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かわいそうに、と言われたこと

手術のため、4泊5日の入院をした。

数名の看護師さんにお世話になったが、本当によくしていただいた。ここで、病院名を言ってまわりたいくらいだ…。

特にありがたいと思ったのは、看護師さん達の言葉がさりげないことだった。マニュアル的なわざとらしさのない、素直で優しい声掛けに、緊張もずいぶん和らいだ。

その中でも、特に心に残った言葉があった。

手術の後、麻酔のよく効く私は、なかなか目が覚めず、異常な寒気(全身麻酔あるあるらしい)で自分の歯が、ガチガチ鳴る音により、意識を取り戻した。

目を開けると既に病室で部屋は薄暗く、3名ほどの看護師さんが私のベッドを囲んでいた。焦点が定まらず誰が誰だかは、全くわからない。

私は、目を覚ましたことをアピールしなくては…と思い、「今、何時ですか?」と聞くと1人の方が、
「○時ですよ」と優しく答えてくれた(何時と言ったかは、覚えていない)。

そして、3人は、私の着布団の上に、さらに電気毛布を掛けてくれた(翌朝、電気毛布だとわかったのだが、その時は、なぜか大きな紙を広げて掛けてくれている…と思っていた…)。

その毛布を準備しながら、誰かが、「かわいそうに、かわいそうに」と言うのが聞こえた。
私が寒さでガタガタ震えているのを見て、そう言ったようだった。

なぜだかわからないが、その言葉を聞いて、私はものすごく嬉しかった。意識は朦朧としていたが、その時は、はっきりと嬉しかった。 

きっと、普段の生活で、かわいそう、なんて言われたら、ギョッとし、ちょっとネガティブな気持ちになりそうだが、このタイミングでそんな言葉を発してくれた、看護師さんに感謝した。

ああ、そうなんだ、今、私は、かわいそうなんだ、と安堵し、再び、眠りにつくことができた。


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