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家なし国際夫婦、車を買う
私たちは昨年の11月にカナダから日本に帰国した。
カナダへは、移住も視野に入れて渡航していたのだが、物価や家賃が高騰し続けるカナダでは、私が手に職をつけない限り夫一人の収入での生活は厳しいという現実に突き当たった。
とりあえず、日本で生活基盤を築こう、その間にいつかのカナダ生活に向けて準備を進めていこうということで日本に帰ってきた。
ただ、帰国したはいいものの私たちは帰る家がなかった。
実は、旦那さんは猫アレルギーがあり、猫のいる私の実家で滞在することができなかったのだ。それに加えて、私たちは都会ではなく自然豊かな場所で生活を送ることに憧れを抱いていた。
そのため、とりあえず2週間は私の祖母の家で生活をさせてもらい、その後は特に私たちが気になっている高知県と宮崎県を巡りながら移住先を見つけることにした。
そして今後の旅に車が必須ということで、マイカーを購入することになった。
私たちは100万円でSUVの中古車を見つけるべく、車探しを開始した。
そして、私たちが設定した期間は2週間。
と言うのも、当初の私たちは安易に中古車ならスムーズに購入できるだろうと考えており、帰国2週間後から高知県で1カ月のお試し滞在の申し込みをしてしまっていたのだ。
そのため、帰国後2日目から早速本格的に行動し始めた。
当たり前ではあるが、私も旦那さんも車を購入するのは初めてで、車に関しては全く無知だったのだが、幸いなことに友人が知人の自動車整備士を紹介してくれた。
その自動車整備士の方は、とても親切な方で会ったこともない私たちの相談に快く乗ってくださり、中古車事情や車探しのコツなど沢山のことを教えて下さった。
しばらくカナダにいて日本の時事に疎かった私たちは、真っ先に某中古車会社に車を探しに行ってしまっていたのだが、それについてもご丁寧に指摘して下さった。
そうやって自動車整備士さんのアドバイスを受けながら、私たちは来る日も来る日も異なる会社、店舗を訪れ、フィーリングの合う車を探し続けた。
特に旦那さんはマイカーへの想いが強く、気になる車を見つけては家に帰ってその車種やエンジンパワーについて調べ、さらにはオンライン販売でも探すほどの熱心さだった。
そんな旦那さんは、決まって実際に車を見学させてもらう時は、車を隅々まで観察する。外観、内観、エンジンのかかり具合、さらにはボンネットも開けて下さいとディーラーさんにお願いしているから驚いた。
そんな旦那さんの姿に、車に関して全く無知の私はつくづく感心していた。
ある時、旦那さんに「ボンネットの中まで見るなんてすごいよね。因みに何を見ているの?」と聞いてみた。
すると、
「え、何も見てない。何もわからないから見たふりしてる」
「え……」
演技うますぎやろ…。すっかり車探しのプロかと思ってましたわ笑
もしかしたらディーラーさんにはバレバレだったのかもしれないのだが、彼のように自分は車に詳しいぞオーラを全力で出すのは大事なことなのかもしれない。
話は逸れたが、車探しにおいて低予算かつSUVを探していた私たちは、走行距離か製造年数において妥協する必要があった。そこで、今後車で各地を旅していきたい私たちは、製造年数にこだわらず走行距離の少ない車を選ぶことにした。
余談だが、日本では走行距離10万キロというと、かなり走った車だなという印象があるが、カナダ人の旦那さん曰く、カナダでは10万キロ走行なんてまだまだ走れるじゃんという感覚らしい。また日本人は車体の傷を気にする方が多いらしいが、カナダやアメリカでは傷なんて大したことないさ派の人が多いらしい。確かに言われてみれば、カナダではボッコボコの車体で普通に走っている車を何度も見た気がするな。
そんな風に、私たちは多少の傷や走行距離について寛容だったため、車探しが多少しやすかった方かもしれない。
最終的には10年で走行距離3.7万キロのCR -Vを購入することを決意した。
何度もご相談させていただいた整備士さん的には、10年で3.7万キロと走行距離が少なすぎるのはあまりおすすめではないらしいのだが、あなたたちが良いと思った車が結局は一番良いのよと言ってくださった。
私たちにとってはこのCR-Vに一番いいフィーリングを感じたので、それに従うことにした。
こうして毎日のように車探しに翻弄していた日々が終わることになったのだが、いざ購入することになって初めてタイヤが6年前のものだと発覚した。
