奇跡を読み解く
50代のうちに黄綬褒章を受章したこの奇跡
これは 本当に有り難い事。
ただがむしゃらに 目の前のことをひとつひとつ
毎日毎日 こなしてきた訳ですが、その道は山あり谷あり。
谷あり谷あり
自分にとっては 当たり前の事だと思って 普通の事と思って 酪農家を過ごしてきたけれど
やはり 違うらしい。
何が 他の人と違ったのか 客観的に見てみると
ひとつは、
牧場のフィールドに生き 日々否応無しに五感をフルに使ってきた事で、五感が研ぎ澄まされ ついに第六感が働き易くなる。そうすると、窮地に追い込まれた際に どう対処したらベストなのかひらめくのです。インスピレーションが働いて さまざまな事象に対応できるようになった事。これは、怪しい話ではなくて、経験値が上がれば 誰でも だんだん正しい判断や行動が出来るようになる訳ですから、間違いありません。
この五感を充分に発揮させることが大切。現代では 何かしら 使い切れていない感覚が存在してしまい 第六感とのご縁を感じられなくなってしまっているんです。
牧場のような環境に身を置く事が、脳をリフレッシュさせ 困難も乗り越えられる力となってくるのです。
では、全ての牧場に住む人に奇跡が起きる訳ではないのは何故か
それは、ふたつめが大事なんです。
いわば 大きな母性本能の存在
ただただ利益を追っていくだけではなくて、大きな母性本能が、この社会の為には とか、子供たちの為に とか、酪農業界全体の為にとかに働いてしまって 生乳を搾るほかに 社会の役に立ちたいと強く思ってしまう事。私利私欲に走らず 大義を持って物事に当たる事が、奇跡に繋がったのです。
では、何が社会の為だったのかと言うと
大きく言えば
グリーンツーリズムのすすめ
グリーンツーリズムは、牧場を舞台にするとオープンファーム または、酪農教育ファームという言葉にも置き換える事ができますが、私は、これまでオープンファーム活動を大義を持って展開してきました。
この道を歩き始める事になったきっかけは、あるひとりの人との出逢いでした。
その方は 当時ヨーロッパの酪農教育ファームを日本に持ち込みたいとの思いから、日本中の酪農家の中から 関心のありそうな酪農家をピンポイントでピックアップして、活動を始めようとしていた旅の途中に、私の牧場へ立ち寄りました。
そして 牧場のあるべき姿の話や多面的機能の話をしている際に 私に、
「グリーンツーリズムの原石を見た」
と、おっしゃいました。私どもの事です。
その後彼は、酪農教育ファームを全国に広める活動の最中に病で 亡き人になってしまいました。とても残念でしたが、20年以上を経て 原石は ダイヤモンドの像を見せたと言えるでしょうか。
それでは、牧場で私が経験した小さな事から大きな事まで、臨場感溢れさせてお伝えすることで 牧場の世界を楽しんでいただきたいし、親しんでいただければ幸いです。
数々の動物たちとのエピソードから、私たち人間が忘れてしまったような事を 思い出されるかもしれないし、再び 自らの五感を更に強化して インスピレーションを正しく受けて 豊かな暮らしになっていただけたらと思います。
エピソードは、次からの記事で紹介します。(以前の記事にもいくつかあります)