国際バカロレアDPの学びは「大人の教育法」
国際バカロレアの教育プログラムは、年齢に応じてPYP(3歳〜12歳)、 MYP(11歳〜16歳)、 DP(16歳〜19歳)、IBCP(16歳〜19歳)などに分かれています。
これらの教育プログラムに共通する目的は、IBの使命やIBの学習者像に示されているように国際的な視野を持つ人間の育成です。
DP(Diploma Programme)は、2年間のカリキュラムを履修し最終試験を経て所定の成績を収めると国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得することが可能であるため、大学進学のためのプログラムと考えることもできます。
しかし、DPは大学進学のための学びだけではなく、その先の学びも見据えて考えられた国際的な視野を持つ人間育成の教育プログラムです。
今回は、高校卒業後も(大学進学も含め)学び続ける学習スタイルを身につけるように考えられているDPの学びについて説明します。
「大人の教育法」
国際バカロレア教員向け資料には、DPの学習について以下のように書かれています。
この資料の指摘によれば、今までの学校教育(小学校・中学校・高等学校)のイメージは、「子どもの教育法」と考えることができます。確かに、生徒は教師に依存する傾向が強く、どの科目が得意か不得意かを考え、テストなどの分かりやすい評価に反応し、授業内容と実生活を結びつける傾向が弱い印象があります。
一方で、「大人の教育法」は、学習と自分の満足度を結びつける「大人になって始める趣味」のイメージが近いと思います。「大人になって始める趣味」は、趣味を始めるのも自分ですし、どの程度上達したいかを決めるのも自分です。
つまり、国際バカロレアの探究を基盤とした学習は「大人になって始める趣味のような学び」に慣らしていくような学習であり、DPの学びは「大人の教育法」に慣れることが求められています。
「大人の教育法」で学ぶということ
「子どもの教育法」に慣れた生徒にとって学習は「〜をやれば良い」というようなやり方だったのかもしれません。しかし、「大人の教育法」であるDPの学びでは「〜をやれば良い」という発想ではなく、その学習内容に興味・関心を持ち、その程度学ぶのかを自分で決めながら学ぶことが求められます。
さらにDPでは、その学びの成果が大学入学資格(国際バカロレア資格)とその成績(DPスコア)として反映されます。つまり、DPで学ぶ生徒は「大人の教育法」で学んだ上で、その学びの成果が評価されます。「大人になって始めた趣味」が評価され、その後の人生に影響すると考えると、DPの大変さが理解できると思います。
この大変なDPをサバイブできた生徒には、DPの目的である“大学在学中の学業の成就やその先の成功に向けての礎”がある程度身についているでしょう。
全ての生徒(中学生・高校生)が、DPの「大人の教育法」での学びに向いているわけではありません。DPでの学びを希望する生徒(中学生・高校生)とその保護者には、DPの「大人の教育法」の学びを理解し、生徒の性格や能力を理解した上で、DPを選択してほしいと私は考えています。