどもであった偽の大人であるゲンドウさんとも違う)

出自はユイさん、ゲンドウさんと同世代で同じ冬月ゼミに所属し、エヴァの開発とおそらくは綾波タイプと式波タイプのクローン開発にも携わった科学者。ユイさんの『ネオンジェネシスの際にシンジ君の身代わりになり、シンジ君をエヴァのない世界へ送りだす』という願いをかなえるため、自分自身をクローン化し、エヴァに乗ってシンジ君のネオンジェネシスをサポートした、シンジ君にとっては母の友人。

救済の必要のない真の大人だったため、除外されていたと考えられる。

実年齢と精神年齢の差、またシンジ君の場合は赤ちゃんの頃から彼を知っている母の友人という立場だったこと、レイちゃんアスカちゃんのクローンを開発し、その誕生にかかわったかもしれない母的な立場であること、ユイさんの願い(人類)のために命を懸けてエヴァに乗ったことから、同じく協力関係にあった冬月先生同様おそらくはユイさんを尊敬、または愛していること、その彼女から息子を託された立場であることを考え、たとえ彼らが大人になったとしてもアスカちゃん、レイちゃん、カヲル君、シンジ君と恋愛関係になることは個人的にはあまり考えにくいと感じています。

※レイちゃん、カヲル君のクローン体と魂を回収し、再構成後の世界へ送り出して彼らが存在できるようにしたのはマリさんだといわれている。

「生き残った命を、子供たちを頼むわ、リツコ」「マリ!シンジくんを!」「あたぼうよ!必ず連れて帰る!」「頼むわ!」

※セリフから、ミサトさんは子供たち(おそらくはエヴァチルドレン4人とリョウジ君)を助ける目的を共有している、マリさんのことは保護者側の人間として認識している可能性がある。

※「By the way, ワンコ君との進捗どうだったん?」
「ほう。年頃の男の子は眼中にないと」
「頭髪には、神も汚れも煩悩も宿っている。まさにカオスな人の心の象徴よん。姫が紛れもなく人間である証じゃないの」

「なら、早く逃げちゃえばいいのに。ほら、手伝うからさ」
「だけどなあ、そうやっていじけてたって、なんにも楽しいことないよ」
「君は、よくやってる。偉いよ、碇シンジくん。」
「ほほう、いっぱしの口をきくようになっちって」


セリフを読んでいくと、マリさんは常に保護者的立場からシンジ君やアスカちゃんに接してきたように感じます。(ほかの大人たちに対するのとは違い、二人に対してスキンシップ多め)



シンジ君の覚悟

これは私の感想です。

Qの時はシンジ君は自分の罪を負わせる、
責任を擦り付ける形でカヲル君を犠牲にしてしまった。
カヲル君が罪を肩代わりしてかわりに罪を贖ってくれたとしても、
彼の存在を失えばシンジ君は相補性のある幸せな状態から遠ざかる。
だからシンジ君は救われるどころか余計に苦しみ不幸になった。

シンジ君がカヲル君、レイちゃん、アスカちゃんの
魂を救出し、シャッターを閉めたのは
以後第13号機に彼らの魂が干渉してこれないようにし、
ネオンジェネシスという贖罪の儀式の際に大切な人たちを危険にさらさない、すべての行動の責任は自分でとる、罪は自分の意志で自分で償うという決意のあらわれの、大切な描写ではないかと考える。

特にカヲル君に対して、Qでのシンジ君は依存の傾向があるように描写されている。


→自分が見たいと望んだ(頷いた)のに、
「罪だなんて……何もしてないよ! 僕は関係ないよ!」
「渚君が見せたんじゃないか……あの真っ赤な、どうしようもない世界」

「槍が必要だって君が言ったんだ。だから僕は、エヴァに乗ったんだよ!」
「カヲル君、僕は……どうしたらいいの?」


提示してきたのはカヲル君だが、それを選択し、
自分が望んだはずの行動の責任と動機をカヲル君に転嫁する、
カヲル君もそれを君のせいじゃない、と言って受け入れ、
代わりに責任と罪を背負う構造になっている。

最後の決戦でカヲル君のピアノが汚されていくシーンを悲壮な表情で見つめ、それでも立ち上がった描写などから、 
大人になったシンジ君はカヲル君への不適切な依存を断ち切り、
自分の相補性の幸せに必要な存在である彼を守る決心をし、
自分の罪を自分で償う決断をしたという見方ができる。

罪は自分の意志で償おうとしなければ、贖罪の意味がない。
自分のやらかしたことには落とし前っちゅうか、けじめをつけたい。
僕は僕の落とし前をつけたい。
父さんのやったことは、僕が落とし前をつける。


