しっとり、ほっこり、山種美術館
2023年12月某日
癒やしの日本美術 ―ほのぼの若冲・なごみの土牛―
山種美術館
なんとなくせわしない心持ちの師走。
そんなときには「癒やし」が必要。
ということで、山種美術館へ「癒やし」を補充しにいこう。
●第1章 江戸時代の「ゆるかわ」若冲・芦雪
▼長沢蘆雪
9匹のころっころのワンコがわちゃわちゃ戯れる。
それぞれの可愛さを描き分ける芦雪のテクニック。さらさらっと描いてそうだけど。
師匠の円山応挙よりめっちゃラフなんだけど、特徴をとらえちゃうんだなあ。
ずーっと観てられるわ~
・獅子の子落とし図
親獅子の気合いの入った顔が怖すぎる!ビビるわ~
一方、子獅子は「うそ~ん」みたいな表情
琴棋書画の世界を子どもで表している。
真面目に取り組む子もいれば、ついつい遊んじゃう子もいる。だって子どもだもの。
ちなみに「伝 長沢 芦雪」。ちょっときちっと描きすぎてる気もする。
絵のモチーフとして大人気の布袋さん。そしていじられがち。
芦雪の布袋さんはなんだかおっきいお餅のよう。
でっかい袋に乗っかって月を見上げる。
見上げるだけで月を感じさせるんだなあ。
七福神が宝船…ではなくフツーの乗合船?
恵比寿さんは鯛を釣ろうとしていて、福禄寿がうえーい。
酒をかっくらう大黒天に、居眠りする布袋さん。
などなどそれぞれに楽しんでいるようだ。
弁財天と毘沙門天はなぜかクールな表情。
▼伊藤若冲
まるまるっとしたフォルムが可愛い。
朱色のラインが効いている。よく色が残ってるなあ。
そして土焼きのざらっと感も感じられる。
若冲が40年描き続けたモチーフ・伏見人形。
墨使いが見事。
よくみたら白い部分が多いんだけど、黒とのコントラストが効いている。
鶏の一瞬の動きをとらえたフォルムがおもしろい。
・鶏図
こちらは表面から。
目んたま見開いて首まわりの羽毛がぼわっとしてる瞬間。おもしろ。
若冲の布袋さんはまんまる。なんだか顔がかわいいな!
かわいいけどちゃんと腹毛とか肩毛?がふさふさだ。
●第2章 癒やしの風景・心地よい音
・柴田 是真 墨林筆哥
ねっとりとした漆絵の存在感。
瓢箪から馬、草団子とお茶、菊、五重塔に虹、富士山、って縁起物ってことかな?
・小川 芋銭 農村春の行事絵巻
なんかいいな~農村の日常の絵巻。
同じように胡座をかいて、芋銭に手を添える河童。近くにいたんだね!
奥からやってくる奥さんもいい顔してはる。
白い襦袢の地模様が洒落てるわ~
かんざしと櫛の立体感、髪の毛の透け感が繊細。
指先と耳がほんのりピンクで色っぽいったら。
ホトトギスを描かずに感じさせるって発想も素敵。
●第3章 かわいい動物・愛らしい子ども・親しい人との時間
・竹内 栖鳳 みみずく、鴨の雛など
松園さんのお師匠さんの動物たち。
みみずくのふわっとした感じとか、鴨の雛の餌をがっつくのとか。
身近なものを描いていたんだねえ。
奥村 土牛
こってりした油絵。
上着をウエストインしたムチムチの子がかわいい。
テーブルとか籐の椅子とか、布やカーペットなど、室内の要素も気になる。
すっきりとした日本画。おもちゃがいっぱい。
まあいろいろ買ってあげたくなるよねえ。
モダンな柄の銘仙(梅と桜モチーフ)に身を包んだ女性が楽しそうにひそひそ話。
髪もパーマネントでバッチリ決めて隙が無いお嬢さんたち。
若冲と芦雪は個人蔵があるものの、ほとんどが山種美術館の所蔵品。
さすがのラインナップですな~
ちなみに順路を間違えて、第4章から観てしまった…
その分、若冲と芦雪を後半に観ることに。
美味しいもんを最後に取っとく、みたいな流れになっちゃったけどそれはそれでOK!
鑑賞後はお抹茶とともに、作品をイメージした和菓子をいただく。
ここでもほっこり~
山種美術館は、なんか落ち着く。非日常感を味わえるというか。
ラインナップががそう感じさせるのかしらね。