【IR分析 #79】 日清食品ホールディングス(2897)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考えてみた
Q1 どんな会社?
即席麺の開発・販売を中心に、幅広い食品事業を展開するグローバル企業。「カップヌードル」「チキンラーメン」など世界的ブランドを有し、即席麺事業が売上の約80%を占める。国内市場でのトップシェアに加え、米州、中国、アジアなどでも積極的に展開し、前期の米州地域売上は1,603億円で14.5%増加。
Q2 どんな状況?
少子高齢化による国内市場の縮小や人材不足、原材料高騰、為替変動といった課題に直面。一方で、健康志向の高まりに対応し、高付加価値商品の開発を強化。中期計画では既存事業強化、新規事業推進、環境負荷低減を柱に、DXや完全栄養食開発を進め、2030年までに売上収益1兆円を目標に掲げ、グローバル展開を加速。
Q3 業績は?
2024年3月期実績:増収増益
米州地域や中国地域での売上が好調。材料価格の上昇などのコスト増加を増収効果でカバーしている。セグメント別では、日清食品の国内販売が引き続き堅調、米州地域では新規高付加価値商品の投入が寄与。中国地域では「合味道」の販売が好調、ベトナムの事業拡大も進んでいる。
2025年3月期予想:増収増益
国内外での即席麺需要の堅調な推移が見込まれるほか、新商品の投入や価格改定効果が売上拡大を支える要因となる。特に、米州地域での新商品展開とアジア地域でのプレミアム商品の販売拡大が成長のカギとなる。
Q4 予想の信ぴょう性は?
売上予想の前年実績比+7%は、過去5期の予想範囲(+3%~+16%)内にあり、平均達成度は102.8%と予想と実績がほぼ一致している。このため、売上予想は信ぴょう性が高いと評価できる。
一方、純利益予想の+3%は、過去の変動範囲(-22%~+34%)と比較して保守的な水準で、平均達成度は115%と、実績が予想を上回る上振れ傾向が見られる。これを踏まえると、会社の利益予想は控えめに設定される傾向があり、想定以上の利益成長が期待できる余地があると考えられる。
Q5 市場の評価は?
EPSが上昇するとPERが低下する逆相関が見られ、市場は利益成長を慎重に評価していることが分かる。5期前のEPSは93.8円、PERは32.0倍だったが、直近期はEPSが178.2円に増加し、PERは23.6倍に低下。この動きから、利益成長が十分に織り込まれておらず、過小評価の可能性があると考えられる。
直近期末のPERは23.6倍で、過去5期の高値PER(29.2倍)と安値PER(21.0倍)の範囲内にある。市場の成長期待は大きな変化はないが、評価見直しの余地は残されている。
Q6 リスクをどう見る?
これまでの分析を整理すると、同社は控えめな利益予想を出す傾向があり、実績が予想を上回る可能性は考えられる。また、PERを見ると、現時点で明確な割安感はないが、利益成長が十分に評価されていないため、市場評価の見直し余地があると考えられる。
一方、EPSが増加してもPERが低下する傾向が続いている点から、市場は成長期待を抑制している。このため、短期的には過小評価による株価停滞のリスクがあるが、長期的には市場の期待が高まる可能性も考えられる。
Q7 買うならどのくらい?
過去の市場評価の範囲から、相対的に低い水準を特定すると、投資を検討する際の目安として有効と考えられる。同社の場合、直近5期の安値PERの平均(21.0倍)から高値PERの平均(29.2倍)を概ねの評価レンジとすると、
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