39.初めてで最後の臨海学校
M学園の行事の一つ、夏の臨海学校は、その頃は毎年岩井海岸だった。
私は4年生の臨海学校の後から転入したので、5年生の時、一度しか参加していない。
みんなには、毎年参加していたかのように思われているみたいだけど…^^;
私自身も、一度だけという感覚がない。
それだけ中身が濃いってことかな。
確か8泊9日間。
幼稚園児から小学6年生まで。
幼稚園児は3泊4日くらい。
最初は泣く子もいるけど、慣れたら楽しそうに遊んでる、可愛くてちっちゃい子達。
荷物を入れるのはスーツケースと決まっていて、私はエメラルドグリーンのスーツケースを買ってもらった。
荷物の中に、宛名がすでに書いてあるたくさんのハガキと、勉強道具を入れた。
臨海学校に合わせて髪を切り、結べない長さにするのも決まりごと。
母はいつも私の髪を裁ち鋏で切るので、太くて真っ直ぐな硬くて多い髪の毛が、切り揃えられるまで、どんどんどんどん短くなり、わかめちゃんに近い長さになってしまう。
当日の朝、電車の中でNっちに会った。
おはよう!
Nっちも髪切ったんだね。
「おはよう。
そめも髪切ったんだね。
うちのお母さんが切ったから、こんなに短くなっちゃってさぁ。」
あ…ウチも〜おんなじ〜
どうして子どもの髪は親が切るんだろう。
床屋さんに行くのはお顔剃りの時だけ。
ついでに切ってもらえたら、こんなに短くされずに済むのにな。
と、いつも思っていた。
学校に着いて、校庭に並ぶ。
おはよう!!
みんなTシャツに短パン。
制服ではなく、色とりどりの私服が新鮮に感じた。
先生もTシャツにショートパンツ。
私の父は、ショートパンツなんて履いたことないから、大人のそういう姿は新鮮でもあり、ちょっと不思議な光景だった。
みんながワクワク、笑顔が絶えない。
校長先生のご挨拶があって、学校に残る事務員さんや先生、お見送りにいらしているお母さんやお父さんに
「行ってきま〜す!!」
みんなで元気よく挨拶して、バスが待っているところまでワイワイ歩いて行く。
初めての臨海学校。
これからなにが起こるんだろう。
楽しみで仕方ない。
ドキドキするッ!
私はいつもバス酔いするので、行きは心配が絶えない。
帰りはなぜか、バス酔いしたことがない。
不思議。
とにかくみんなに迷惑かけたくないから、バスの匂いを嗅がないように、静かに息をしていた。
そして、できるだけ寝る。
座席が前だろうが、後ろだろうが、バス酔いすることには変わりはない。
それなら、気が紛れるように、仲のいい子達と座った方がずっといい。
岩井に着くのはお昼頃。
みんなで初めてのお昼ごはん。
お弁当じゃない、みんなと同じごはん。
畳の少し広めのお部屋。
テーブルは、天板が白っぽくて、天板の周りと脚が銀色の、よく食堂とかにあるような感じで、脚が短いタイプ。
正座をするから足に畳の模様がつく。
学校で、よく追いかけっこしていたKくんと、ここでも追いかけっこして…、そして怒られた。
食事前のお祈りをして、ここでの初めてのお昼ご飯。
食事が終わったら、初お昼寝をしてから海へ。
お昼寝は、フロアに枕とタオルケットだけ持って、みんなで寝る。
先生も一緒。
なかなか眠れない。
寝返り打ちたくても、板は痛い。
みんなの寝息…気になる。
どうしてみんな、寝られるんだろう…
初日の海は水に慣れる程度。
準備運動してから順番に海に入る。
水泳帽は…オレンジだった気がするけど、違ったかな…
M学園の臨海学校では、最終日に選ばれた生徒だけが出られる遠泳がある。
臨海学校が始まって半ば頃から、遠泳に出る生徒は別行動。
遠泳に出るための修行タイムとなる。
とても厳しそうで、つくづく選ばれなくて良かったと思った。
担任のE先生は
「もう少しで泳げるようになるよ。
あと何日か居られたら、遠泳に出られるくらいになったのになぁ。」
先生、ありがとう。
そのお気持ちだけで十分です。
出られなくて、本当に良かったです。
遠泳は、先生たちが乗る、何艘かの小さな舟の中を、円を描きながら1時間泳ぎ続け、30分泳げたら合格、最後まで泳ぎ切れば黒帽がもらえる。
私は当然、出たことないので、遠泳に出た友達から聞いた話。
泳いでいる場所も、かなり沖の方なので、豆粒にしか見えない。
たまに、先生方の声援が聞こえる。
男性の先生方は遠泳の方へ行ってしまうため、その間、出ない生徒達は、女性の先生方と浜で待っている。
仲良しYちゃんは、6年生の時の遠泳で黒帽をもらった。
その話を聞いた時、私も臨海学校に行きたかったと心から思った。
もし行っていたら、Yちゃんの応援ができたのに。
中途半端だけど、長くなってしまってので
続きは次回へ…
…続く……🌊
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