加持さんの謎のセリフ


「相補性のある世界を望む。変わらないな、シンジ君は」
「だからこそ、あなたが彼を選び、生命の書に名を書き連ねた」
「渚とは海の陸の狭間。第一の使徒であり、第十三の使徒となる人類の狭間を紡ぐ、あなたらしい名前だ。あなたは十分に使命を果たした。あとは、彼に引き継いでもらってもいいでしょう」



劇中でゲンドウさんとカヲル君が第13号機とエヴァに乗る理由で重ねられていた。また、第13号機は初号機と対をなす存在だと強調されて描写されていた。第13号機はゲンドウさん、カヲル君と結び付けられている。

第十三のエヴァ。希望の初号機と対を成す、絶望の機体だ。互いに同調し、調律をしている。
⓪カヲル君は父さんと似てるんだ。だから同じエヴァに乗っていたんだね。

第13号機と初号機の関係をまとめたうえで、
二人のアダム、カヲル君とゲンドウさんの2人が執着していた個人との関係性(エヴァに乗った理由である個人の存在)だけを抽出すると

第13号機             ⇔        初号機
ゲンドウさん(アダム肉体)      ⇔      ユイさん(イブ?)
カヲル君(アダム魂)         ⇔       シンジ君(魂イブ?)


となる可能性がある。
※詳しい方々の解説によるとシンジ君はネオンジェネシスで、人類をリリンからアダムとイブの子(存在しないはずの第13の使徒)に書き換えた可能性があるとのこと。新世界のアダムとイヴになったのはネオンジェネシス時に実際に依り代の魂となったゲンドウさんとユイさんではないかと言われている。
だからレイちゃんもカヲル君もみんな同じ世界に存在でき、
使徒もリリスもリリンもアダムも皆一つの種族として統合され、
物語の始まりや要所では白い鳩が飛び立った後、幻影のレイちゃん(リリス)がリリン(わが子である人類)を見守るシーンがあるが、ラストシーンでは白い鳩が飛び立った後も、リリスの姿はなくなっているという仮説を参照。
※始まりと終わりは同じ 1と13、初号機と第13号機、第一使徒と第13使徒
(この理屈に従うとシンジ君がイブになってしまうのが若干荒唐無稽な気がしますが、肉体の性別は関係のない次元の話、神話的な、魂の話だと仮定しています。)


これをあてはめると、謎の加持さんのセリフに一つの解釈の可能性が生まれる。


だからこそあなた(魂アダム、カヲル君)が彼(魂イブ、シンジ君)を選び、生命の書に名前を連ねた。
渚とは海(使徒、神)と陸(人間)のはざま、第一の使徒(アダム)であり、第十三の使徒となる人類(リリンからアダムとイブの子となる人類)のはざまを紡ぐ、あなたらしい名前だ。
あなたは十分に(アダムの)使命を果たした。あとはシンジ君に(アダムとイブの使命を)引き継いでもらっていいでしょう。

※カヲル君の使命について調べていて、旧劇の補足のゲームにてアダムの種を繁栄させる、アダムの運命というセリフがあったので参照。
カヲル君は力と永遠の命を喪うかわりにシンジ君とも皆とも同種の存在となり、アダムとイブの子として、自分の種を繁栄させるアダムの使命をシンジ君にゆだね平和的な方法で果たし、リリスの魂であるレイちゃんとも一緒に生きられるようになった、という可能性。

(※これは完全に私の想像ですが、加持さんのセリフの時系列時点では、シンジ君がネオンジェネシスの依り代となるつもりだったなら、故人である加持さんというお迎えが来ていたカヲル君魂(アダム魂)のあとを追う形で、シンジ君はイブ魂として創世に命を捧げ、後追い心中するといった意味合いのセリフだったのかもしれないと想像しています。

仮に天国でミサトさん、加持さん、シンジ君、カヲル君の魂が合流するとし、再構成直後の世界では4人は存在しない(または故人となっている)が、
来世で4人の魂が同じようなタイミングで生まれ、出会い、老後に皆で畑仕事をするつもりだったのなら「老後は葛城と畑仕事でもどうです?」という謎のセリフにも若干の整合性が生まれるかもしれません…?)


