見出し画像

心の準備ができていない訃報

先日、訃報が届いた。
フットサルで知り合った9コ下の後輩が癌でなくなったとのこと。
享年34歳。
あまりにも早すぎる死であった。

急な訃報に困惑し
胸がザワザワし落ち着かず、最後に会った時はどんな様子だったか
亡くなった事実はあるのに受け入れがたい気持ちともう会えないという寂しさと
いろんな感情が入り乱れ、気持ちの整理がつかなかった。
悲嘆するとはまさにこのような状態なのだろう。

彼との思い出は楽しい記憶しかない。
追悼の意味で敢えて彼との思い出を綴る。

介護施設で調理師をしていた彼は見た目はチャラ男なのだが、仕事に対し真摯な考えと責任感を持つ好青年であった。人前で騒ぐタイプではなく無邪気な笑顔のいじられキャラであった。その場の空気を読み気を遣える男で、温厚で怒ったことなんて見たことがない。ご飯に行っても和食中心のメニューを選び、朝早い仕事だからと夜遊びもしない。お酒は嗜む程度飲むが、酔って迷惑かけるなんてことはない。週に3~4回もやるほどフットサルが大好きであった。

そんな人柄なので、すぐに仲良くなり
ふざけたことばかりしている自分に「この人マジでバカだわ~」と言ってくれる可愛い後輩であった。

ある日「なんか遊びに連れてってくださいよ」と話しかけてきて、「じゃあ経験したことないところに行ってみるか」と出かけるようになったのが、さらに付き合いが深くなるキッカケとなる。

ボルタリングに行って腕が痙攣するほど登りまくり、翌日めちゃくちゃ筋肉痛になったり。
水が苦手というのにラフティングしに奥多摩まで行き、川に落としたり崖の上から飛び込んだり。
両国でちゃんこ鍋を食べてから江戸時代の歴史を学びに東京江戸博物館に行き、恋愛パワースポットの東京大神宮に行って女子だけで来てるグループに声掛けさせて撃沈したり、靖国神社に行って戦争について学んだり。
メイド喫茶という未知なる場所へ突撃するため秋葉原に向かい、ただ行くのはつまらないからドン・キホーテでワンピースのキャラクターの洋服を購入しコスプレして街中を歩いていたら、観光している外国人に「Wow!」と声を掛けられ写真を撮られまくり、ようやくメイド喫茶に到着し「おかえりなさいませご主人様♪」と言われるのかと思ったら、ヤバイ奴らが来たと薄い対応されたり。
「もう着なくなった服があるけどいる?」って聞けば、「いいんっすか」と自宅までついてきて、いろいろ試着してあれこれ持って帰り、次会う時にちゃんと着てくる可愛げなところがあったり。
他にも、大人数で河川敷で花火大会を観たり、ボーリング大会やカラオケやビリヤードなども行った。

朝フットサルをした後に出かけ、全力で遊ぶからめちゃくちゃ疲れるが、一緒に楽しい時間を過ごした。

「コイツアホだな~」って思ったエピソードがある。
自分の誕生日にプレゼントを作ってきてくれたと言うのだ。(優しい♪)
「なんだ?」と思い手渡されたのが、なんとコーヒーゼリー。。。
いや、コーヒーゼリーは悪くない。職場で作って持ってきてくれたのだ。
ん~~~~~、コーヒーゼリーがね。入っているところがどう考えても変なのさ。
スーパーのレジの先によくあるクルクル巻かれている透明なビニール袋に入れて手渡されたのよ。

”コレど~やって食べるのよ”と思ったが、とりあえずビニール袋に一緒に手渡された液体のコーヒーミルクを垂らし手でモミモミ混ぜてから食べようとしたら、、、スプーンがない。
「スプーンは?」 「ないっす!」 即答であった。

ビニール袋を高々と上げ、天を仰ぎ口を大きく開けて食べようとしたが
もちろん真っ先に侵入してくるのは液体のコーヒーミルクのみだ。
後を追うようにコーヒーゼリーが侵入してくるが、ミルクとゼリーのバランスが悪いこと。
これから運動するって時に、口の中で混ぜ混ぜしながらいただいた。

亡くなる1ヶ月位前に、他のチームメイトが最近参加していない彼に連絡したところ、こんなやり取りだった。

今思えば、こんな好青年なのにここ数年は”彼女はいらないっす”と作っていなかった。
それは、いずれ”別れが来る”のを知っていたから彼なりの優しさだったのではないかと思う。

自分達にも知らせなかった彼の去り際を考えると
心配かけさせたくない。
迷惑をかけたくない。
元気じゃない姿を見てどう思うだろうか。
普段の生活のままでいてほしい。
いずれ亡くなる自分のことはかまわず元気にいてほしい。

と、いろんな気持ちを押し殺していたのだろうと思うと
言葉では言い表せない悲しい気持ちとやはり会いたかったと悔いが残る。

どうにかご家族と連絡が取れ、息子の写真を持っているなら欲しいとのことなので
皆で写真を共有し家族に渡しに行く時に、安らかに眠った彼にお線香をあげたいと思う。

楽しい時間をありがとう。

合掌。

いいなと思ったら応援しよう!