伊勢をお参りしたら椿大社に行かないと、といつも言われているが、なかなかアクセスの都合で行かれなかった。やっと行ける、と嬉しい半分、ここは、あめのうずめのみこと様が居る!と思い、急にテンションが下がる。コノハナサクヤヒメ様はあめのうずめのみこと様が嫌いなので、そのストレスを私が自分の身体で一気に感じることになる。
実際に行ってみると椿がモチーフになっているだけあって、とっても明るい。
「なんか資生堂だね」
と言ったら、他の人も
「わかるぅ」
って言ってくれて嬉しかった。
実際本殿の前に立つと、あめのうずめのみこと様がケラケラ笑っていらして、
「コノハナサクヤヒメ様は気にしすぎだから・・・私は、なんとも思ってないよ。楽しんでいってね」
と言ってくれた。その通りだろう。あめのうずめのみこと様は気にしてないだろう。でも、こっちは気にしてんだよ。と思ったが、そう言うわけにもいかない。イジメた方は忘れても、いじめられた方は忘れないんだよ。と思うし、こんなことに巻き込まないでよと思う。
本殿を参拝後、道なりに坂を下っていくと、途中に素敵な茶室があり、お抹茶を頂いた。お抹茶と練り菓子が出て、素敵なお庭を鑑賞した。お軸も武者小路家の御家元の書かれた利休のお言葉ということで、貴重なものらしく、細かく解説も聞いて面白かった。帰りに、練り菓子が盛られていた萩焼のお皿もお持ち帰り下さいと言われてびっくりした。それで800円は安すぎだ。
茶室から少し坂を下ったところに、もともとは、お寺かなと思うところがあったので寄ってみた。そこに居たスタッフの人に、ここは何ですか?と聞いたら「なんでしょう」と禅問答みたいな答えが返って来て、なんか、全体にゆるーーい感じで、いい神社だなと思った。
やっと伊勢の仕事も終わって休みくれるかな?と思ったら、大間違い。姫神様たちが
「ぱみょぱみょ」
と言い始めた。
「ポニョですか?」
と聞くと、
「ぱみょ」
調べると韓国のホラー映画で「破墓」と書いて「ぱみょ」と読むのが流行っているらしい。「ホラー映画は勘弁して下さい」
って頼んだけど、
「術式を見て来い」
ということらしい。ホラー映画は、変なもの拾ってくるかも知れないし、本当に嫌だ。
泣く泣く予約して、上映時間より、かなり早めに新宿に行く。映画館の近くの神社でお願いして守ってもらうことにする。近くに花園神社というのがあるということで行ってみる。
細い小道に入ると、やたら外国人が歩いていて写真を撮っている。何か面白いものでもあるのかなと思い、ついて行くと「ゴールデン街」の看板が出てきた。旗をもったガイドさんに連れられて外国人は解説を聞いている。狭い場所に300軒もの家が立ち並んでいる場所だそうだ。バーなどの飲み屋がたくさんあるということだ。テレビで見たことあるなと思ったが、想像以上に狭い場所で建物も小さい。確かに、ここにしかない景色だなと思った。
せっかくだから昼間なら安全かなと入ってみた。昼からお酒も飲めるらしいが、コーヒーを頼んだ。最近、ゴールデン街は急に外国人の客が増えて、いろいろ困っているという話になった。「お通し」という制度を理解してくれなくて、sitting chargeだと説明すると、急に立ちあがり、「座ってないから払わない」とかケチなことを言われてしまうそうだ。私も客商売なので、苦労がよくわかる。どんな商売でも、客のうちの下位5%はクレーム客になりかねない、質の悪い客だ。この客を切ることが出来ると、急に、客層が良くなり、商売も回り始める。飲食業で食べログなどの、SNSに誇張した悪口を書くのは、この下位5%の客だ。そこに居た常連さんも含め、やたらに話が盛り上がってしまった。楽しかったが、夜に行くのは、勇気がいる。
ゴールデン街を通り抜けると花園神社。酉の市の開催後だったらしく、人がごった返している。活気のある神社にはパワーがある。変なものに憑かれないよう守って下さいとお願いして、映画館に向かう。
「破墓」は良く出来たホラー映画だった。簡単に内容を説明すると、お金持ちの一家に良くないことばかり起きるので、祈祷師を雇い、先祖の墓を改葬することになり、そのため一度、墓を壊すことになった。墓を掘り出す人の安全のため、祈祷師が祈る。豚などの生贄を捧げ、憑依されて踊り狂う。これじゃ却って危ないんじゃないかと思うような変な祈祷。でも、反時計回りに踊っていたので、「開ける」という方法としては間違ってないのかもしれない。
韓国では雨の日は火葬してはいけないそうなので、その日は火葬できず、近くの病院の安置室に置かしてもらう。その夜、棺の中の金銀財宝を目当ての墓泥棒が、火葬する前の棺を開けてしまい、封印されていた先祖が出て来て、悪さをする。結局、遺体を火葬することで解決する。「火葬」で解決するんかい!とツッコミたくなる。そのお金持ち一家の先祖が、戦時中日本の味方をしていた売国奴なので、罰として変な場所に埋葬されていたという設定になっている。
しかも、そこには重葬という形で、もう一つ棺が埋まっていた。それを持ち帰ると、そこから日本の戦国武将が出て来て、それがラスボスで悪さをするという話だ。そのラスボスは1万人をやっつけた日本の戦国武将で名前は明かされない。眷属が狐で、その狐を使って虎の形をしている韓国の腰の所を損傷させたという設定になっている。そして今なお、北を目指している戦国武将だそうだ。どう考えても、そんな戦国武将は居ないので、もうホラーというよりコメディに感じてしまった。
そこでキーになるのが「鉄杭」だ。日本統治下で韓国の磁場を下げるために日本があちこちに「鉄杭」を打ち込んだということで日本は酷いことをしたという認識が常識としてあるらしい。それを知らないと、この映画を見てもピンと来ないかもしれない。当時、日本が打った「鉄杭」とは、日本でも普通に使われている境界杭、つまり土地の境界を確定するための杭だったらしい。杭は永続性のある素材で作る必要があるのでコンクリートや鉄が使われる。争いを無くすための杭なのだが、韓国の土地の精霊に打つ杭、と、そういうふうに話が変わって恨まれているらしい。今後、国を超えて慰霊していくには、いろんな知識を持っていないと、大変に失礼なことをしてしまうかも知れないということを姫神様たちが教えてくれた。これからも勉強あるのみだ。
この「破墓」の監督がリスペクトしていると言われる作品が「来る」だ。「来る」は日本のホラー映画だ。これは日本の「術式」がてんこもりらしい。「呪術回戦」全部見て、日本の術式は勉強したので、日本のホラー映画は勘弁してほしいと言うと、意外にもOKが出た。そのうち「エクソシスト」も見てね、と言われているが、今のところ無視している。