見たくないものがあるならば、 暗闇にすればいい 目を隠して、明かりを消して 見なければいい 聞きたくないこと音があるならば、 他の音で上書きすればいい 霧雨のような優しい音ではなく ゲリラ豪雨のような大きな音で 話したくないことがあるならば 口を塞げばいい むやみに否定するのではなく、戯言をならべるのではなく 無言でじっと誰かを見つめて それでも知りたいなら、聞きたいなら、告白したいなら 全部抑えずに、目を開けて、雨音を消すくらい大きな声で 告白してみろ、あの人に、あの
日が差し込まない灰色の空の下で 君は静かにキスをした そのキスの味は、甘酸っぱくとも、とろけるような気もなく ただ君の唇に触れたその事実だけが 僕の心に残留していた。 君を愛していなかったといえば嘘になる ただ、大好きかと言われるとなにも言いかえせなくなる。 これが恋なんだろうか。 愛なんだろうか。 だとすれば恋というものは 黒く染まった心に一生懸命白色を足して ごまかしているようにも見える。 お互い離れてしまえば忘れられるのだろうか。 求めれば諦められるのだろうか。 こ
人生は必ずともあの花のように 枯れて終わるとは限らない ある者は、踏み潰され ある者は、切り取られ どんなに綺麗な花びらでも どんなにいい香りでも その花の価値を知らない者は笑顔で その花を殺す その花の訴えを聞き入れずに その花の生き様も知らずに その花は誰かに愛された花とも知らずに 躊躇なく踏み潰す。 この世は残酷 運も実力の内というが その言葉はきっと、戯言ではない。 人もそうなのだろう 全人類が枯れることはできない 美しい体を保ったまま死ぬ者もいる 枯れて死ぬ
私は夜が好きだ だって夜は美しいものがすぐに分かるから だって夜は見たくないものが見えないから 私の命では償いきれない罪を隠してくれるから 星月夜が闇に染まってしまった私を、魅了させてくれるから 夜空に投げた言の葉が鮮明に聞こえるくらい静寂だから 何一つ気にすることなく涙を流せるから だから私は夜が好きだ。
少女は言った この先に進むなと 星が輝いている午前2時頃に 私は進もうとした 少女の忠告を無視して 私にはやらなければならないことがあるのだ。 少女の忠告を無視してしまうくらいに 大切なことを いつもの私なら 違和感に気づけただろう なんでこんな時間に こんな場所に 少女が一人でいるのかと でもそれに気づけないくらいに 私の決意は固く 周囲を見れていなかった。 少女の前を通ろうとすると、 突然視界が回ったと思えば 私は地面に押しつけられていた。 少女が押さえているとは
いつもは十二時を越えたらすぐに布団に入って寝るのに 悲しい気持ちのときはいつもカーテンの隙間から見える月をずっと眺めている。 星やイルミネーションの光とはなにか違う月の光が 額をそっとなぞった涙をいっそうに輝かせている 別に特別美しいと感じたわけでわない でも月には私を引き付ける力がある。 夜の向こう側に広がるビル群の航空障害灯の赤い光とは違う魅力が そうでなければ涙を流すこともないだろう。 しかし、しばらく考えてみたが答えは出なかった なので見る場所を変えてみようと私
夜に放ったあの言葉が 私の鼓動を早くする 君の頬はリンゴみたいに赤くて どこか可愛らしく感じた。 真夜中に触れた温もりが 私の心を高陽させる。 君が放った愛の言葉も よりいっそうに私を幸せで満たしてくれた。 二人が放った言葉が 二人の中のガラスのバラを壊した 楽しかったあなたとの思い出も 嫌いで上書きしてしまった。 あなたとわかれたあの日の記憶が 再び頭の中で動き出した。 昨日同窓会で話したからか それともまたあなたにバラをあげたいと思っているからなのかは 昔の私しかわ
僕はどこにでもいるただの人間だ それといった特技も特徴もなく 才能やセンスがあるわけでもない 生きるだけで一苦労な そんな人生を送っている 二十年この世界に住んでみると 憧れが現実という言葉に壊されかけている感じがする 夢を叶えても苦しむ人がいれば 夢を叶えれば楽に暮らせる人もいる 後者の方が多い気がするが 何も知らないのに結論だすのは今はやめておこう とにかくこの世は理不尽なことが多い気がする おかしいな この世は理不尽じゃないと思っていたんだが 子供の頃みた世界はフィルタ
別れの言葉はいつも同じだった 別れの場所もいつも同じだった 抱く感情もいつも同じだった 何一つ変わることはなかった 桜が散るあの丘で 君は涙を流す 僕をみて 感情をおし殺している僕をみて 泣いている 空が赤く染まった頃に 君は別れを告げて駐車場に向かう 僕はそれを見届ける 車が見えなくなるまで 君が笑うまで 見届ける やがて1年が過ぎる 桜が咲いた 春がやって来たのだ どこか嬉しくてどこか悲しい春が 車の音が駐車場の方から聞こえる 君がハナタバを持って車から降りてくる 僕を
春の宵 上を見上げれば夜桜が 誰かを待っているかのように 列をつくって並んでる 夏の宵 下を覗けば水面にも 咲き乱れる夏の花は 天にある蓮の華のよう 秋の宵 ボールのような十五夜が から紅に染まる紅葉と重なって 恋心みたいに心が揺れる 冬の宵 画用紙に広がる星の空 秋の宵に見た月は 今はもうどこにもいない
時計の針が静かに動いている 僕の願いも聞いてくれずに 僕だけがいる部屋にチクタクと 鳴り響く 鈍器を使って時計を壊せば あの時計は動くのをやめるだろう でもそんなことをしても 時は止まらない 僕が何度も願っても 時の流れには逆らえない 僕が何度も願っても 心臓の鼓動は止まらない 今の僕の価値は 壁にかけられた時計と同じで いくらでも替えのきく どうしようもない命 ふと窓の外を眺めてみる 外には新宿の高層ビル群の光が 大火のように輝いていた この光に憧れてここに来たのに
何でもない日 翡翠色の君の瞳を見つめる その瞳はうんざりする程きれいで 自分の瞳の色と比べどこか劣等感を感じた。 何でもない日 真珠を見つめる それは天女の忘れ物ではないかと疑うほどに美しく 汚れた僕とは分かち合えないと感じた。 何でもない日 空が灰色に染まり出す まるで自分の心情を炙り出すかのように 僕の心に雨がふる。
朝日が昇る頃に 聞こえ始める鳥の声 清々しい空気の中で 美しく咲く朝顔の花 夕日が沈む頃に 鳴り響く波の音 悲しげな空の下で 始まる一つの恋物語 月が輝く頃に 聞こえ始める梟の声 瑠璃色に染まった空の上で 綺麗に咲いた遠花火 ありふれた日々の中で 聞こえてくる優しい音 明日もきっと 新たな発見があると信じて
最近分かった自分にはセンスがないこと才能がないこと 最近分かった叶わない夢もあるってこと ずっと前から知ってた自分には出来ないって それでも前に走った走るためなら大切なものも切り離した。 気づくと目の前には暗闇が広がっていた。 分からなかったなぜ光ではなく暗闇が見えるのか なぜ歓声ではなく無音が続くのだろうか なぜ達成感ではなく後悔が生まれたのか 分からなかった分かりたくなかった 後悔が生まれたあの日から何年もたったのに未だに目の前に暗闇が広がっている。 何度隠そうとしても