2023年10月の読書まとめ
読書数
読書数トータル---28冊
紙の本---24冊
Audible---4冊
Kindle---0冊
ひとこと
読書の秋ということで、今月は貪るように本を読むことができた一ヶ月間でした!
紙の本24冊は人生でも最多かもしれません。
今月読んだ本の中で一番感動したのは、太田愛さんの『未明の砦』で、今月というか今年一番かな。
一番楽しかった本は、金原ひとみさんの『腹を空かせた勇者ども』。めちゃくちゃ面白い小説でした。
今月は新作小説(フィクション)に偏り過ぎたこともあり、リレ読み(本と本の繋がりを意識したリレーション読書)は特になしでした。
いつか、今月読んだ本と繋がりを感じる本に出会える日が来るかも?
また、最近は本選びにYouTubeを参考にしています。
りっちゃんねるさんは、私と読書の好みが近くて、めちゃくちゃ参考になるし、
ほんタメのあかりんさんの幅広いジャンルの書評も面白くて、どんどん読みたい本が増えている状況です。
今月読んで良かった本14冊の感想(読み終えた順)
未明の砦 太田愛
素晴らしい作品でした。
何よりも、労働者の権利のあり方について問い、行動していく若者たちの学ぶ姿がすごく良かったです。
追う者たちの視点も加えた事でエンターテイメント性が高くなっていて、最後まで夢中で読む事が出来ました。
多くの立場の人々の視点で、労働者の人権とは何か、日本人の中でいわゆる奴隷根性がどうして育ってしまうのか、といったテーマについて作中で語られているで、読者はこの作品を読む事で、様々な問いを得られると思います。
私ももっと深く知りたいと思う事が増えたので、少し時間を置いてまた是非再読したい作品です。
ペテロの葬列 宮部みゆき
上下巻合わせての感想です。
以前読んだ事があり、Audibleで再読(聴)しました。
本来、著者の宮部さんが描きたかったのは、この後発表された作品の探偵・杉村三郎だという事ですが、今多家という檻の中でもがきつつも、度々降りかかる災難を解決していく最初の3部作の三郎の姿が、私は好きでした。
この作品では、悪徳商法詐欺がメインで取り扱われています。
冒頭のバスジャックが印象的で忘れていましたが、他にも次から次へと事件が起こり、それらが複雑に関係しながら人の心を変化させて物語の収束に向かう様がさすがだなと思いました。
腹を空かせた勇者ども 金原ひとみ
陽キャの女子中学生が青春時代を駆け抜ける姿を描いた物語。
めちゃくちゃ面白かったです。
ずっと読んでいたいと思うぐらい、テンポが良くて心地良い文章で、頭を空っぽにして内容そのまま受け入れながら読んでも良し、主人公レナレナやママに感情移入しながら読んでも良し(どちらもキャラが強めではありますが…)、陽キャのデリカシーの無さが周囲に与える功罪を真面目に考えながら読むも良し。
様々な読み方が出来ると思います。とても元気な気持ちになれる小説でした。
ミーツ・ザ・ワールドも良かったけれど、私の中ではそれを上回る作品でした。
ハジケテマザレ 金原ひとみ
イタリアンレストランで働く陰キャの主人公が、エネルギッシュな同僚達の、お祭り騒ぎのような日常に、圧倒されつつも楽しんで過ごす姿を描いた話。
つい先日読んだ『腹を空かせた勇者ども』が良過ぎて、こちらは少しインパクト弱い感じがしてしまいましたが、なかなか良かったです。
金原さんのここ何作かのテーマはコミュ力なのかな?楽しく魅力的なキャラクターが何人も出てきますし、面白いセリフが多いし、文章もとても読みやすいです。
こんな職場があったら私も是非アルバイトしたいけど、いつも徹夜に付き合わされるのはノーサンキューだなあ。
いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング 飯山晄朗
著者の方は、名門星稜高校で遠ざかっていた甲子園へ球児達を再び導いたメンタルコーチだそうです。
脳科学や心理学も駆使しつつ、根性論が響かなくなった現代の子たちに頑張ってもらうにはどうしたら良いか?という内容でした。
