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紙屋の仕事道具③ 紙の手帳

紙の種類はとても、とても多いのです。

お客さんから、「『A』という紙ありますか?」と聞かれても、わからないことが多いです。

そんなとき、まず最初に見るのが、日本洋紙板紙卸商業組合発行の
「紙の手帳」です。
9センチ×15センチという、スーツの内ポケットに入るコンパクトなサイズに、統計、紙の銘柄やサイズ、各製紙会社の抄紙機の一覧などの情報がぎっしり詰まっています。

「紙の手帳」は、毎年発売され、それぞれの情報は毎年改訂されています。

紙の手帳の目次の一部

紙の銘柄やサイズを調べることが一番多いですが、面白いのは、
「抄紙機性能一覧表」
です。
全国の製紙会社の抄紙機(紙を製造する機械のこと)の
・抄幅
・厚み(米坪)
・日産トン数
などの一覧表です。
大きいものだと、抄幅が8メートル、日産1000トン(コピー用紙50万包分)を超えるものもあります。

製紙会社のダイナミズムが実感できる一覧表です。
抄紙機も毎年止められたり、新設されたり(最近は止められることの方が多い。)するので、この一覧表も毎年改訂されています。

仕事で「抄紙性能一覧表」が必要なのは、僕の場合、オーダーメイドで紙を発注するときです。
抄幅を見て、できるだけ無駄がない寸法を考えたり、日産トン数を見て、どのくらいのトン数で発注できるかざっくり見当をつけたうえで、製紙会社に
相談します。

この手帳は、通常、年末年始に紙の業界関係者がお客さん(主に印刷会社・紙工会社)に配布されてきました。
一般では入手しにくいものです。
ですが、最近では紙が好きな人が増えてきているので、一般の人でも欲しい人がいるかもしれません。
僕は、これからは一般の人にも欲しい人には届けられるようにしていく方がよいのではないか、と思っています。
自分としても例えば鉄業界など、他の業種で似たような手帳があれば見てみたいです。

なお、この手帳は「洋紙」「板紙」の手帳であり、「和紙」は掲載されていません。






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