伊勢神宮の外宮に着くと普通は正宮に参拝するのだが、今回は、古殿地の奥にある度会国御神社と上御井神社を遥拝するように言われた。以前、友人に連れていったもらったことがあるので、道はわかるが、結構遠い。御朱印の列に早く並ぶために走る人を追い抜いて、度会国御神社に走る。メインの道からそれた途端、別世界だ。京都や修善寺など竹林の美しい道があるが、普通の木々でそういう雰囲気が出ている、素晴らしい道だ。じゃりじゃり言わせながら走り、奥の神社に辿り着く。もちろん誰もいない。小雨が降る中の神社参拝は、映画のように静かで美しい。上御井神社は井戸を祀っているが、そこの井戸からアマテラス様のお食事を用意する水を汲み上げるので、場所は秘密になっている。地図でみると普通の家に住所がなっているし、グーグルアースで見ると、道路が見える。本当の場所は教えられないのだろう。そこを遥拝するところがあるので、そこも参拝してミッションクリア。もちろん正宮も参拝し、上御井神社から下手にあるとされる下御井神社をお参りする。多賀宮に上がる階段横の細道を入るとある地味な祠だ。山に向かって参拝する形になる。とても気持ちのいい所だなと思っていて好きなところなのだが、大事な井戸に繋がっている祠だったのだと納得。

 次は滝原宮。ここはヤマトヒメがアマテラス様を祀るのに良い場所なのでは、と暫く、いらした所だ。ゼロ磁場になっているとも言われている。人気のパワースポットだ。すがすがしい感じはするが、何も感じるものはない。渋滞したため、夕方に到着し、足元が心許ない。熊注意の看板に足がすくむ。クマよけの鈴を持っている人が大きく鳴らしながら歩いてくれて、そこについて行く。途中の石段を右に降りていくと、頓登川がある。内宮では五十鈴川で手を洗うように、滝原宮では、この川で手を洗う。ここの空間は超絶清々しい。その分、熊も出そうな雰囲気だ。清々しさを満喫することもなく、急いで参拝する。冬の夕方は陽が落ちるのが早い。三歩歩くと、その分、暗くなっていく。行き止まりのところに拝殿がある。4つ並んでいて、お参りする順番が決められている。看板を見ながら順番通りに廻っていく。ゼロ磁場なので、木が真っすぐに育っているのに、表面だけねじれているという不思議な状態になっているのをみて、これがゼロ磁場かと驚く。ピリピリする、と大騒ぎする人もいたが、私は全く何も感じなかった。出口までの参道も長くて暗いので、結構な早足で帰った。

 今、テレビドラマで全決というのがあるらしい。全領域異常解決室という名前のドラマだそうだ。神話の神様が出て来るらしい。あめのうずめのみこと様が主人公らしい。コノハナサクヤヒメ様は、また、ご機嫌ななめだ。なんであれ、神話へ興味を持つ人が増えたら、いいじゃないですか、と説得したが、頷かない。テレビドラマでは、あめのうずめのみこと様を広瀬アリスが演じるらしい。とても的確なキャスティングだと思う。

 翌日、伊雑宮に行く。内宮の別宮ともいわれ、ここが本当の伊勢神宮だと言う人もいる。私としては、エジプトから帰って来た時、伊雑宮でトリップして、宝物をお届け出来たところなので、感慨深い。今日は本殿ではない。倭姫を追いかけているので、奥にある、倭姫の旧跡地に行ってみる。鳥居の前の道をダッシュで駆け上がる。ずっと駆け上がる。結構な坂を駆け上がる。細い道を駆け上がる。すると突き当りになり、左に祠が見える。千田の御池がある。倭姫さまが引いたお水だそうだ。ここの上には石神さまがあり、この近くの海女さんたちはドーマンとセーマンの印をつけたものを持ち、身の安全を願っていた。倭姫の旧跡地という名前なので、住んでいらした所かと思ったら、そうではなく、ここで亡くなられたのではという所らしい。工事で掘ったら、白鏡など宝物が出てきたらしい。しっかり手を合わせて、急いで坂を駆け下りて戻る。伊雑宮の本殿は丁度、空いていて、ゆっくり手を合わせられた。正直、伊勢の中で、ここが一番好きだ。駐車場に戻ると、御神田が見える。新嘗祭も近いことから、全部刈取られてしまっていたが、清々しい風が吹いて、いい気分だ。

 慌ただしく、内宮に移動。さすがに、ちゃんと正宮から参拝し、一通り、廻ったあと、宇治橋を渡った左側にひっそりある子安神社と大山祇命神社に参拝する。ここにはコノハナサクヤヒメ様はいらっしゃる。殆ど、人が居ないので、ゆっくり参拝する。ミッションはこの後だ。以前、友人に連れていってもらった磐座に行く。子安神社から、坂を上がって、大きな建物を右に見ながら通り過ぎ、門から出る。道なりに坂を下りていくと、右手に、よく見ると丘の上に大きな磐座が見える。看板も何もない。側溝を渡り、丘に足を踏み入れる。近くに車を停めて、おしゃべりしていたおじさん達が一斉にこっちをみて黙る。注意されるとかでなく、じっと見ている。気にせず、ガンガン登って、大きな磐座に挟まれて祈る。ゆっくり降りて出てくると、おじさん達も、ほっとした顔をして、また、お喋りを始めた。見守ってくれてありがとうございました。

 行けと、言われたところを全部廻れたので、おかげ横丁で赤福などを食べ、駐車場に戻った。駐車場の奥に宇治橋を守っているという神社があるので、参拝する。何度も参拝しているはずだが、今日は、なんと、そこに「合格神社」と書かれているではないか。なんで今まで気が付かなかったんだろう。「合格神社」という名前も凄い。姫神様たちが
「今回のミッションをクリアしたから合格ということよ」
と教えてくれた。「合格」だったのか!なんか、とても嬉しかった。