中国で人気の会員制スーパー「サムズクラブ」を視察
<サムズクラブとは>
サムズクラブ(英語:Sam's Club/中国語:山姆会員商店)は世界500強企業の米国に本部を置く世界最大の小売業「ウォルマート」傘下の会員制スーパーです。サムズクラブは1983年4月に米オクラホマ州に初の小売店をオープンして以来、30年以上の歴史を持ちます。90年代初めに国際市場に進出し、現在までに世界各地で800店舗以上を展開していることから世界最大の会員制スーパーと言われています。会員数は世界に約5,000万人おり、そのうち中国は約400万人(8%)です。
過去5年間の間にウォルマート中国は100店以上の店舗を閉鎖しましたが、傘下のサムズクラブ会員店は店舗数を急速に拡大しました。現在中国の消費者は買い物時に商品だけを重視するのではなく、店内での「体験」に重点を置いています。サムズクラブのような大型倉庫式会員店は商品が豊富でコストパフォーマンスの高い商品が多いため、消費者はショッピングと同時に新感覚な「体験」を得ることができます。また、大容量な商品を購入することで買い物回数を減らすことができるのも人気な理由と言われています。ちなみに2021年は、中国ではサムズクラブのような倉庫式スーパーのほか、倉庫式化粧品店や倉庫式書店、倉庫式家具店、倉庫式骨董店などもソーシャルメディアで大人気となり人気スポットになりました。
<ショッピングと新体験を楽しむ>
先日、私はサムズクラブ会員店の年間パスを取得しました。年会費は260元(約5,200円)です。外国人でもパスポート情報があれば会員になることができます。店内はキャンプ用品や家電、スマホ、洗剤などの日用品、化粧品、お菓子、子供用食品、インスタント食品、衣服、肉類、酒類、野菜、冷凍食品、調味料など、ありとあらゆるものが販売されています。商品はどれも大容量で見た目にインパクトがあります。販売価格は他店より少し安いものや、ほとんど変わらないものが多いためお得感を感じます。試食コーナーも充実しており新商品を試食することができます。店内を歩いて感じたことは、沢山の大容量タイプの商品がパレットに箱ごと置かれた状態で販売されているので、普通のスーパーでは味わえない感覚があります。これが、サムズクラブが提供している「新体験」だと感じました。また、新商品の入荷スピードが早いことにも気づきました。初めて店舗を訪れた日から1週間後に再び店舗へ行くと新商品が陳列されているので、毎回訪れる度に「新鮮さ」を感じます。これもサムズクラブが提供している「新体験」であると感じました。日本産商品も販売されていましたが、商品数はそこまで多くないように感じます。
中国バイヤーの中には、上海で人気がある日本産お菓子の大容量タイプをサムズクラブに提案しているケースもあります。この場合、製造企業との連携が必須となり、サムズクラブが求めている商品サイズやパッケージなどを共同で開発していくことが求められます。
県内企業の皆様も今中国で人気を集めている大型倉庫式スーパーで販売できる大容量タイプの商品開発を行い中国バイヤーへ提案されてみてはいかがでしょうか。
ひろしま産業振興機構国際ビジネス支援センター 上海事務所長 洲澤 輝