メンタルトレーニング方法というよりも、子ども達が前向きになれる声かけ方法の紹介という方が、この本の内容に合ってるかなと思いました。
スポーツの指導にあたっていなくても、家庭や仕事で人を指導する立場の方々すべてに参考になるような内容でしたので、色々な人におすすめできる本です。
ちなみに第2段も読みましたが、どちらか1冊で充分かな?と思いました。
あわのまにまに 吉川トリコ
ある家族の1979年から2029年までの半世紀を描いた物語。
なのですが、2029年から10年ごとに遡っていく構成になっていて、読者には家族の意外な成り立ちがだんだん明かされるようになっています。
よく考えたらちょっと近過ぎて気持ち悪い家族かもと思ってしまいましたが…。
過去と現在が交互にというタイプは、本に限らずドラマなどでもよく見かけますが、未来から過去への完全遡りタイプは初めて読んだかもしれません。
各時代の雰囲気やその時の常識とされていた考え方なども、著者の吉川トリコさんが描きたかった事かなと思いました。
メロスの翼 横関大
1人の孤独な少年が、様々な人に助けられ、卓球というスポーツに出会い、人生を切り拓いていく物語。
と、思いきや、ある事件が起こり…冒頭の卓球選手の正体は?!とても引き込まれる内容で、文章も読みやすいので一気に読めました。
主人公の翼を小さい頃から知っている(ような気持ちになって)いるので、彼の成長と運命に涙が出そうになりました。
ただ、事件の被害者サイドの立場からの目線のストーリーがあればもっと良かったかな、と少しモヤモヤしました。
この物語の後、主人公がどのような人生を送るのか、気になります。続きが読みたいです。
獣の夜 森絵都
この数年間に森絵都さんが各所で発表された作品を集めた短編集。
ちょっとコミカルで、だけど少し心がスッキリするような、元気が出る作品が多かったです。
表題作『獣の夜』が一番面白かったかな。
タイトルが怖いけど、全然怖くない話です。あ、獣よりも人が一番怖いねという事か…。
最初の方の『雨の中で踊る』『太陽』はコロナ禍で自分の中での小さな鬱屈を抱えていた誰もに響く作品だなと思いましたし、最後の『あした天気に』は元気が出る作品でした。
森絵都さんの書かれる文章がとても読みやすく、隙間時間で読むのにもオススメできる一冊です。
復讐は合法的に 三日市零
復讐を生業としている弁護士兼探偵、ついでに男性兼女性の主人公が活躍する話。
面白かったです!このミステリーがすごい!大賞受賞を逃した作品だそうなのですが、その時の大賞の小西マサテルさんの『名探偵のままでいて』よりも、私的にはこちらの作品の方が好みでした。
応募作品を加筆修正したとの事なので、レベルアップしての刊行なのかもしれないですね。
小説だから為せる技だと思いますが、エリスさんが男性女性どちらで登場しても違和感のない容姿という設定が楽しいですよね。
作中で『復讐』とはどうあるべきかの考察があるのも良かったです。
レーエンデ国物語 月と太陽 多崎礼
読み終えるのに1ヶ月半ほどかかりましたが、つまらなかったとかではなくて、ファンタジーの世界観に浸りながらじっくりと読みたいので、という理由からでした。
シリーズ作品の2作目ですが、1作目と同じ地域の違う時代の話で、登場人物もほとんど重なっていないので、この本から読んでもOKだと思いました。
前半は前作に続きアニメのセリフっぽさが気になってしまったのですが、後半は物語の壮絶さもあいまって気になりませんでした。
ユリアの生き方とテッサの闘いが、歴史の1ページとなり、どのように今後繋がっていくのか、3作目も楽しみです。
君が手にするはずだった黄金について 小川哲
著者の小川哲さん自身を主人公とした連作短編集。
巻末の初出年月を見てみると、発表順ではないみたいですが、なるほどこの流れが一番自然だなという順番で作品が並んでいます。
どこまでが実話でどこからが創作なのかはわかりませんが、章が進むにつれてエッセイ味が強くなっていき、小川さんが作品の創作に対してどのように考えているのかがわかるようになっています。
