インフレと円安でラーメン1杯3,500円!
<ニューヨークはラーメン激戦地>
日本食はブームを通り越して、ミシュランの星数でもトップに位置付けるなど、もはやニューヨークのグルメには欠かせない存在になりました。ラーメン人気もコロナ禍を乗り越え、さらに新しいお店も増え、まさに激戦地となっています。一方で、昨今のインフレはものすごく、労働局が9月13日に発表した8月の消費者物価指(CPI)は前年同月比8.3%上昇と、若干の減速が見られるものの、まだまだ物価上昇は相当なものとなっています。
<一番安いメニューでも1杯3,500円!>
ラーメンブームの火付け役として名高い、Momofuku Ramen Bar。ラーメンのメニューで一番安いものが19ドル、これにセールスタックス8.875%とチップ相場で最低とされる15%を加えると、約23ドル、執筆時のレート、1ドル149円で計算すると、約3,500円となります。
また、筆者の近所のスーパーで売っている「もやし」ですが、一般的な小さな袋で、2.99ドル(445円)します。今月、筆者は日本に一時帰国したのですが、その時に買ったもやしは1袋20円でした。円ベースでの比較では約20倍の価格差があることになります。
<ここに来て伸び悩むEC>
ECの販売が伸び悩んでいます。米国統計局が8月19日に発表した、第二四半期のEC売上高は、第一四半期に対して2.7%、前年同期比で6.8% と増加はしたものの、これまでの増加率を下回る結果となりました。また、同報告によれば、全小売に占めるECの売り上げシェアがここ10年で初めて、減少に転じました。これは、まさに物価高、特にガソリン価格の上昇から可処分所得の減少、さらには旅行や外食などでお金を使うようになったことから、消費者の消費がEC以外に向かった結果ではないかと筆者は考えています。
<インタビューしたロサンゼルスの倉庫は満床>
筆者は9月中下旬、ロサンゼルス、トーランス地区の日系の倉庫会社を複数訪問し、インタビューを行いましたが、「昨年に比べて明らかに荷物の動きが悪い」、「荷物が出て行かない」、「満床の状態が続いている」とのことで、この変調は数ヶ月前から始まっているようでした。パンデミックによる特需とも言える状況が2020年から2021年に掛けて続いたこと、これに応じて在庫を確保しようとした小売業者の旺盛な需要、それに前後しての海上輸送の混乱、輪をかけて小売業者がより多くの在庫を積もうとしたことで、倉庫はどこもパンパンだと言うのです。
<年末ホリデー商戦が前倒しも>
9月26日付のニューヨークタイムズ紙は、「今年のホリデー商戦はこれまでになく早く始まるだろう」とした記事を掲載、小売業者はこの変調した市況、積み重なる在庫を一掃するためにも、早々と年末商戦をスタートする見込みと報じています。このまま、景気後退に突入するのか、米国の個人消費はGDPの過半を占めることから、年末商戦の状況から目が離せなくなってきました。
(ニューヨークサポーター 蝉本 睦)