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[詩]「秋へ」

ああ


秋よ


寒くならないで


黄色の紅葉が

散ってしまったら


草を蝕む

野焼きの音


別れの合図


煙の香り


ああ


寂しくも

美しい


貴方の姿


寒さにも

負けず


暖をとって


命を必死に

繋いで生きる


その姿を

見るための


この日々が

続いてくと


錯覚させといて


ねぇ


気づいてよ


秋が深まれば


吐く息が

白くなって


私の顔が

赤くなった


ああ


妹よ


貴方を

見ていると


やがて


熱病に

犯されて


死んでしまいそう


ああ


明日になるほど


夜風の温度が

冷えていく


窓の電気は

暖かいのに


そこは私の

居場所じゃない


苦しいんだ


こんな日々が


秋よ


真実なんて

気づかせないで


私はもう

独りじゃないと


そうであるなら


私の命は

自由じゃないの


苦しみが

満ちていく


星の海を

流れる月船


欠けていないと

進めないの


満ち足りては

いけないの


貴方の笑顔


知れば

知るほど


羽が溶けてしまって


太陽だって

知ってしまうの


残酷だって

気づいてしまうの


ああ


その温度のこと


忘れさせて

くれないから


やっぱり秋は

嫌いだな


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