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ハニワと土偶の過去現在未来
2024年10月某日
東京国立近代美術館
ハニワと土偶の近代
待ってましたハニどぐ。
展覧会のサイトを見たときから、切り口がおもしろそう!って思ってた。
出土遺物=ハニワ、土器、土偶を幅広く取り上げていて、自分の見方も広がるのではと期待に胸を膨らませて。
で、その期待を裏切らないモリモリ盛りだくさんな展示だった。
ニヤニヤしたり、ほええ~と感心したりしながら観た。
ハニワと土偶に歴史あり。
ま何千年何万年レベルなので、当然だけども。
時代によって見方や意味合いがかなり変遷してきた。
特に戦前戦中がね。都合よく解釈されていたり。
人は、自分の見たいものを見るものね。
一転、戦後は芸術の視点でとらえ直し、やがて文化として浸透していったと。
とにかく作品も情報も多岐にわたっていて、好奇心を刺激されまくりでとってもおもしろかった。
●序章 好古と考古 ―愛好か、学問か
入り口が「好古」ってとこが、すごくいい。
以前、歴博(国立歴史民俗博物館)や國學院大學博物館でも見た、好古家たちの想いとネットワークにぐっと来ていたもので。個人的に。
「いにしえが、好きっ!」って想い。
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群像図國學院で観た。さらっと描いてる風だけど、みんないい顔してるな~微笑んでる
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土偶界のアイドル・しゃこちゃん(遮光器土偶)のスケッチ
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1954年の展覧会で古美術をフィーチャーしていた
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蓑虫さんが自分で集めた土器や土偶をいい感じに並べてみました~の図。
なんと、脳内の想像図とのこと。妄想って、大事。
この人、亀ヶ岡遺跡で遮光器土偶を発見したとかしないとか、なんか気になる人。
好古と考古、両方いけるクチ。というか軽やかに飛び越えたのかしらね。
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これも國學院で観た。
埼玉県熊谷市の好古家・根岸武香の家で描いたとのこと。
五姓田はシーボルトの考古学調査に随行していた。
根岸家には大森貝塚で有名なモースも訪れていたりして、なんだかすごい好古家コネクション。
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こちらは静嘉堂の松浦武四郎展で観た。
野見宿禰は相撲の神様だけでなく、ハニワ作りの土師臣の祖でもある。
相撲とハニワ、日本文化にめちゃめちゃ多大な影響を及ぼしてる。
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こちらも静嘉堂で観た。
松浦武四郎もかなりおもろい人。好古家&探検家。
これは暁斎先生が描いたページ。最初の蓑虫さんの掛け軸にもおんなじ顔のハニワがいたな!
●1章 「日本」を掘りおこす ―神話と戦争と
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ハニワもさることながら、もうこの親方の笑顔が全部持ってっちゃってる気がする。
ほっこりするわ~いいハニワが作れて幸せ~みたいな気持ちがあふれ出てる笑顔。
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図案家杉山による復元図。背景のグリーン&オレンジにセンスを感じる
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歌留多にハニワが。琳派風とのミクスチャー
描いた人たちがすごい。安田前田小林…ちょっと欲しいかも
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欠損部分はあえて白でわかりやすく そこも含めてなんか、かっこよ
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乙女チックでアンニュイな少女を描く蕗谷虹児も、戦時中はこういう絵を描いていた
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●2章 「伝統」を掘りおこす ―「縄文」か「弥生」か
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ハニワとマティスとの類似性や岡本太郎が縄文土器を「発見」したとか、戦後に出土遺物の捉え方がガラッと変わった
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壁に谷川さんの詩が。
ハニワの素朴な魅力を表現しながら、戦中のあり方にピリッとした視点で。
父・谷川徹三は帝室/国立博物館次長を努め、戦後の移行期の変革を担っていたとのこと。
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ハマショー登場。そして科学雑誌が縄文土器をフィーチャーしてるのが興味深い
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キュビスム風なハニワ。展示されるハニワ
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動物のハニワを担いだ古代の人がたくましい。存在感があったなあ
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ハニワ修理中~な松原岳南。彫刻家でハニワ収集家、そして修復師
考古学・美術・文学をつないだ重要な存在だとか。イサム・ノグチに馬のハニワを譲ったのだとか。
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なんだかモダーンな雰囲気で、テラコッタ~な色も素敵。
