問診について 〜評価の始まり〜
『評価』って何でしょう?
大学や専門学校の授業で「評価」の授業があったかと思います。
足関節の前方引き出しテストや膝前十字靭帯の不安定性などを確認するLuchmanテストなどを習う授業であったのではないでしょうか?※学校によって多少科目の名前が違ったりするかとは思いますが。
では実際に現場で行う「評価」とは何を指すのでしょう?
『評価』とは?
これは多少私の主観による部分もありますが、「対象者の状態を知るための情報を集める作業」の全てが評価であると考えています。
現場で行う評価はものすごく大事です。評価によって全てが変わると言っても過言ではないと思います。何故なら、評価をすることで得られるのは、目的地への地図だからです。ここでの目的地とは痛みなく運動をすることですね。
私の現場でのメインの仕事は痛みや怪我に対するリコンディショニングや初期対応なので、そちらを例に少しだけ掘り下げていこうと思います。
HOPSの流れに沿って評価についてのお話をしていきたいと思いますが、第一回の今回は「問診」についてです。
問診は非常に大事で、その後の触診・視診・スペシャルテストの内容を決めるだけでなく、しっかりと聞きとることで傷害像の8割くらい(個人的な体感です)が見えてくると思います。
それでは始めていきましょう。
問診実施中の流れ
例えば、「最近ジャンプする時に膝が痛いんですけど見てもらえませんか?」というバスケットボール選手がいたとします。こういった選手が自分の元を訪れた際に何をしますか?
-1聞く内容
まず話を聞きますよね?何を聞きますか?
私が対応するなら以下のように話をしていくと思います。
膝のどこが痛い?
いつから痛い?その痛みは徐々に?急に?
「ジャンプする時」のいつ痛い?
とりあえずこんなところでしょうか。
-2.聞く意図
各質問で確認したいのは以下の通りです。
膝のどこが痛い? = 大まかな組織の推察
いつから痛い?その痛みは徐々に?急に? = 受傷に至るストレスは一度の大きな力?小さな力の繰り返し?
「ジャンプする時」のいつ痛いのか? = 踏み込み?跳び上がり?痛みが出る部位がどういった運動をするタイミングなのかの確認f
この質問をすることで、傷害像の推察のどの部分に役立つのか意識して聞くといいかと思います。
そして答えがこんな感じであったとします。
-3.返答と推察
膝の前
3日くらい前から徐々に
踏み込んだ時。跳び上がりでは問題なし
この答えから傷害像を推察します。
膝の前 = 膝蓋腱?膝蓋下脂肪体?膝蓋大腿関節?膝蓋骨?膝伸展機構の問題か
3日くらい前から徐々に = 徐々に→一度の大きな力の否定。繰り返しの力によるものか
踏み込んだ時。跳び上がりでは問題なし = 痛み発生部位の膝は踏み込み時には屈曲
ここまで答えを得たら、全てをつなげてこんな予想を立てます。
「膝屈曲動作に何かしらの問題があるせいでジャンプ動作に何かしらの不良動作が起きて、膝蓋腱か膝蓋下脂肪体か膝蓋大腿関節に何かしらのストレスが繰り返し加わることで痛みが出てるのかな?」
といった仮説をたてます。地図上での目的地に向けた現在地と道のりが分かった様な感覚でしょうか。ストレスの種類や問題になっている動作も、機能解剖を元にしてある程度予想が立ちます。
その後実際に痛みを感じている場所を推察するために、触診や各種テスト法を用いて仮説の検証をしていくことになります。
この大まかな傷害像の把握ができたら問診は完了です。
まとめ
①問診時に聞く内容に意図を持つ
②場所・経過・動作の詳細を確認
この2点を意識して行うだけでも、問診の充実度が向上すると思います。
重要なのは、「対象者に向き合って話をしっかりと聞くこと。」これに尽きると思います。
好きな人の話には色々興味が湧いてこれは?あれは?って聞きますよね?問診もそれと同じです。
その人に何が起きているのかな?と興味を持って、疑問点を聞きまくってみましょう!
最後までご覧いただきありがとうございました!
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