32.仲良しYちゃん
前回のお話から数日が経ってしまいました。
先週、仲良しYちゃんからメールが来ました。
前書きがあり
『、、、そめと話をしてちょうど10日くらいでしょうか?』
Yちゃん、どうした⁇
『一週間前に緊急搬送されました。
ICUとHCUを経て昨日やっと一般病棟に移ったので、自分でやっとmailしています。
あのままでもっと悪くなっていたら、娘からの連絡になっていたでしょう。』
驚きました。言葉が出ませんでした。
彼女が救急搬送された3日前に、電話で話をしたばかりだったから、驚きと共に、近くに住んでいたら助けてあげられたのに…と、涙が出ました。
死ななくてよかった!!
生きていたら、また会える時もくるものね。
『結局のところ、重篤の腎盂腎炎でした。
とりあえず、あと2週間くらいは治療が必要らしいです。
そめも、忙しいかも知れませんが、お身体に気をつけて。
無理せずにね。
そして、お互いに何でも美味しく食べられるウチにまたご飯行きましょう。』
うんうん!!
絶対、行こうね!!
彼女の壮絶な人生…
ここには書けないけれど、そんなことも思い出しながら、何と返したらいいのだろう…と、mailの文字を見つめながら、考えを巡らせた。
私が心配してることを伝えたら、きっと彼女は私に気を遣って、お姉さん気質のYちゃんのことだから、きっと “気遣いmail” しか来なくなってしまうかもしれない。
睡眠も、お休みも殆ど取れず、働き続けてきたYちゃん。
『Yちゃん
具合はいかがですか?
具合が悪いのに、LINEくれてありがとう。
ゆっくりゆっくり休んで。
神さまがくれた休息、大事にして。』
と、返事を送った。
小学4年生の時、初めてYちゃんと出会ってから、数え切れないくらい、彼女の家に遊びに行った。
おうちがパン屋さんだから
「パンの匂いがしない所に行きたい。
飽きちゃった〜。」
「私はパン屋さんとは結婚しない!」
と、いつも言っていた。
Yちゃんのお家に行くと、自分の家では見られないテレビ番組が観られる。
“8時だよ!全員集合” や男の子が観る戦隊モノとか、歌番組とか…
流行ってる歌謡曲は、彼女が教えてくれた。
山口百恵が大好きで、よく歌っていた。
「山口百恵は絶対、三浦友和と結婚するよ!」
と言っていた。
本当にその通りになった。
“赤いシリーズ” は、観たことなかったけど、彼女はこのシリーズのドラマが大好きで、内容をよく話してくれていた。
お家のパン屋さんのお手伝いをよくやっていて、私も教えてもらって、カウンターのお手伝いをした。
「いらっしゃいませ!」
「ありがとうございました!」
私はレジはよくわからないので、パンを袋に入れてお客さんに渡した。
Yちゃんが焼きそばを作って、それをパンに挟んで焼きそばパンを作るお手伝いもした。
余分に作った焼きそばは、私たちのお昼になった。
大きな大きなオーブンで、Yちゃんのお父さんとおじさんが焼いた食パン。
焼きたてのパンは、ふかふかでほんのり甘くて美味しかった。
Yちゃんがパン切る機械で、4枚切り、6枚切り、8枚切りに上手に切っていく。
「これはサンドイッチ用。」
と、耳を切っていく。
それらを私が袋に詰めていく。
電話でパンの注文を受ける彼女は、なんだか頼もしく見えた。
Yちゃん、すごいなぁ…
わたしは家の手伝いなんてしたことないよ
お店のお手伝いが終わると、Yちゃんのお母さんが
「お疲れさま」
と、100円を私の手のひらに乗せて
「バイト代ね。」
私が生まれて初めてもらったバイト代。
Yちゃんのお父さんは、元々はケーキを作っていたと聞いたことがある。
冬になると、シュークリームと、デコレーションケーキのスポンジが店頭に並ぶ。
私は、カスタードが程よく甘くて、とっても美味しい大きなシュークリームが大好きだった。
スポンジケーキも、フワッフワでとても美味しくてとっても人気だった。
そのスポンジケーキにデコレーションして、クリスマスケーキを作ったことがある。
イチゴを挟んで、上にもイチゴたっぷり、生クリームとアラザンで飾って、何度も食べた。
今は、そのパン屋さんは、もうない。
頼もしい彼女は、お世話好きで責任感が強く、真面目。
妥協をしない。
気を抜くことがない、ように見える
私みたいにいい加減な性格とは違う。
だから、いっぱいいっぱいになってしまっても、自分を責めてしまうから、いつか壊れるんじゃないかと心配してた。
いつも笑って、毎日楽しい、小学生の頃のまま、大人になっても幸せでいられたら…
そんなことはないと分かってはいるけど、神様が彼女に与えた人生は、辛すぎた。
たくさん辛い思いをして、たくさん苦労をして、たくさん涙を飲んで頑張ってきた彼女。
これからは、幸せと感じる回数が数えないくらいくるように…
神さま.、本当の幸せってなんですか?