見出し画像

(舞台感想)骨と軽蔑

サンケイホールブリーゼで見ました。

観劇前は、出演者様が豪華で、またチラシの写真が眩しすぎて、自己主張の強いぐったりする舞台ではないかと、一抹の不安を抱いていました。

しかし全くの杞憂でした。
良い意味で華やかさや自己主張はなく、セリフが弾丸のように飛び交う、テンポの良い職人芸の舞台でした。

ストーリーは残酷で愚かで、しかし真心もあり3回泣きました。


1回は、衝撃のラストです。

後の2箇所は、自分でもなぜ涙が出るのかわかりませんでした。え、ここで泣くの、私?みたいな。
 
1箇所は、奥様とネネが、虫(本当はミロンガ)に「ありがとう!!」と渾身の感謝を述べるところ。もう1箇所は、ドミーが偽りの手紙を「全部覚えているのよ」と言って憧憬を込めて暗唱し、姉が共有するところ。

勘違いや、他人の不幸の上に成り立つ幸せ。それに全身全霊をかける人間の哀しさ。そこに涙が出たのかもしれません。


プロジェクションマッピングが効果的でした。


“効果をねらって使っています”感がなく、サラリと提示されているところが良かった。
ラストの、隊列を組んで飛ぶ戦闘機の映像に、突然戦争の現実を突きつけられました。(ここの場面の急展開がとても良かった!)
さっきまでずっと小さい家族の物語だったのに。アッという間に終わりが来て、気持ちが追いつかず、終演後の余韻が凄かったです。

お見事でした。

お読みいただき、ありがとうございました。


手練れの女優7人と一緒に辛辣なコメディを作ってみたい。会話劇だ。会話、会話、会話。今は一応コメディと呼んでおくけれど、作品を占める笑いは苦味の強いものばかりになるかもしれない。

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏
(チラシコメントより)




●データ
公演期間
2024年2月23日(金祝)~2024年4月7日(日)

会場=
東京 シアタークリエ
福岡 博多座
大阪 サンケイホールブリーゼ

作・演出=ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演=
宮沢りえ
鈴木杏
犬山イヌコ
堀内敬子
水川あさみ
峯村リエ
小池栄子

美術=秋山光洋
照明=関口裕二
音響=水越佳一
音楽=鈴木光介
映像=大鹿奈穂 上田大樹
衣装=伊藤佐智子 
ヘアメイク=谷口ユリエ
演出助手=相田剛志
舞台監督=福澤諭志 奥田晃平