究極のビビリが左卵巣腫瘍 開腹手術をした話 ②
診察後、MRI CT共に検査の説明と同意書が必要との事。別室に案内され事務員のような方から説明を受けました。
CTの検査は造影剤を使います。身体がもぁーっと熱くなる感覚があると思います。ビックリして動いたり騒いだりしないで下さいね。
稀に気持ち悪くなったりされる方も居ますが、具合が悪くなったらすぐに教えて下さい。
MRIは、造影剤は使わないのでこっちの方が大丈夫そうかなー?
こんな事を言われた記憶があります。
当日の食事や内服薬、その他注意事項(ジェルネイルやマツエク、メイクやアクセサリー類禁止等)を説明され同意書を書くように言われました。
同意書には何やら色々書いてありましたが、私は見逃しません。見逃せません。とんでもない2文字を。
〝死亡〟
……。書いてありますやん!死亡とか書いてますやん!!!
もちろん、非常に低い確率で。とは書いてありますので気にもしない人も多いと思います。病院側からしたら何かあった時の為の同意書ですから最悪の事を説明として書くのは当然です。
しかし私の心は、いちいち脅されてるような気持ちで、そんな怖い事書くなや!!と半分怒りに近い感情さえ湧いていたかもしれません。
同意書にサインをすると、狭い所が苦手とかありますか??と聞かれました。
めちゃくちゃ苦手です。怖くて入りたくないです。閉じ込められませんか?出たい時出してくれますか?息出来なくなったらどうしましょ?色々伝えたいはずなのに、
何故か私は、「少し苦手です」と、まぁそんな大人ですからビビらないですわ!的な顔をしながら答えてました。
……そうなんです。究極のビビリのくせに、変なプライドがあったり(人にはビビってると思われたくない、何あの人?何でこんな事で泣いてるの?変な人。とか思われたくない。人になるべく迷惑をかけたくない等…)
人の目を気にするとってもとっても面倒くさい性格なのです。
分かりました。少し苦手な事、当日のスタッフに伝えるようにしますね。
このように引き継ぎをして頂けるとの事。
本当は、凄く凄く狭い所苦手です。と伝えて貰いたかったですが、よろしくお願いしますと伝え、説明を終えました。
この最初の通院の日は、まだクリスマス前でした。
CTの検査は年を明けた1月12日、MRIの検査は1月16日の予約です。
この2つの検査結果は1月30日に説明を聞く事になっていました。
クリスマス、お正月、世間ではたくさんたくさん楽しいイベントが続く季節。とても楽しい気持ちで過ごせる気がしませんでした。
私は主人と1日の終わりにテレビを見ながら2人で笑いながらお酒を飲む時間が1番楽しくて幸せな時間です。
しかしこの日から(厳密には体調悪い時からですが)禁酒をする事を決めたので、たくさんの不安と共に私の楽しみな時間も一緒になくなりました。
嘘です。ノンアルコールのワイン、ビール、酎ハイ等ガブガブ飲んでましたので、それなりに穏やかな晩酌タイムは続いていました。ただお酒好きな私には飲めないストレスはだいぶあったと思います。
なるべく、検査の事は考えないよう日々を過ごしていました。
また、この間受診前の下腹部のひどい痛みや満腹感は感じなくなっており、食欲も通常通りに戻っていました。こんなに普通なら、もちろん手術なんかしないで、何なら検査もしなくていいんじゃない?と思うほど体調の悪さは感じなくなりました。ただ、ほんのたまに下腹部の違和感?軽度の痛みはありました。
そんなこんなで、年が明けいよいよCTの検査の前日になりました。
明日はいよいよ、あの筒の中に閉じ込められ日なんだな。と、考えれば考えるほど憂鬱になり気持ちは落ち込んでいました。
不安気な顔をしてる私に、仕事から帰った主人は、「まだ検査だよ、大丈夫大丈夫!すぐ終わるよ。MRIは一緒に行ってあげられないけど、明日は病院一緒に行くから」と励まされ、また大泣きをするのでした。優しくされると人って泣きませんか?
明日の検査が怖くて泣いてるのか、検査が嫌で泣いているのか、主人の優しさに泣いてるのか自分でも、何の涙なのか毎回分からなくなります。
多分全部なのだとは思いますが。
CT検査当日、本日ももちろん車の助手席で泣いていました。
病院到着後、受付を済ませると病院着に着替えるように指示されました。
上下別の病院着に着替え、同じ服装の人たちと一緒に並んで順番を待ちます。
先に待ってた人が、腕から繋がれた管と共に何やら注射器のような物を持っており、あの注射器の中に造影剤が入っているのだと理解しました。
私の番が呼ばれ、あっという間に私の手にも同じように注射器が握らされました。
CTの検査を受けるにあたり、医師、看護師、説明をしてくれた事務の方(?)何人もの人に身体が熱くなるけど驚かないで下さい。と言われて来ました。
こんだけの人がこんだけ言うんだから、だいぶ熱く感じるのだろうと、検査直前不安絶頂にいる私に、造影剤の針をしてくれた看護師さんから、「身体が少し熱くなった後おしっこを漏らしたみたいな感覚になるかもしれないけど、造影剤の影響だから大丈夫だからね」
と伝えられました。
おしっこ??この検査において初めてのワードを耳にした私は尚更、どんな事になるのか不安になりました。
いよいよ、CT撮影をするお部屋の前で待つ事数分、放射線技師さんより私の名前が呼ばれました。
扉が開くとついにあの、私を閉じ込める憎き機械とご対面です。
足の方から入っていくので、足を機械側にして仰向けで寝て下さい。と言われました。
なんとっ、これは朗報です!!私は、頭から徐々にあの筒に入れられる事をずっと想像していたのです。
仰向けになると、それでは動きます。とスーッと筒の中に身体が滑っていきます。
あれ??ここまで??