実は、私たちが目星をつけていた車はディーラーさんのいる店舗とは別の店舗にあり、以前そこに車の見学に行っていた。その際、タイヤの年数を聞いていたのだが、そこで担当して下さっていた面白いおっちゃんディーラーさんは一生懸命見て下さったのだが、老眼で見えなかったのだ。今となっては彼が本当に老眼だったのかは誰にもわからない。笑
そんな訳で、再び担当のディーラーさんの元を訪れ、彼に確認してもらうまでタイヤの年数がわからなかった。
結果的に、タイヤの交換を含めると当初の値段から15万円ほど高くなることが判明した。
それは私たちにとっては想定外で、車の年数も古いことを考えると、なんとかして値引き交渉はできないかと生意気な私たちは考えた。
当然、ちょっと安くならないですかの一声では、もう既にかなり値引きされて今の値段になっているこの車では、厳しいとのことだった。
確かに、SUVで自分たちの予算に合っていることを考えるとそれもそうなのかもしれないと納得した。
しかし、ここで簡単に諦めないのが私たち笑。
私と旦那さんは、なんだか腑に落ちない今の現状を、お互い一体何にモヤモヤしているのかについてとことん話し合った。
途中旦那さんは熱が入って英語で思いを語りだす。
そこで私たちは それじゃん!と閃いた。
旦那さんは英語で話すと、より具体的に思いを言葉にできるから熱が入る。
それを無理して日本語にしないで、そのまま伝えてみたらいいじゃんということになった。
そんな訳で、旦那さんの英語を使ってディーラーさんに交渉してみることになった。
2人で電話をかける前に練習をしてみる。
そしてやや緊張の面持ちで電話をかける。
まず旦那さんが日本語で思いを伝えたいけど、僕は日本語だとうまく伝えられないから英語で話させてほしい、ワイフが横から通訳しますと流暢な日本語で伝える。笑
そこから彼はブワーーと感情が溢れるままに思いを英語で語り出す。
これは外国人あるあるなのかもしれないが、旦那さんが英語と日本語で話すときでは声のトーンが若干異なる。感覚的には、日本語だとやや高くなり、可愛らしい印象。対して英語は、低く、威厳のある響きになる。
横で聞いている私も、流暢に英語で話す彼の声とそこから醸し出される雰囲気に圧倒された。
だが、私は翻訳しないといけないので必死に聞き取って日本語に翻訳する。
今思えば、ディーラーさん的にはなかなか困ることをしてしまったなと思う。
流暢な日本語で前置きをしておいて日本語に自信がないからと英語を話したのも、矛盾しすぎて笑ってしまう。
こうして無茶苦茶な値引き交渉作戦を実行した訳なのだが、私たちの必死さが伝わったのか、旦那さんの英語作戦が効いたのか、熱い思いが伝わったのかはわからないが、有難いことにディーラーさんは上司に相談して私たちが提示した金額で販売してくださることを承諾して下さった。
電話でその報を受けた私と旦那さんはハイタッチとハグで喜びを分かち合った。
しかし、この話には続きがある。
電話交渉が成功した後日、契約をしにディーラーさんの元を訪れた。
実際に、料金の明細書を見せてもらうと、私と旦那さんの計算ではせめて5万円の値引きに成功したつもりだったのだが、実際は3万円程だった。
どうやら値引き交渉前に私たちが計算違いをしていたらしい。
痛恨のミス。
心の中では、吉本新喜劇風に転けていた。
おそらく車購入において3万円の値引き交渉はあまり成功とは言えないだろう、、、
ハイタッチをしてハグをして全力で喜んでいた私たちが滑稽に思えてきた。
とは言え、3万円の値引きも今の私たちにとってはとても大きな違いだ。
その3万円でできることは沢山ある。
そして、何よりおそらく本当に値引きに値引きを重ね提示されていた金額をさらに値引きして下さったのだから感謝しなくてはいけないくらいなのだ。
そんな訳で、エピソードが長くなってしまったのだが、やや予算オーバーでは合ったものの、私たちは無事に車を購入することができた。
ただ、流石に車検等も合って高知県の渡航には間に合わなかったので、結局途中で高知県から車を受け取りに帰らないといけなかった。
こうして失敗も沢山あったが、自分たちの納得のいく愛車をはじめて持つことができて幸せだ。
今では、愛車にジョージと名付けて「おはようジョージ」「今日もかっこいいね」「ジョージありがとう」「さすがだね、ジョージ」と乗るたびに声をかけて愛している。
また成功したのかわからない交渉エピソードはいつ思い出してもにやけてしまう。
きっと、もっと私たちが歳をとった時、このエピソードを懐かしく笑いながら思い出すのだろう。
今日もここまで読んでくださってありがとうございます。
今後は、私たちが愛車のジョージで住みたい場所を求めて旅していくストーリーをシェアしていきたいと思います。