「私はここでいい」
「もう一人の君は、ここじゃない居場所を見つけた。アスカも戻ったら、新しい居場所に気づくと思う」
「エヴァに乗らない幸せ。碇君にそうして欲しかった」
「うん。だから、ここじゃない君の生き方もあるよ」
「そう?」
「そうだ。僕もエヴァに乗らない生き方を選ぶよ。時間も世界も戻さない。ただ、〝エヴァがなくてもいい世界〟に書き換えるだけだ。新しい、人が生きていける世界に」



レイちゃんとカヲル君はシンジ君が母親っぽさを、父親をそれぞれ重ねてみていた存在。
(レイちゃんの場合は魂がリリスでリリンであるシンジ君とは魂的に母と息子、体はユイさんのクローンなので身体的にもシンジ君とは母と子の関係の側面がある)
二人はリリスとアダムで、もし旧約聖書の設定に従うなら価値観の不一致で離婚した元夫婦ということになる。
( 人類補完計画のたびに融合という形で強制結婚させられ、旧劇、新劇ともにラストシーンでは必ず二人が一緒にいる。)

※詳しい方の解説ではエヴァのある世界でのアダムの妻、イブはエヴァの機体だと考えられている。(エヴァはイブの別の読み方。聖書ではアダムの肋骨からイブはつくられたため、アダムの体から作られた初号機以外のアダムベースのエヴァがイブなのではないかといわれている。) 
旧約聖書の世界では、リリスはアダムの最初の妻だがのちにアダムの元を離れ、アダムはイブを自らの妻とし、永遠の命を奪われ楽園を追われ新世界にアダムとイブの子たちを繁栄させる。

「老後は葛城と畑仕事でもどうです」
「そうだね、それもいいね。」

これは私の感想です。
→カヲル君に老いがあるということは、不滅性を失い人間になったということ。
ミサトさんは使徒(アダム、ある意味ではカヲル君)への復讐のために生きていた人だった。そのミサトさんとともに畑を耕すというのは、カヲル君が人間となり相補性の幸せの中で生きていける存在になったという象徴の言葉なのかなと考えました。

シンジ君が時間も世界も戻さないといったので、この時点で亡くなっているミサトさんと加持さんが再構成後の世界にいるとは考えにくいが、
今世や来世においてもエヴァのあった世界での人との縁は続いていくという希望を現した言葉の可能性がある。


終わりに


ラストシーンではシンジ君視点で、一瞬のロングショットで大人になった姿のアスカちゃん、レイちゃん、カヲル君の3人が駅にいる画が映された後、
3人をそれぞれ映してもいい(シンジ君の視線が3人全員を確認する)はずだが、実際には視点の中央付近(顔を動かさず視線だけで追っていると考える)にカヲル君がいてこちら側を向き、レイちゃんらしき女性が後ろを向いている画のみが固定されて描かれた。

仮に、彼が旧劇から一貫してともに生きたいと願っていた(シンジ君はリリンなので世界がリセットされるたびに記憶は失う)、シンジ君の相補性の幸せにとって最も重要な人物がカヲル君だとするなら、長いループの果てについにカヲル君はシンジ君と同種となり、二人は一緒に生きていける世界に存在しているということになる。

人類補完計画とループの及ぶ範囲は地球限定といわれている。エヴァをなくした世界で生命の書が存在するのかは不明だが、それが宇宙にあるのなら書き換え後の世界でもカヲル君がシンジ君と名を連ね、二人が必ず出会えるようにした生命の書は永遠に存在し続けるのかもしれない。


シンエヴァの副題の小説は破滅的な未来からメッセージを送り、愛する人を助け、何度目かの再構成された世界で二人が出会い、ともに生きられるようになるという物語。記憶を持ち越しループし、愛する人と会うためにエヴァに乗った二人のアダム、ゲンドウさんとカヲル君の姿は小説の主人公と重なる。
小説内でのタウ波にあたる【意志が世界の構成に干渉する】というエヴァと小説に共通する世界設定を劇中で話していたのはカヲル君だけ。


→魂が消えても、願いと呪いはこの世界に残る。意志は情報として世界を伝い、変えていく。いつか自分自身の事も書き換えていくんだ。
シンジ君は安らぎと自分の場所を見つければいい。

縁が君を導くだろう。    また会えるよ、シンジ君 。




感想
私の想像ですが、実際のところは主要なキャラたちはおそらく誰が誰とカップリングになったというよりも、
見る方によってそれぞれの解釈ができるように曖昧に作られているのではないのかな…?と思っています。
私はカヲル君が好きなので彼の幸せを追ううちにカヲル君の幸せの形が見えてきて、アスカちゃんが好きな方にはそれぞれ別の解釈ができるよう、物語が作られているのかもしれないと思い、こちらに自分の感想と調べた記録を残しました。

私はカヲル君、もしかしたら宇宙一幸せな人になったのかもしれないなあ、
と想像しています!