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新時代のロマンスとテック、もしくは神気と経脈‐理芽「ニューロマンス」雑感
2021年5月15日、理芽ちゃんの1stワンマンライブ「ニューロマンス」が開催されました。ライブ全体を通して受け取ったことをざっくり纏めてみたいと思います。一曲ごとのインプレッションではなく、全体としてそこで表現されていたことを概観してみます。
ライブ冒頭、いきなり「魔法なんてない」「神様なんていない」と、魔法の否定、そして「神の死」が語られました。
私達が観測してきた「花譜の物語」はこれまで、「不可解」や教会を舞台とした「不可解弐」を通して、「魔法」や「ファンタジー」、「祈り」というある種プリミティヴな思想が描かれてきました。
今回は、それとは全く前提を異にする、あるいはその対照となる「テクノロジー」と「人間心理」を基とした「サイバーパンク」の思想が前面に打ち出されていました。それこそが「理芽の物語」であると、このライブではっきりと宣言されたといえます。
ポエトリーリーディングのモーションタイポグラフィを担当させていただきました#理芽ニューロマンス pic.twitter.com/B6Wyc7gjqT
— 𝙮𝙪𝙟𝙪𝙧𝙚𝙖𝙡 𝙬𝙤𝙧𝙠𝙨 (@yujureal_works) May 16, 2021
サイエンスフィクション(SF)の文脈がふんだんに盛り込まれた理芽の物語。『ニューロマンサー』、『幼年期の終わり』、『夜の翼』等の作品がインスパイアされています。「さみしいひと」の“ありおりはべり”の歌詞は『ビューティフルドリーマー』からでしょうか。“夢を見せていて”とも歌ってますし。そういえば「リメ」と「ラム」って似てますね。
# 01の「来訪者」というニュアンスがここに来て理解できるのではないでしょうか。
今回はARライブということで、花譜ちゃん、理芽ちゃんの出演した「Vカニ」に続く、神椿単独としては初のライブ形態でした。もちろん、これまでもARを用いたコンテンツは神椿が度々発信してきたことではありますが、そのひとつの結実を見た形です。
本日の「理芽 1st ONE-MAN LIVE『ニューロマンス』」にて、ARのレンダリング周り全般を担当し、また、神椿スタジオ様の監修の下、一部楽曲のARエフェクト制作も行いました。
— いさな (@isana_cg) May 15, 2021
まだ御覧になっていない方は是非!<(_ _)>https://t.co/eiSHrrc9SMhttps://t.co/UcTvQpqDVz#理芽 #理芽ニューロマンス pic.twitter.com/q3SywCHX74
現実のライブ会場で、バンドメンバーやGuianoさんといった生身のアーティストと同じ空間を共有して生み出される音楽表現。
バーチャルのアーティストたちがこれまで試行錯誤してきた「まるで」そこにいる「みたい」の時代はもはや通り過ぎ、ARの字義通り「拡張された現実」がそこには確かに存在していました。
絶え間ない標準のアップデートが体験を常に新たなものにしてくれる時代に私達はいるのだ、と改めて実感します。
「バーチャルのアバターをまとったことで、皆に音楽を届けることが出来ている」と語る理芽ちゃん。今の時代を「いろんな形の好きで溢れとると思うっちゃんね」と捉え、「だから、あたしとみんなの関係性は、まさにニューロマンス」だと、「新しい時代のテクノロジーを介した好きの多様性、それがニューロマンス」であると、このライブのテーマを説明してくれました。
「あたしもあたしの好きの形を歌に乗っけて、みんなに愛を伝えるね」との言葉どおり、ロマンス、恋愛も理芽の音楽に通底する大きなテーマです。生々しい性愛や嫉妬、嫌悪、不安、満たされない気持ち、等々複雑な感情の機微が、笹川真生さんの繊細なリリックによる沢山の曲たちに乗せて表現されていました。
理芽ワンマン 泣きそうになりました
— 笹川真生 (@huyuyasumi_) May 15, 2021
たくさん作ってきて良かった
あと告白されたのも凄く良かった
そして
未発表曲が8曲も披露されました
「ラヴソング」
「宿木」
「いたいよ」
「NEUROMANCE」
「魔的」
「十九月」
「さみしいひと」
「やさしくしないで」
アーカイブあるようなので、
ぜひ◎
NEUROMANCE、あるいはNEWROMANCE。神椿の、そして理芽ちゃんの提示した「好き」の多様性、このライブでしっかりと受け取りました。
私の心に特に刺さったのは、圧倒的ポスト・アポカリプス世界観で殴ってきた「十九月」と理芽ちゃん自身の想いのぎゅっと詰まった「やさしくしないで」、そして花譜ちゃんとの新曲「魔的」です。
また、次回はぜひ現地で、「さみしいひと」のクラップで会場での一体感を感じてみたいものですね。
そしてそして、理芽 1st ONE- MAN LIVE #理芽ニューロマンス にて『魔的』のリリックデザインも担当しました!
— ZUMA / 文字デザイナー (@Z_typmoe) May 16, 2021
曲に合う読めなさそうで読めるイメージで作りました、やっぱLIVEで見るととてもカッコよい。2人の掛け合い、特に最後の方で重なってくのが最高なのでそこ活かしつつ「花」と「芽」に注目。 pic.twitter.com/vFJRVNahPg
今回も圧倒的な芸術体験を実現してくれた映像技術者、音響技師、カメラマン、デザイナー、イラストレーターの方々、そして理芽ちゃんと花譜ちゃん、Guianoさん、神椿STUDIOの皆さん。関わった全ての方々へ感謝です。
理芽バンド、ツインギター編成で左右から迫力満点なサウンドが最高でした。楽しい演奏をありがとうございました。
理芽1stワンマンライブ「ニューロマンス」でした🧚🏾
— 及川創介 Roomies (@cmps_sosuke__) May 15, 2021
ピアノ弾いてバンドアレンジやりました🧞♂️
めちゃめちゃ仲良しなバンドメンバーとマニュピレーター田仲さんと写真🍾
まお君の曲がカッコよくてピアノ頑張りました🧟
理芽ちゃん最高な初ライブおめでとう🎊
そして見てくれた皆、ありがとう!!!! pic.twitter.com/d2Oqv3OfV1
セットリスト
一部
**********(ポエトリーリーディング)
1.ユーエンミー
2.ピロウトーク
3.Flowling
4.さみしいひと(新曲)
5.ラヴソング(新曲)
6.ネクロマンサー(セカイイチ Cover)
7.Your Song(LOVE PSHYCHEDELICO Cover)
8.ねぇママ(笹川真生 Cover)
9.いたいよ(新曲)
10.宿木(新曲)
11.クライベイビー
12.胎児に月はキスをしない
13.甘美な無法
14. 食虫植物
二部
15. 魔法 feat.花譜
16. 魔的 feat.花譜(新曲)
*******(ポエトリーリーディング)
Special Metamorphose〈Childhood's END〉
17. 十九月(新曲)
18. 透過夏 feat. Guiano
19. 法螺話 feat. Guiano
20. NEUROMANCE(新曲)
21. やさしくしないで(新曲)
アルバム、写真集発売。嬉しいです。マストバイ。