これで いいの? 課税区域の定め方(21)ひたちなか市・井手町・八幡市<公共下水道>調整区域にも
ここには課税するが、あそこには課税しない。
即ち、課税区域がある、それが都市計画税。
その課税区域の定め方を調べています。
異なる解釈
市街化調整区域の公共下水道が整備されている所を課税対象としているところ
茨城県ひたちなか市、京都府 井手町・八幡市
(この他、釧路町・阿見町・つくば市)
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◎ひたちなか市市税条例 平成6年11月1日
(都市計画税の納税義務者等)
第152条 都市計画税は,・・・都市計画区域内の次に掲げる土地及び家屋に対し,・・・。
(1) ・・・市街化区域内に所在する土地及び家屋
(2) ・・・市街化調整区域において,・・・都市計画事業のうち下水道事業により受益する土地及び家屋
・市のホームページの説明
「市街化調整区域 都市計画事業のうち下水道事業により受益する土地・家屋」
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◎井手町都市計画税条例 平成6年12月26日
(納税義務者等)
第2条 都市計画税は、・・・都市計画区域内の次の各号に掲げる土地及び家屋に対し、・・・。
(1) ・・市街化区域内に所在する土地及び家屋
(2) ・・市街化調整区域内にあって次に定める土地及び家屋で別表に掲げるもの
ア 下水道計画区域内に所在し、下水道により受益するもの
イ 区域外流入の許可を受け、下水道により受益するもの
別表(第2条第1項第2号関係)
区分 土地の所在 地番
大字 小字
土地 井手 池ノ上 17番1、17番3、17番4、17番5、85番
栢ノ木 14番1、21番1、22番1、23番5、23番6、
23番7、23番8、23番9、23番10、23番11、
23番12、23番13、31番3、31番1
清水 61番1、61番2、61番3、61番4、62番2、129番
中島 49番
中溝 31番1、31番2、84番5
西山 57番3
東前田 49番、50番
宮ノ前 4番5
山縁 98番8
(大字多賀を省略)
家屋 上記の土地に存する家屋
・市ホームページの説明
都市計画法による都市計画区域のうち、市街化区域内に所在する土地、家屋および市街化調整区域内にあって条例で定める土地、家屋です。
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◎八幡市都市計画税条例 平成17年9月30日
(納税義務者等)
第2条 都市計画税は、都市計画法・・・都市計画区域に所在する土地及び家屋で次に掲げるものに対し、・・・。
(1) ・・・市街化区域内に所在する土地及び家屋
(2) ・・・市街化調整区域内にあって下水道計画区域内に所在する土地及び家屋で、下水道により受益するものとして別表第1に掲げるもの
(3) ・・・市街化調整区域内に所在する区域外流入の指定を受けた土地及び家屋で、別表第2に掲げるもの
別表第1(第2条関係)
土地の所在 地番等
土地 八幡柿木垣内 35の1の一部、35の2の一部
八幡源氏垣外 74の1、74の5、75の1の一部、75の4、96、
96の2、97の1、98の1、99、99の2、
103の1の一部、103の2の一部、
104の1の一部、104の3、104の4、
104の5、105の1の一部、105の2の一部、
105の3の一部、105の4、105の5、107の2、
107の3の一部、107の6の一部、107の9
(以下、非常に多数を省略)
家屋 上記の土地に存する家屋
別表第2(第2条関係)
土地の所在 地番等
土地 岩田西玉造 76の1、77
野尻円ノ元 9、11、12の2、13、14の1
家屋 上記の土地に存する家屋
・市ホームページの説明
都市計画法による都市計画区域のうち、市街化区域内に所在する土地・家屋および、市街化調整区域内のうち、下水道計画区域内および区域外流入の指定を受けた土地・家屋に課税されます。
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(以下は、前に紹介した釧路町、阿見町及びつくば市の条例です。)
◎釧路町都市計画税条例 昭和52年3月17日
(納税義務者等)
(3) 市街化調整区域において、都市計画事業のうち下水道事業により受益する土地及び家屋
(詳しくは、課税区域の定め方(19)を参照下さい)
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◎阿見町都市計画税条例 昭和56年1月5日
(納税義務者等)
(3) 市街化調整区域のうち、下水道法・・・に定められた予定処理区域であって、阿見町下水道事業受益者負担に関する条例・・・により公告された区域
(詳しくは、課税区域の定め方(19)を参照下さい)
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◎つくば市税条例 (平成19年度から課税)
(納税義務者等)
(2) 市街化調整区域における・・・公共下水道(・・)の処理区域(・・・受益者負担金の徴収を猶予された土地(・・)の区域を除く。)及び・・・
(詳しくは、課税区域の定め方(16)を参照下さい)
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さて、これらの6市町では、市街化調整区域で公共下水道が整備されている所に課税区域を定めて(?)います。
「特別の事情がある場合」の異なる解釈
6市町は、市街化調整区域にも課税区域を定めることができる「特別の事情がある場合」を、公共下水道が整備されている場合と解釈していると思われます。
一方、山形県の山形市は異なる解釈をしています。
「質問2. 市街化区域以外の都市計画事業で実施した下水道整備区域には、なぜ都市計画税がかからないのですか?
回答2. 地方税法で市街化区域以外への課税は、その個所に所在する土地・家屋に都市計画税を課さないことが、市街化区域との均衡を著しく失すると認められる特別の事情がある場合とされています。
市街化区域以外の下水道整備区域は、基本的に市街化を図るための都市基盤整備が抑制されている区域であり、建物を建築する際も開発許可が必要なことや建築制限も大きいことなどを踏まえると、現状では特別の事情には当たらないと考えています。」(山形市のホームページ「固定資産税・都市計画税のQ&A」より)
大阪府の枚方(ひらかた)市では、市街化調整区域への課税について検討したとき、市街化区域と外観上差異のない土地利用がなされている区域についてのみ比較検討しています。このとき、他の市の事例も調査・評価しているようですが、公共下水道が整備されている所は調査の対象にもなっていないようです。これはどういうことでしょうか? 枚方市も、公共下水道が整備されているだけでは課税区域を定めることができる「特別の事情がある場合」には当たらないと考えているのではないでしょうか?
(「市街化調整区域における都市計画税の在り方について」及び「市街化調整区域における都市計画税の課税について 」より)
市街化調整区域にも課税区域を定めることができる「特別の事情がある場合」の解釈が、自治体によって明確に異なっています。
どのような場合に課税区域を定めることができるかは、課税要件の一部のようなものではないでしょうか? そうだとすると、その定めは課税要件と同程度に明確になっていなければならないことになります。その明確になっていなければならない定めの解釈が、自治体によって明確に異なる。これで良いのでしょうか?
平成18年の改正前は、この「特別の事情がある場合」は、開発区域で都市計画事業が施行される場合と明確になっていました。改正後のあの分かりにくい定めも、同じように明確だと言えるのでしょうか?
課税区域の定め方、 これで いいの?
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