「バケツの火。」(詩)
顔が映る。
灯された炎。
拍手の様に、ぱちぱちと燃えて。
微笑んだ。
生きる活力を裏返し。
頭から被って、灰塵へ。
燃えていく身体。
心は焦がれ墜ちた。
21gを思う暇もなく、
終わりが来る。
起きたら地獄は終わっている。
……遺されたのは、不在着信だけ。
声は掠れて消えていた。
顔が歪む。
灯された炎。
ぱちぱちと燃えていて。
バケツの中の
生命の証をひっくり返す。
火を食(は)んで、焼けた。
連絡が来る。
疑問符の中、
心は空っぽだ。
いずれは来ることだと
知っていても。
後悔は募った。
(……まだ、お別れも言っていないのに。)
21gが酷く軋む。
眠れば貴方の地獄は終わるのか……?
溢れでたのは、涙だけ。
……だけど、例え。
炎が揺らめいて、いつか。
貴方の姿を見たとしても。
バケツの中、火を灯す。
(……まだ、底へは。)
後悔と懺悔の苦しさの中。
僕は、アイウェアを掛け直した。
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