金魚と私
心は合わせ鏡。動物相手は特にそう。
今朝も、金魚鉢を笑顔でのぞき込む。口をパクパクとしながら近づいてきた、朱色の金魚二匹。私は指でつまんだ餌をパラパラと水面に落とす。
今日も元気で良かった。微笑ましく、そう思った。
以前飼っていた、鮒みたいな金魚を思い出す。薄茶色の水中で鱗や瞳を鈍く濁らせながら、たゆたうように気だるげに泳ぐ姿。私が世話を面倒くさがっていたせいで、あんなふうになってしまった。
二匹は奪い合うように餌をがっつきだした。愛くるしい様子にほっとする。
もう、あの子の二の舞いはしない。