令和六年七月の回想
北国は窓が二重になっていて断熱や結露対策などの役割の中で防音効果がかなり高い。
クーラーのない我が家はこの時期になり漸く窓を開けると、夏の匂いと目の前のアパートで時間関わらず怒鳴っているおじさんの声が風物詩のように部屋に踏み込み、毎年彼について勝手にあれやこれや考える。
お世辞にも治安のよろしくない地域の為、一年目はただ怖かった。
常に何について怒っているのか分からず、耳をすますと意味不明な言葉を並べてひたすら叫んでいる。
よくわからないまま一年目が過ぎ、2年目は北海道でも稀に見る猛暑でそれどころではなかった。
そして本年3年目、在宅ワークに流れ着き今も怒鳴り声を聞きながら文字を打っている。
どんな暮らしをしているのかな。同居人はいるのか。いたらさぞ大変だろうな。警察に一旦状況確認してもらった方がいいのかな。動いてもどうせ期待通り進まないだろうし面倒だな。
面倒ごとに顔を突っ込みすぎと先日叱られたので、八月も末、そろそろ涼しくなってきましたし今年も閉めます。
さて本題ですが4年の喫煙生活に終止符を打ちました
7月は完全在宅に就き、唐突に北を感じたく宗谷岬まで1000km弱の旅に出たり、
10年ぶりにギターを手に取ったりetc…
全て大したエピソードがないので割愛し、たばこについて触れていきます。
このご時世、喫煙者が除け者にされ「たばこはかっこいい」なんていつの間にか死語のような時代になりましたが、それでもロマンチストだと齟齬し喫煙してきた一人でした。
無論職業差ありますが、前職では150人近くいる中で喫煙者は自分だけなんてこともありました。
きっかけ
喫煙所で色んな人に散々聞いていたのが「なんで吸い始めたんですか?」
話し方などで人となりを理解できるほど器用ではないので、この回答で距離感を掴めていました。
こんな何気ない質問でも人によっては「随分踏み込んでくるな」なんて嫌な顔されたり、意気揚々と過去を語ってくれたりと自分のコミュ力は喫煙所で鍛えられたのかもしれませんね。
漏れずに私にも吸い始めたきっかけがある。
ある日、家族が吸いもしないPeaceを買い、案の定リビングにポツンと置きっぱなしになっていたので吸う気もないのに密かに鞄に入れた。そんなしけたPeaceのお話。
小中と同学校の幼馴染がいる。小柄でよく笑ってくれて同い年とは思えないほどしっかりしているのに不器用なのに天然な人。
高校から別に進み、当時何を思ったか私はLINEを数人残し全て消した。その人も中三から話すようになり思い入れも当時はなかったので消してしまった。
高二のある日、消さなかった共通の知り合いから「LINE知りたいみたいなんだけど教えていいかな?」的な連絡が来た。
特に断る理由もなく受け入れたら懐かしい名前から通知が届き内容もよく覚えている。
大した内容じゃないけどとにかく笑えた。相変わらずだな全くと。
それからろくに友達もいないもの通しで毎週か隔週夜中オンラインゲームをする中になり、一切会わずに声だけはお馴染みな不思議な関係だったけどとにかくそれが生き甲斐になっていた。
結局私はそのまま高校を卒業してしまい、相手は一年遅れで卒業間近の年末に「会おうか」となり元日に近所の神社へ初詣に行くことになった。
当日、約4年ぶりに会い変わっていたのは背と気持ちくらいだったと思う。緊張のあまり覚えていないが余ったベビーカステラと貰ったカイロを持ち帰っても捨てれなかったことだけは覚えている。
帰り際、家まで送り一人で自転車で走っていると急激に達成感と慣れない疲れが覆い、小川沿いの小さい公園を見つけ休んだ。
ふと鞄のPeaceを思い出し川沿いの柵にもたれながら火をつけた。
全く火がつかない。ああたばこなんてこんなもんなんか。古いからしけちゃったか。
終わりに
私はこの「しけたPeace」を古典落語のように知己には語ってるのですが、文字にするとなんだか恐ろしいですね。この直後姉弟のキャメルを吸い始めて分かりましたが、吸う時に吸い込まなかったから火がつかないだけで吸えても無かったというのがオチです。
因みに禁煙したきっかけは「もういいや」だけで面白みもないので触れませんでした。
それなりにヘビースモーカーだったのにふらっと禁煙できている訳は元から「辞めようと思えば辞めれる」と豪語していたからだと思います。
ただ実際どうなのかと言われたら、もうすぐ二ヶ月になりますがかなりしんどい。飯は別に美味くならないし、体調も別に変わらない。でも吸おうと思ったらまた灰皿もライターもコンビニで買えばいいや。
何事も意気込むよりそのくらいが向いてるんです。
さておき八月は時間が取れず晩夏に焦って書いていますが、札幌も過ごしやすくなり夏鬱も若干冷めてきました。
今年もサマーコンプレックスをひしひしと感じましたが雪さえ降ればきっとどうとでもなる。
九月は三秋縋さんの新刊が漸く発売となったので、それだけを楽しみに乗り切ろうと思います。
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