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親孝行のつもりだったけど…

母とは、離れて暮らしており、日帰りでは行けない距離のため、毎日、電話をかけることにしている。
私は、相槌のみでほとんど母の話を聞いていることが多い。
母は、切り際いつも、「〇〇(私の名前)の話は何も聞かず、自分のことばかり話してしまった。聞いてくれてありがとう」と言う。ご清聴ありがとう、と言ったところであろうか。
母は既に70代半ばとなり、ありがたいことに元気だが、少し耳が遠くなってきた。
10年前に夫を亡くし、一人暮らし。さすがに守ってやらねば…と思う。親孝行とはなんぞや、と少しは真剣に考えたりもする。

そんな折、私は、生まれて初めて、入院をすることになった。それは急な話で、また、仕事の事情なんかも重なり、私は、かなり気持ちが滅入った。

そうなると、母との電話は、誰と話すよりも、心地良かった。母の友人、趣味、体に良い食べ物の話…などなど…私は、聞き流すように、うんうん、と頷くだけで、不思議と気持ちの平穏が保たれた。
電話は、親孝行の一環なんて、偉そうに思っていたが、実は逆だったのだ。

なにが親孝行かわからなくなりつつも、毎日の電話は、これからも続けるつもりだ。

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