「心音」(詩)
心の音を聴いて。
私の気持ちに従う。
愛は賢者すら愚者にする。
何故かは分からない。
何故か。
私は他人を優先してしまう。
自分の気持ちを押し殺してしまう。
私はそういう人間だった。
自分の好きに生きられないこと。
苦しんで。
どれだけ、その性質を嫌っても。
いつか助けた、
誰かの感謝が心地よかったのだろう。
そこだけは、変わることがなかった。
どれだけ不利益でも。
一度助けたいと願えば、
助けようとしてしまうのだ。
心の音を聴いて。
私の気持ちに従う。
愛は賢者すら愚者にする。
かつて、私の残した轍。
知っているんだ。
私は愚かだ。
心音が鳴り響く。
いっそ誰とも関わらなければ。
私は私であれる筈なのに。
素直な自分であれる筈なのに……
それでも。
他者を助けるのも。
他者を見限るのも。
私の素直な気持ちからなんだ。
気づいてしまう。
目を瞑れば、一面の夕暮れ。
心の中の水面が揺れる。
今も心音が鳴り響いている。
永遠に続く穏やかな海に、
一人取り残されたような気持ちで。
私は、目の前の事実に向き合った。
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