世の中によくいる承認欲求の権化のような人々に対して『僕』がフラットに接している様子が興味深いです。
『地図と拳』『君のクイズ』両方面白かったので、創作裏話も読みたいな。
リカバリー・カバヒコ 青山美智子
公園のアニマルライドのカバに癒しを求めに来る、ちょっと疲れた人たちの物語。
青山美智子さんらしい連作短編集でした。
『鎌倉うずまき案内所』みたいに不思議現象が起こり、カバが喋り出すのかな?と思っていたのですが、ちょっと違いました。
カバの代わりに、公園の近くのクリーニング店のおばあさんが毎回素敵なコメントを出してくれます。
友情だったり、仕事や恋愛だったり、家族だったり。
人の心を疲れさせるものはそれぞれたくさんあって、青山さんは、登場人物一人ひとりに寄り添っている感じがします。
欲を言えばもう一捻り欲しかったかも。
IT ENDS WITH US コリーン・フーヴァー
アメリカの大ベストセラー恋愛小説。
テーマはDVで、著者の母親がモデルなのだそう。
途中まで、甘々なラブシーンが多く、読むのを断念しそうになりました…。
物語の後半になって、主人公リリーが苦しみながらも自分の進む道をしっかり構築していく姿を、応援する気持ちで読みました。
結末まで見届ける事が出来て良かったです。
ただ、登場人物がみんなリッチである事が気になりました。
経済的な理由でDVに耐えている人も多いと思うんですよね。
逆に言うとシンプルにその事(DV)にだけフォーカスした作品とも言えるかも。
続編も読むつもりです。
楽園の犬 岩井圭也
私は動物(特に犬)が死ぬ話が苦手なので、タイトルを見て警戒してしまったのですが、この作品の犬はスパイの意味で、本物の犬は関係ないお話でした。
舞台は日米開戦直前のサイパン。
主人公は病弱ということもあって、スパイ小説の割にスピード感がなく、麻田しっかりして〜と思いながら読み進めていましたが、
終盤は『とにかく生きろ』という強いメッセージが伝わってきて、最終的にはとても良い読後感の作品でした。
戦争の話ですが、戦時中の様子にはそこまで触れられていないので読みやすいです。
今の時代にこそ、たくさんの人に読んでほしい本です。
今月読んだ本一覧
ペテロの葬列(上) 宮部みゆき
21世紀の「男の子」の親たちへ おおたとしまさ
未明の砦 太田愛
NETFLIX 戦略と流儀 長谷川朋子
やせる味覚の作り方 小倉朋子
ペテロの葬列(下) 宮部みゆき
腹を空かせた勇者ども 金原ひとみ
高大接続の本質 溝上慎一
ブラックバースデイ 麻加朋
BT’63(上) 池井戸潤
子どもたちは夜と遊ぶ(下) 辻村深月
ハジケテマザレ 金原ひとみ
いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング 飯山晄朗
BT’63(下) 池井戸潤
あわのまにまに 吉川トリコ
水を縫う 寺地はるな
メロスの翼 横関大
獣の夜 森絵都
ホテル・カイザリン 近藤史恵
復讐は合法的に 三日市零
いまどきの子を「本気」にさせるメンタルトレーニング 飯山晄朗
レーエンデ国物語 月と太陽 多崎礼
君が手にするはずだった黄金について 小川哲
リカバリー・カバヒコ 青山美智子
IT ENDS WITH US コリーン・フーヴァー
あなたが誰かを殺した 東野圭吾
悪と無垢 一木けい
楽園の犬 岩井圭也
今読んでいる本
鈍色幻視行 恩田陸
スロウハイツの神様(上) 辻村深月
歌われなかった海賊へ 逢坂冬馬
彼らは世界にはなればなれに立っている 太田愛
教誨 柚月裕子
レーエンデ国物語 喝采か沈黙か 多崎礼
来月に向けて
今年も残り2ヶ月となりました。
年末は、普段は暇人の私も流石に忙しいと思うので、11月のうちにたくさん読書を進めていきたいなと思っています。
しばらく積読してしまっている、夕木春央さんの『十戒』が話題になっているみたいなので、11月中には読みたいな。
YouTubeを観ていると、ミステリーやファンタジーなどフィクションの読みたい本がどんどん増えてしまうので、フィクション以外の本も意識的に読んでいきたいと思います。