【詩】綺麗なもの
何かを得るために何かをするのだとか、こんな意味があるからこうするのだとか、そんな気持ちの延長線上にあるみたいに普通に、わたしはついには桜が綺麗なものだから見ているということに自分で気が付いて嫌気がさし、わたしは意味のないものに価値を見出し始める
打算的な感情から逃げ出したくて、なんの意味がなくともただそれを眺めていたあのときのような気持ちをどうしても取り戻したくて、わたしは夢中になって意味のないものこそが綺麗なんだと叫んだ。事物は具体性が増せば増すほど綺麗ではなくなっていくんだって、そう定義したくてたまらなくて、そのたまらない気持ちのまま道端を歩いていた
歩いていたのだけれど、意味のないものが綺麗ならば、人生はこれ以上ないくらいに綺麗なものだね
どこからか聞こえきた声でわたしは歩けなくなった
綺麗なんかじゃないけれど、綺麗であってほしい
歩く力をください
一般論は嫌いだ、嘘をついてるひとみたいな顔をしてる
一般論ではないものが見たい
ただ、わたしがそう思い始めたとき、わたしはわたしひとりにならなければいけなかったのだった
爆弾が欲しかった
欲しがっているものが綺麗なものなんだと気が付いた