見出し画像

公的年金制度の全体像

人生の可能性を広げるお金の専門家
ファイナンシャルコーチの佐藤ななみです。
 
熊本日日新聞社発行の生活情報紙『くまにちすぱいす』で、お金に関する記事の執筆を担当して23年。ここでは、紙面でお伝えした中で、文字数の都合で説明しきれなかった用語やポイントについて触れていきます。
名付けて『はみ出し☆すぱいす』張り切って参りましょう♪
 

8月30日付(第741号)『知りたい!お金の話』で取り上げたのは、話題の「遺族厚生年金の見直し案」ついて。紙面ではタイトルの通り遺族厚生年金に絞ったお話しとなりましたので、ここでは、公的年金制度の全体像を把握してみたいと思います。


年金は2階建て

↑↑↑ 記事でも触れた通り、我が国の公的年金制度は、家に例えて2階建てと表現されます。
1階部分が、20歳以上60歳未満のすべての国民が加入する国民年金(基礎年金)、2階部分が、会社員や公務員などサラリーマンが加入する厚生年金です。

このとき、加入者の立場に応じた被保険者の分類は以下の通りです。
☆第2号被保険者⇒厚生年金に加入するサラリーマン
☆第3号被保険者⇒第2号被保険者に扶養される配偶者
☆第1号被保険者⇒自営業者や学生など、第2号・第3号以外の人


年金の種類を知る

ところで、公的年金制度からは、どんなときに給付を受けることができるのでしょうか。
年金と聞いて、ほとんどの人が一番に思い浮かべるのが、老後の生活を支える老齢年金ではないでしょうか。圧倒的多数の人がこの年金を受給します。
ほかにも万一、重い障害を負ってしまった場合に給付される障害年金や、亡くなった人に生活を支えられていた遺族に給付される遺族年金もあります。
これら老齢・障害・遺族の3つが揃って公的年金なんですね。

要件に該当すると、基礎年金部分と厚生年金部分からそれぞれの基準で給付が行われます。
第1号被保険者と第3号被保険者は1階部分の基礎年金を、第2号被保険者は基礎年金と厚生年金を受給できる可能性があることを前提に、それぞれの要件がどのようになっているか見て行きましょう。


1.老齢年金

老齢年金は、受給資格期間(保険料納付期間や免除期間など)が10年以上ある人が、原則65歳になったら受け取れます。
65歳を迎えて以降も働いて収入があるなど、経済的に余裕がある人は、年金の受給開始時期を最長75歳まで遅らせる繰り下げ受給も選択することができます。この場合、1か月繰り下げるごとに、65歳から受給できる年金額に対して0.7%ずつ(最大84%)年金額が増額されます。

また反対に、60歳から65歳までの間に受け取りを開始する繰り上げ受給も選択可能です。ただしこの場合、以下の率で減額された金額を受け取ることになります。
☆昭和37年4月1日以前に生まれた人:繰上げ1か月あたり0.5%
☆昭和37年4月1日以降に生まれた人:繰上げ1か月あたり0.4%


2.障害年金

障害年金は、基礎年金と厚生年金で受給要件が異なります。

障害基礎年金は、障害の原因となったケガや病気の初診日が国民年金加入期間中、または20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間にある人が、障害等級表に定める1級・2級の状態に該当した場合に受給することができます。

障害厚生年金は、障害の原因となったケガや病気の初診日が厚生年金被保険者期間中にある人が、障害等級表に定める1級・2級または3級の状態に該当した場合に受給することができます。

ここ、実はとても重要です。
例えば、ケガや病気が原因で業務を続けられなくなり会社を退職。退職後に初めて病院へ行き、その後、障害認定を受ける状況に発展した・・・といった場合は、初診日が厚生年金被保険者期間を外れており、障害厚生年金を受給することができません(基礎年金だけになっちゃう)。
具体的には、うつ病などメンタル疾患でこうした事態が発生するケースが多いようです。万一、そのような可能性が生じた場合は、我慢しないで会社を辞める前に診療を受けることが重要です。

3.遺族年金

遺族年金は、亡くなった人に生計を維持されていた遺族に支給される年金です。
遺族基礎年金は、子のある配偶者またはに支給されます。この場合の子とは、 18歳になった年度の3月31日まで、もしくは20歳未満で1級または2級の障害がある人を指します。

遺族厚生年金は、以下のうち最も優先順位の高い人が受給します。
①    子(※1)のある配偶者
②    子(※1)
③    子のない配偶者(うち夫は※2)
④    父母(※2)
⑥    祖父母(※2)
※1 18歳になった年度末まで/20歳未満で1級または2級の障害がある人
※2 55歳以上の人のみが対象で受給開始は60歳から

【超重要】ご注意ください

障害年金や遺族年金を受給するには、保険料納付済期間(免除期間含む)が加入期間の3分の2以上なければなりません。滞納期間が一定以上あると受給できなくなってしまいますので、保険料はきちんと納めることが大切です。


最後に

それぞれの年金がいつまでいくらぐらい受け取れるかも気になるところですね。これについては立場によって様々ですのでまたの機会に。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!