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親名義の土地に住宅を建てるあなたに知っておいてほしい超重要なこと

人生の可能性を広げるお金の専門家
ファイナンシャルコーチの佐藤ななみです。

熊本日日新聞社発行の生活情報紙『くまにちすぱいす』で、お金に関する記事の連載を担当してこの夏で丸23年。ここでは、紙面でお答えした家計相談の中で、文字数の都合で説明しきれなかった用語やポイントについて触れていきます。
名付けて “はみ出し☆すぱいす” はじめま~す♪

今回は、2024年7月5日付(第734号)のご相談でジックリ触れることができなかった件
「親の土地に住宅を建てるときに知っておきたい超重要なこと」
について深掘りっ!
※ご相談者様に了解をいただいて記事をご紹介しています




親の土地に住宅を建てる際の名義の取り扱い

親の土地に住宅を新築する際の、土地名義の扱い方は大きく2つ
① 親から土地の贈与を受けて登記上の名義を変更
② 土地の名義は親のまま、その土地の上に子が自分名義の住宅を新築

①の場合、土地の所有権移転の際に、登記費用(登録免許税や司法書士報酬など)がかかります。また場合によっては、贈与税の課税対象となることも(この辺のお話はまた別の機会に)。
さらに、子であるあなたが土地の所有者になることから、この土地にかかる固定資産税の納付義務も負うことになります。

一方、②の場合は、所有権移転の手続きそのものを行いませんから、登記費用がかからないのは当然。固定資産税の納付義務も土地の所有者である親が負い続けます。
ここで、固定資産税は土地と建物、それぞれに課税されます。ご自身が所有する建物部分についてはご自分で負担してくださいね。

登録免許税の税率は?

ちなみに、所有権移転の際に必要となる登録免許税の税率は、
● 売買や贈与の場合「1000分の20」(=2%)
● 相続による場合「1000分の4」(=0.4%)
で、実に5倍の開きです。

土地の評価額1000万円あたりの登録免許税額が「20万円か4万円か」という話ですので、その他手数料や労力モロモロ含め慌てて名義変更せずとも
「将来、相続が発生したときに名義を移せばいいやん!」
と考えるのも一つの正解です。
(あ、だからと言って、①が不正解とは言っていませんのでお間違いなく。
 ここは個別の事情に照らして全体のバランスで選択するところです)

名義変更しない場合にやっておきたい手続き

ただこの②を選択する場合、いつの日か訪れる相続に備えて、やっておいていただきたい手続きがあります。それは、遺言書の作成です。
正確には、遺言書を書くのは、住宅を新築するあなた(子)ではなく、あなたの家の敷地の所有者である親御さんです。あなたが行うのは
「私の家の敷地について、私に相続させる旨の遺言書を書いてください」
と親御さんにお願いし、実行していただくことです。

遺言書がないと…

どうしてそれが超重要なの?って疑問に思われるでしょうか。
私の家の敷地だから、私が相続して当然!!
って思われるかも知れません。
ところが法律はそうはなっていないのです。

相続が発生すると、現預金や有価証券、不動産や生活動産、借入金なども含めて、被相続人(=亡くなった方)の所有していた全ての財産は、相続人全員が分割を受ける権利を持つ対象となります。

遺言書がない場合、それらをどのように分けるか相続人全員で話し合い(=遺産分割協議)全員の合意のもと引き継ぎを行ないます。
このとき、「相続人全員の合意」というのが非常に重要です。たとえあなたの家の敷地であろうとも、もし他の相続人が合意してくれなければ、その土地をあなたが相続できるとは限らないのです。

大丈夫?相続あるある

その辺を含め、相続で揉め事に発展するお話をご紹介すると
「うちには争うほどの財産はないから」とか
「うちはみんな仲がいいから」なんて反応が返って来がちですが、
コレ言っている人ほど、残念な目に遭いがち…あるある。

例えば、主な財産が家土地だけだったら…。それ、どうやって分けます?
例えば、いつか相続が発生したときに、ちょうど子どもが大学へ進学する相続人がいたら…。もらえる分は少しでも多くもらいたいと思わない?
例えば、事情を納得してくれていた兄弟姉妹が親より先に亡くなって、その子に相続権が移ってしまったら…。ドライに権利を主張されちゃうかも?
ほか、現場からはいろいろな声が聞こえて来ますが、遺言書1枚でそうした不確定要素を回避することができるのなら、取り組んでおかない手はありませんね。

いま、やっておこう!

親名義の土地に住宅を建てている人は、将来、その土地の所有者である親に相続が発生したとき、遺言書がなければ、自分の家の敷地を他の相続人が受け継ぐかもしれない可能性がゼロではないというお話。ご理解いただけましたでしょうか。

親御さんは家を建てることを了解しているのですから、あなたの家の敷地はあなたにあげるつもりのはず。兄弟姉妹など他の推定相続人も、その事実を認識、受け入れている時点で、その土地はあなたが受け継ぐものだと理解しているはず。
そんな“いま”こそ、親御さんに遺言書を書いていただく絶好のタイミングです。将来の無用なトラブルを避け、あなたの家の敷地をあなたが確実に受け継ぐことができるよう対策しておきましょう。

遺言書は、一部の財産に対してのみ作成可能

ここでぜひ知っておいていただきたいのは、遺言書は、一部の財産についてのみ作成することもできるという点です。
また遺言書は、気持ちが変われば何度でも書き直しが可能。遺言書を書き直した場合、そこに書かれた対象については、最も新しい日付のものが有効となることを付け加えておきます。
(敷地の件は書き直されると困るけど…)
遺言書に対するイメージが「縁起でもないもの」から「気負わず軽やかに取り組むもの」へと変わるといいなぁと思いつつ。

まとめ

家を建てるときに、相続のことまで考えておく必要があるなんて意外だったでしょうか。今回「親名義の土地に住宅を建てるとき」について取り上げましたが、ほかのパターンでも、いつか必ず訪れる相続を想定しておくべきケースがいくつか。また、若いときこそ必要な遺言の話なども、追い追いお伝えしていければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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