自由詩: 捨てられない!
久しぶりに物置部屋に入った
よし、今度こそ要らない物を思い切って整理しよう
何年も開けたことのない大きな段ボール箱
日記帳、写真帳、写真のネガ、卒業アルバム
懐かしい思い出の品々
これは私自身の一部だ
これは捨ててはいけない
そっと入れなおした
別の箱を開けた
ぎっしりと詰まった新書や文庫
一冊手に取り中を開いた
いたるところに引かれた赤線
思わず手を止めてしばらく読み続けた
そうそう、若いころ自分はこんなことに感動したんだ
次々と本を開き
忘れていたことを次第に思い出した
これは私の宝物である
困ったな
これも捨てにくいな
横の箱の中には
かつて何度も聞いた英語のカセットテープ
ケースに貼ったラベルの説明を読んでいると
繰り返して聞き覚えたフレーズがいくつか浮かんできた
これは今の私を作ってくれた恩人である
「心ときめく物だけ残して、後は捨てなさい」
このアドバイスをしっかりと肝に命じた
でも、全部心ときめく時はどうすれば良いのだろう
あーあ、もうだめだ、今度もまた捨てられない