スマートビザ、ナーガの王
<スマートビザ、対象業種の追加>
スマートビザ制度は、タイの産業高度化に必要な外国の高度人材を呼ぶこむため、2018年2月から開始されています。対象産業は、これまでの13業種(自動化・ロボット、医療ハブ、医療観光、運輸・物流、バイオ燃料・バイオ化学、デジタル、先進農業・バイオテクノロジー、未来食品、次世代自動車、スマートエレクトロニクス、裁判外紛争解決、科学技術人材開発・教育、環境経営と再生可能エネルギー)に加え、18業種に拡大することを決めました。追加された産業は、1.国防産業、2.循環型経済を直接支援する産業(廃棄物からの燃料生産、水資源管理など)、3.航空及び宇宙産業、4.技術革新およびスタートアップ、エコシステムマネージメント、5.ターゲット技術の開発や国際ビジネスセンターです。
スマートビザ制度では、18業種の外国人の専門家、投資家、上級幹部、スタートアップ企業の起業家に次の主要な恩典が付与されます。
1.最長 4年間のタイ滞在許可
2.タイで就労するための労働許可の免除
3.移民局へ年に一度の在留報告(従来は90日ごとの報告)
4.無制限の再入国許可
また、当該ビザ保有者の配偶者や法律上の子女も保有者と同じ期間、タイに滞在することができます。
<ナーガの王とタイ文化への影響>
タイの文化は古代より、常にナーガの王と関連付けられてきました。この神話上の生き物は緑、黒または金色の鱗に覆われた巨大な蛇のような姿をしており、頭の上と顎の下にそれぞれ鶏冠と肉髯が付いています。ナーガは仏教への信仰心が強く、時には僧になるために人間の姿に変身することもあると伝えられています。ナーガの王は神聖な半人半蛇であり、また水と豊穣の神であると考えられています。タイの主要な宗教である仏教と密接な繋がりがあり、その神話が宗教文化や建物に取り入れられています。例えば寺院の階段から壁画に至るまで様々なナーガの王の姿を目にしたり、七つの頭を持つナーガが座禅する仏陀を守るように覆いかぶさっている、パンナークプロク(Pang Nak Prok)と呼ばれる有名な像も見ることが出来ます。
ナーガの王は水と豊穣の象徴とされているため、農業とも関連しています。農民たちは農耕祭の前に運気の良い日と方角を確認しますが、さもなければ障害・困難に見舞われると言われています。
メコン川はナーガの王の居城であると信じられています。水辺で遊ぶ人は両手を揃えて祈りを捧げ、ナーガの王へ敬意を払うべきであると言う地元の人たちもいます。中には出安居(旧暦11月の満月の日とされており、今年は10月10日でした)の終わりにナーガの這い回った跡を見たことがあると主張する人もいますが、その跡を見た人には繁栄がもたらされるとも言われています。出安居にはノーンカーイ県でナーガの火の玉祭りが開催され、毎年約20万人もの観光客が参加します。神話によるとナーガの火の玉とは、仏陀が天上から地上に戻ったことを祝うためにナーガが川から赤ピンクの火の玉を発射するという超自然現象とされています。ナーガの王とその行事については受賞歴もある2002年の映画、「メコン・フルムーン・パーティー」の中で触れられており、より多くの観光客をこのお祭りに惹きつけることになりました。
(タイ/バンコクビジネスサポーター 辻本 浩一郎)