映画「君たちはどう生きるか」 宮崎監督の、最後の願いと愛
ーこの世とは何か、人間とは何か、そして現代文明とは何かー
こういうことを考える、ぼーっとするとすぐ考えてしまう人にとっては、とてもお勧めの映画です🎞️。
以下、感想です。一度映画を観て、よく分からなかった、ネットの評価を見たけどピンと来ないという方に、もう一度見たい!と思っていただけるかも?!
注意※
完全に個人的な感想です。かなり好き放題言っています。ネタバレ。高畑勲監督好きな方は見ないでください(宮崎監督じゃん)。NHKの批判みたいのも少ししています。。
最初に見た時の印象と感想
この映画は、池袋の一番大きい映画館の、一番広いシアターで、8月、平日の朝に見ました。
最初に見た時は、宮崎監督は、やっぱり戦前の日本が好きなんだな~という印象を持った。
個人的に宮崎監督が、売れるかどうかを考えず、好きなままに作ったんじゃないかと思っている作品は、一番最初の「風の谷のナウシカ」、「風立ちぬ」。ナウシカは違うが、風立ちぬも、戦前の日本で、飛行機を作る男の、困難を乗り越えていく物語です。
途中から、神話のモチーフが大量に出てくる。全部が全部「これはこれだ」とわかったわけではないけど、日本神話と聖書のモチーフが出てきていることはわかった。
少年が異世界で神話を追体験して、母親を探していく道中、いくつもの困難が降りかかってくるストーリーが中盤続く。
中盤~終盤思ったこと(記憶に残ってること)
① 母親(妹)が激怒するシーン。正直「まあ、気持ちは分かる、、でも大嫌いは大人げなくない?そんな辛かった?でもまあこのくらい言わんと眞人は変わらんか」(エセ関西弁)()と思った。
女の人って、表面はいいですよいいですよって言いながら、本当は我慢してるみたいな人多い(私だけ?)気がします。自分がそういう面があってしまうので(最近は直ってる)、あ~…と思った。
このシーンは、現代では表面上の優しさとか多いけど、本音は違うんだよ、あと親に対して我儘な子供も多いけど、親だって感情はあるんだよ、というメッセージなのかな?と感じました。
② 叔父さんが、最後、この世界の管理者になってくれんか?この世界は戦争も争いもない(たしか)というようなことを言っていて、それを眞人が断るシーンが出てくる。これはインターネットのバーチャル世界の批判なのかな?と思いました。(後日考えましたが、VR世界ではなく、現代文明の批判かもしれません。)
今後、インターネットにおいて、完全に自分にとって居心地のいい世界、批判されることもなく、困難にさらされることもない、完璧な世界が作られるかもしれない。
けれども、それは本当の世界ではない。人間の本当の存在理由に対して、何の責任もない人間が作った虚構の世界。そこに生きるのかどうなのか、遠回しな批判なのかな、と感じた。
正直、異世界の住人がなぜ鳥なのかとか、あとダンテの神曲のモチーフが出てたらしいけど、それも分からなかった。なので、知識面で不足していることはあると思う。
ただ、私が思ったこと、感じたことを以下に書きます。
観た後に考えたこと
NHKープロフェッショナル 仕事の流儀ーの、「ジブリと宮崎駿の2399日」も、もちろん見ました。
しかし、感想としては、「取材をしている人に、宮崎監督は本音を言ってないんじゃないかな?」だった。
この番組はずっと、宮崎監督が高畑監督をものすごく尊敬していて(それは嘘ではないと思うが)、この映画を作る動機も、そこに発端がある、という感じだった。違ったらごめんなさい。
しかし、それがすべてではないと思うし、それが宮崎監督の一番上、もしくは一番深いところにあるものではない気がするのです。
高畑監督に対する畏敬の念、尊敬の念も、もちろんあると思う。
しかし、それよりももっと深い動機は、主題歌を担当した米津玄師氏に漏らした、子供たちに「この世に生きてていいんだよ」「この世は生きるに値する」ということを伝えたい、という話に近いんじゃないのかな。
この映画は、宮崎監督の、自身の人生を表した映画だと言っている人も散見されるけれども、私はそうじゃないと思っています。もちろんその側面もあると思う。しかし、宮崎監督は、これまでずっと、子供のために映画を作ってきた人。
集大成として、宮崎監督が最後何を書きたかったのかーそれはやはり、今回も、子供のために映画を作りたかったと思う。そして、これまでは、少しの優しさや、現代文明に対する容認も含めていた。
しかし今回の映画は、それをすべて取っ払い、本音で、真剣に、しかし本当の愛情を持って作った映画が、今回の映画ではないかと思っています。
宮崎監督の、次の世代に対する愛
この映画は、これに尽きると思う。映画を見た直後、エンドロールが流れているときに号泣したけれど、それは監督の愛、エールを感じていたからだと思う。
この世は理不尽に満ちている。最愛の人も失って、周りにも理解されず、辛いことばかりが起こって、自分でもやけくそになって、孤独の中に独り立つ。でも周りの人間も、自分の目には見えないだけで、理不尽に耐え、戦っている。この世の理不尽さの中で人間は生きなければならず、楽しいこと、美しいことだけじゃない。
けれど、そんな中でも、生きなければならない。真の友情を感じ、神話に生きる人間として、神話から生まれた人間として、生きなければならないのである。
そんなエールが詰まった映画だと感じました。
全然関係ないんですが、このフォントってなんか偉そうに見えませんか?笑合う人にはこのフォント合うだろうけど、私が書く文章でこのフォントだと、なんだか偉そう…と思いました。不快な気持ちにさせたらごめんなさい。
本当はもうっちょっと色々書けるけど、今回はここらで終わりにさせていただきます。
ここまで長文を御覧くださり、ありがとうございました!