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チャンスだと思いました

私達は季節ごとの丁度良い日差しと丁度良い雨の降りかたを,当たり前の日々として 長い間過ごしてきました。
人間は,地球環境の大切さに気づく事を後回しにして,戦争や暴利謀略を続けて,破壊への道を加速させて来てしまいました。今,異常という言葉を気象情報は,連日使う羽目となってしまっています。
うだるような暑さの中,こんな温かさなら、歓迎したいな…というお話を知ることが出来たので,ペンを取らせていただきました。

もうすぐ109歳になる祖母の話しです。
100歳を過ぎた頃に,お世話になっている施設で
折り紙にはまった祖母は,前向きな性格と明るさで回りの方々に愛されている自慢の祖母です。

そんな祖母も,105歳になる頃から色々な事を
忘れはじめ,最初は折り紙の折り方を忘れたと嘆いていましたが,遊びに行ったある日、
私は,「どちら様ですか?」と聞かれました。
その時の私は,ー遂にこの日が来たーという思いでいっぱいになり どうすれば良いかわからず
早々と施設を去ってしまいました。その後
孫である私を忘れてしまった祖母に 会いに行き続けるべきか 行くのをやめるべきか迷いましたが,会わないという選択は選べず 会いに行き続けました。しかし,状況は良くなる事はなく,祖母は私達と暮らしたあの時代の事も忘れてしまいました。そんな祖母の最後に残った記憶は,祖母の故郷の記憶でした。幼い頃に兄弟達と海に行って魚を取った記憶を楽しそうに聞かせてくれました。

それは 私にとってチャンスでした。
それからの私は,祖母の大好きな故郷から
会いに来る親戚の人間になりきる事に決めました。
すると 祖母は
「あぁ,また 来てくれたね…。」と言ってくれ
毎回お決まりの故郷の話をしました。
同じ話を何度も聞かされますが,そんな事は
私にとって問題ではありません。とても楽しいんですよ

ある日施設のスタッフさんから,祖母が
「今日は 私の実家の親戚の娘が会いに来てくれて,とても楽しかった。」と言っていたと聞かされました。
もう こうなったらこっちのものです。
孫ではなくなってしまいましたが,祖母の友人に
なれたと思えたからです。
将来,祖母は 友人の私も忘れてしまうかもしれません。
でも 大丈夫です。対処法を見つけました。
再び 友人としての関係を築き直せば良いのです。

認知症の方は感情は豊かです。
きっと楽しい記憶をお持ちの事と思います。
もし家族の事を忘れてしまっても,このお孫さんのように 記憶の中の仲良しの人なって,優しい時間を共有して,コロコロと笑い合いましょう。

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