これまた、朗報です!!
顔が筒から出ております!外の世界が見えております!
狭い所が苦手な私でも全く恐怖は感じませんでした。
部屋が暗くなり息を吸ってくださーい、吐いて下さいの掛け声と共に、何やら機械音と共に撮影がされました。もう一度、撮影技師さんが私の方にやってきて、それでは造影剤を入れますね。少し身体熱くなります。と話しながら、注射器を押しました。数秒後、モワーッと身体が熱いと言うより温かいの方が私には近い表現に感じました。そして下腹部がジワーとあったかい感じがしました。あっ、本当だ!おしっこっぽい。そんなふうに感じてるうちに終わりでーす!と、多分実際は15分〜20分程度の検査だったと思いますが、10分、いや5分くらいで終わったと思うほどのあっという間の時間でした。
撮影部位にもちろんよるのだと思いますが、私の場合卵巣でしたので下腹部を写す場所がいい位置だったのでしょうか?全く閉所は感じませんでした。
また、造影剤もあんなにも毎回毎回何人もの人に熱くなります。と言われ続けたので、熱くなる事を想像しすぎた為か、ほぼ苦痛のない検査でした。
こうして、あんなにも怖くて不安だったCT検査は何事もなく終わったのでした。
数日後の16日は、MRIの検査日。
私は自分で運転をしながら病院に向かっていました。その日は、涙をグッと堪えビビリの私ではなく、もう1人の謎のプライドの持ち主の私の方が強かったような気がします。
「何?MRI?痛くないんでしょ?別に怖くないし」と自分に何度も言い聞かせ、ビビってるのを院内の人に悟られないように、それはそれは堂々と歩いていました。
そんな事、他人からしたら知ったこっちゃない話なのは分かっていますが、そうしていないと涙が出て来そうでした。
ですが、いい大人が検査が怖くて泣いてるなんて周りはドン引き確定。自分でもドン引きです。絶対人からそんな風に思われたくない!というプライドを盾にして受付に向かいました。
今回は着替えはせずに、MRIの検査室前で来た服のまま待っていました。
30分から40分程待った後、名前を呼ばれ扉の中に案内されました。CTの時と同様に病院着に着替え、アクセサリーや湿布等していないか厳重にチェックされました。
その後更に奥の検査を行うお部屋に案内されました。出ました!本当の丸い筒です。CTよりも、より一層丸い筒が現れました。
そして何と、今回は筒の方に頭を向けて仰向けになるように指示されました。
と言う事で頭から筒に閉じ込められる事が確定しました…。
心臓がバクバクすると共に気持ち悪ささえ感じ始めました。
横になった後は、足首、胴回りをマジックテープのようなもので固定され、お腹の上に何か重さを感じる物が置かれました。(鼻を掻いた記憶があるので手は動かせた?記憶が少し曖昧です)
それでは、動きますね。
頭から筒へ移動して行きます。
目の前はもうあの筒の中…。狭い。狭すぎる。怖い。
少し呼吸がしずらくなりはじめた時に、怖かったら目瞑って下さい。と声をかけられました。
目を瞑り、スライドしてたストレッチャーが止まった頃目を開けると、ほんの少しではありますが、天井が見えていました。
閉じ込められている閉塞感はあるものの、天井が見える事はこの上ない安心感がありました。
何度も大丈夫ですか?と声を掛けて頂きながら撮影が始まりました。筒の中では、耳元で何とも言えない、ジージー、カンカンカンカン、ゴー、何のためにこんな音を鳴らす必要があるんだろうか。終始工事現場のような音が鳴っていました。
息を思い切り吸って、吐いてー、止めてー、これを繰り返してるうち、マスクをしている事や緊張も手伝って呼吸が苦しくなりました。
一度深呼吸しましょう!こんな事を繰り返しながら何とか、検査は進んで行きました。
体感30分は経過したと思われます。そろそろ終わりかな?と思った頃、
放射線技師さんより「はーい、あと半分でーす」と言われ、絶望しました。
CTと真逆でMRIは本当に何時間にも感じるような、、トンネルに閉じ込められた上に先の見えない長い長い時間のトンネルにも閉じ込められた思いでした。
何はともあれ、無事に2つの検査をクリアし、あとは結果を待つのみとなりました。
不安を感じていた、CTとMRI検査。これが終わった私は、達成感と安堵で一安心していまし
た。
30日に大きな絶望を感じる事をこの時はまだ知らずに……。
続く