東海の一之宮巡り その2
尾張の国の一之宮 真清田神社へ行く。マスミダと読む。駅からも近く、街中にある明るい神社だ。境内にある服織神社というのが有名で、七夕伝説に出て来る織姫さまの神社だ。7月7日にはお祭りがあるし、縁結びのご利益があるということで若い人が熱心にお願いしていて微笑ましい。
次は美濃の国の一之宮。。南宮大社に行く。どんどん気温が下がり、太陽は出ているのに雪が降っている。雪景色に朱色が映えて美しい。
ここは関ヶ原の戦いの時に毛利軍が陣地にしていた所だ。自分に少しながら毛利の血があるので、気になる。今日の宿泊は大垣市で関が原に近いし、いろいろ浄化しないといけないのかしらん?と思うけど、姫神様からは指示が来ない。
「どこをお参りしたらいいですか?」
と聞くと
「一応、見て回ればいいんじゃない。雪が積もっているから気をつけてね」
となんともツレナイ返事。
「関ケ原の戦いの亡者とかを祀っているんじゃないんですか?」
と聞くと、姫神様たちが大笑いしはじめた。
「本当に戦いがあった所ってね、骨がいっぱい出土したり、弓矢とか甲冑とか出土するものなの・・・そういうの見たことある?」
私は答えに詰まった。
「見てないでしょ? 教科書にも資料集にも無かったでしょ?」
私は目を白黒させながら
「関ケ原の戦いはどう説明したらいいのでしょうか?」
と聞くと
「現場参加型のバーチャルゲームよ」
と言われた。私の頭は?マークだらけになった。
「生身の人間が将軍として少ない人数を連れて陣を張り、場所を決めてバーチャルの兵士で戦うの・・・だって、そんな沢山の兵士が全国から集まって、決められた場所で戦うのは無理よ。沢山の兵士のご飯はどうするの? その時はオーバーツーリズム顔負けの混みようになるわよ。」
私は暫く絶句してしまったが、息を整えて
「ちょっと受け入れ難いお考えですが、家に帰ったら、その方向で調べてみます」
と返事をした。少なくとも関ケ原での大量の亡骸の発見は無い。そのうち実地で行ってみるしかない。
ツアーの添乗員さんが無類の銭湯好きということで、その日、泊まる大垣市の銭湯を教えてくれた。雪が降ってるし、どうしようかなと思ったけど、ホテルから近かったので行ってみた。ツアーの行程は終了しているので、一人でふらふら街歩き気分だ。映画に出て来そうな、昔ながらの温泉だった。今日もよく歩いたので広いお風呂は良かった。外に出ると雪は止んでいた。来た道と違う道で帰ってみようとすると、綺麗な神社が出てきた。大垣市総鎮守の八幡神社だった。大垣祭りが行われるところらしい。敷地内に大垣湧水と言われる湧き水があった。今まで見た湧き水の中で一番きりっとして勢いがあった。さっき入った銭湯も湧き水を温めたと言っていた。ここの人達は、こんなに綺麗な水で暮らしているのかと思うと羨ましくなった。住んでみたいなと思った。昔は水路が発達していて豊かな所だったようだ。俳人の松尾芭蕉もここを旅の終わりとして、ここから船で伊勢に向かったそうだ。歴史的なものが多いなか、映画「銀魂」の撮影が行われた所があったらしく、ポスターが貼ってあり笑ってしまう。湯冷めしないように温かくして電車にのり、御首神社へ行く。嫌な名前だ。平将門の首があるらしい。暗くなりかけていたので、さっと参拝を済ませてホテルに戻った。
翌日は伊勢の国一之宮 椿大神社だ。ここは最近、来たばかりだけど、今回は雪に覆われてとても美しい。歩くのは大変だけど、雪降る神社は幻想的で素敵だ。寒いこともあり、人も少ない。雪を踏みしめる音が響いて、改めていい神社だなと思う。
そして同じく伊勢の国一之宮 都波岐奈加等神社というのに行った。都波岐神社と奈加等神社が一緒になって出来た。ものすごく狭い神社だ。二人で力を合わせてもこの位という感じ。なぜ一之宮なのか分からない。都波岐と書いて「つばき」と読む。ヤンキーみたいだ。どうにもピンと来ない。居たたまれずにすぐ退散する。
そして伊賀の国一之宮 敢国神社だ。忍者の顔はめパネルがあちこちにあって楽しい。鳥居から入ろうとすると、何もないところなのに、急に前からドンっと押されたようになって尻もちをついてしまった。周りの人がびっくりして驚いて助けてくれた。なにかに弾かれている感じだ。すごく嫌な感じだ。でも楽しもうと思って、皆についていって普通にお参りする。普段はおみくじはしないけど、忍者みくじなるものがあり、トライしてみる。一回400円。破格の高額おみくじだ。出た番号を宮司さんに告げると、渋い顔をして奥からカードになったおみくじをくれた。はがき大の硬い紙に忍者のイラストと一緒に書かれた文字は「凶」。凶なんか出るか?と思って驚いて声がでる。宮司さんは、それ見たことかという顔で、奥に入ってしまう。凶が出たのは宮司さんのせいではないし、責めないから、せめて何か救いになる言葉でもかけてくれよ、と思ったが、一人、社務所に取り残されてしまった。
姫神様たちが、
「もう一度本殿に戻り、そこのおみくじを引きなさい」
というので、そうすると中吉。
「これが今日のコンディション的な運勢です。さっき出た凶は気にすることはありません。しかし、文章はよく読んで下さい」
と言われて、400円のおみくじを見直すと、「咎め」というショッキングな言葉で始まってはいるが、アドバイス的なことがいろいろ書いてあった。別に地獄に落ちる的な話ではなく、今後、足元を掬われないようにするために気を付けることが書いてあって、とても参考になった。腕に着いたアップルウォッチを見たら心拍数が一時的に150になっていた。そのくらい凶はショックだった。