古代日本というよりちょっぴり無国籍な雰囲気も。
やっぱり親方がうれしそうでなにより。
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キューブかつデザインされたハニワ。
思えば…オリジナルのハニワたちも顔にペインティングが施されていたりしてアヴァンギャルドな感じがするので、なんか違和感ナシ。
斎藤いわく「抽象が増えてきて具象絵画がバカにされる風潮だったので、ハニワを始めた」らしい。
そんなやさぐれた気持ちを受け止めるハニワ。
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ぐいぐい行く斎藤さん。さらにデザイン寄りに。
モダン建築の壁とよくとマッチしたのだとか。
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左が現代の女性で右がハニワの巫女。向かい合う2人。
だいぶ目つきが違うな~現代の女性キッツいな~
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展覧会のチラシで見たときから心に残っていた土偶。
土偶本来の造形のユニークさと、斎藤さんのデザインセンスの融合が楽しい。
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微笑むハニワがキュート。はに丸よりキュート。
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もりもりな質感がおもしろ。そして赤い壁とのコントラストが素敵。
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ハニワを発見した節子さん、集めていた。大きくて力強い絵だった。
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すっくと立つ土偶 傍らのナデシコがアクセント。
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マティスに学び、イサムとマブダチの猪熊さん。
ふてぶてしい猫の存在感がすごい。かわいいだけじゃあないの。
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初回は建築家・谷口吉郎がディスプレイ
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シンプルなデザインが新鮮。「現代の眼」シリーズって、意欲的な試みだったと思う。
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オリジナルの谷口インスタレーションに敬意を表して?
イサム・ノグチの兜や岡本太郎の犬がさりげなく存在しつつ。
いや~バラエティに富んでますな~
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縄文土偶から女人ハニワに。「ハニワは天皇に従順な家来」by土門拳
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都市を復興しつつ、被爆者救済が遅れていた広島の状況が「矛盾」していたことからのタイトル。
イサム・ノグチの案が却下され、丹下健三案となった状況も連想させる。
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縄文土器にぐわ~っと来ちゃった岡本太郎。
こちらは土偶というかハニワというか。
前衛いけばなのために制作したものだとか。
3つのうち1つは父・岡本一平の墓碑に。ホントに自由に花を活けまくってる太郎。
一平と刻まれたの墓石の上にどーんと置いちゃってるとこも含めて、なんかすげ~な。
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巨大なろうけつ染めの作品。メキシコ壁画の影響だとか。
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右がシュールで左が女人ハニワズ。
山口蓬春の日本画に収まらない画風、なんか好き。
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ハニワを蒐集していた猪熊さん。HANIWAシリーズを制作した。
ハニワというかさまざまな出土物が
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地下に埋まっているのは…地下鉄とか?近代化しちゃった地下。
この色味が東京オリンピックのポスターに似ている↓
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●3章 ほりだしにもどる
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なんというか、味のある絵(棒読み)
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さすが新潟。火焔形土器がざくざく出てくる土地柄だけに。
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武人埴輪ハニワがこけしになると、かっこかわいくなる。
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前にチバシビ(千葉市美術館)でタイガー立石の展覧会を観たことがある。
全体的にインパクト強めだったので、土偶に気づかなかった~
この絵だってほら、全部がポイント!って感じだし。
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そういえば、何年前にはに丸がいきなり復活してビックリした。ジャーナリストとして。
社会のあれこれにハニワ目線で鋭く切り込んでた。はにゃ!
ということで、ハニワと土偶をめっちゃ満喫できたハニどぐ。
今後も私たちの価値観にちょいちょい寄り添っていくんだと思う。
ツボを押えたグッズも盛りだくさん。ハニワ色の靴下が、かなりいい。