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BL 短編小説 君にケダモノと呼ばれても ① 青春小説



僕、上原 律は昔からそうだった。

人の前に立つとドキドキしてしまってどうしても次の言葉が言えなくなってしまうんだ。

でもこんなことは今までなかった。

学校1の美少女を見ても、とても可愛いアイドルを見てもこんな感情は抱かなかった。

なのに同性の幼なじみに抱いているこの感情は多分…



「なー律ー放課後遊ぼうぜー」

彼は森川 凛斗僕の幼なじみだ。

「いいよ」
そういいながら僕は彼に見とれてしまう。
でもそれは仕方ないじゃないか。
だって彼は綺麗なんだから。
少し茶色っぽい黒髪、黙っていればかっこよくみえる切れ長の奥二重に、いたずらっぽく歪んだ綺麗な口元。
どれをとっても綺麗だ。

ただ綺麗なだけならこっちだって舌打ちをくれてやるが、彼の少しチャラい見た目に反して意外と優しい性格…

こんなんだったら好きになるしかないじゃないか。

「ねえ律?…りーつー?」
「ああごめん。考え事してた。」
「もう、しっかりしてよねー」

こっちを上目遣いで見てくる。

なにこれ、どこぞのアイドルより可愛いんだが?

「ところでさ、俺…」



「彼女出来たんだ」



その瞬間全ての音が消えた。
いつか彼の口から紡がれると思っていたその言葉。
まさかこんなにも早く言われるだなんて。

泣きそうだった。

「良かったね!」

そう言うしかなかった。

でもそう言ったのに彼をあきらめられない。

こういう人のことをケダモノと言うのだろうか。
まだまだ未熟な僕にはそれが分からなかった。



続きます。


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